思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Marvel 7'6'' (E49054, 1938年製)

2015-06-21 12:25:35 | Hardy Palakona
Hardy Marvelは1925年より1970年まで製造され、その後も復刻版が製造される等、Palakonaの中でも今に至る迄人気の高いモデルです。
製造当初はCC de Francen等例外を除き、殆どの鱒竿が9'以上の中で、極めて短く軽い特異な竿として導入されたのではと想像致します。


3本継で2トップ、戦前の竿ですが段巻きのないところも特異な竿です。


グリップはオールコルク。バットエンドのキャップ、リングでリールを固定します。


Wrappingはグリップ直前、フェルール前後、トップリングが緑の他は、各リングの物は透明です。これは全て緑で巻かれた60年代の物との違いです。


ミドルセクションの色が他のセクションのものと違っているのがお分かりでしょうか。


製造番号はE49054。1938年製となります。


戦前の銘。小振りな文字で60年代の大きく踊るような文字とは全然違います。




さて、上の写真二枚はミドルセクションと他のセクションの色の違いを写したものです。このミドルセクションですが、どうも比重が高い様に思われ、持ってみるとバットセクションよりもひょっとしたら重いかもしれないと思える程です。


フェルールはただ接着されているだけではなく、ピンを打ち込んであり物理的に抜けなくしてあります。ひょっとしたら別のエントリーで説明する事になるかも知れませんが、これは、非常に重要な点です。






リング周りの巻きの色です。戦後60年代のものとは違って竹色にとけ込んでおります。


さて、ここからが面白いところです。アクションは、張りのあるミドルアクションです。これだけの短竿でカースティングの際はその短いミドルセクションに主に負荷がかかる事より、ミドルセクションが強くなければすぐに折れてしまうのではないでしょうか。それが、ミドルセクションの比重の重さ、バーニッシュの違い(色の違い)に現れているように感じます。また、1950年代以降のペナペナ・アクションのMarvelとは違い、しっかり張りのあるアクションです。これは先日ロンドン近郊で拝見した1953年製のMarvel 7'6''のペナペナ・アクションとの大きな違い。1953年製のMarvelはバットセクションも良く曲がる感じでしたが、1938年製のものはバットがよりしっかりしているように思います。戦前の性能の限られた接着剤で短いセクションを絶えず曲げているとその内接着が剥離して折れてしまう可能性が心配されます。それをトップ、バットセクションよりも一段強いミドルセクションを組み合わせる事で解決したのでしょうか?それが戦後になり接着剤が強くなったためデザインを変更しバットから曲がるようなペナペナ・アクションになったのでしょうか。。。興味のあるところです。
この竿、ちょっとした縁ではるばるチュニジアまでやって来たもの。チュニスの7人の侍が8人に増えてしまいました。

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2 コメント

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マーベルでもこの刻印… (yugawaski)
2020-12-07 22:33:41
物凄い遅レス失礼いたします。
マーベルの書き込みを拝見していてたまたま気付いたのですが、budsekさんがお持ちの1938年製のマーベルのバットキャップの刻印、レナードを思わせる枠で囲ってあるものですね。
バットキャップが厚くなっているのはこの刻印のせいでしょうか。
私の1936年製のKeith Rolloのバットキャップにもこの刻印があります。
この年代の竿が全てこの刻印というわけでもないし、どういう竿にこの刻印が使われたのか、興味深いですね。
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記銘 (budsek)
2020-12-08 21:24:07
yugawaski様
確かに、 MADE BY
HARDY BROS. LTD
ALNWICK
ENGLAND
とあります。何故でしょう。米国竿の意匠を取り入れたデザインの竿だから?でもKeith Rolloは米国竿の様なライトロッドではありますが、米国で人気があったとは聞いたことがなく、私にとっては全くの謎です。
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