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20180814今日の一手(その738);穴熊ゆえの事情

2018-08-14 | 今日の一手

20180814今日の一手

4月7日の名南将棋大会から、HさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の金得で と金を作られています。先手の駒得です。
玉の堅さは金銀3枚の先手のほうが堅いのですが、後手玉のほうが遠いです。同程度と見ておきます。
先手の攻め駒は45桂97角と持ち駒金銀で4枚。
後手の攻め駒は96飛37と と持ち駒銀で3枚。

総合すれば互角か先手もちです。

☆ 大局観として
もとは中飛車穴熊と鳥刺しの対抗でしたが、鳥刺しのほうが作戦勝ちになることが多いと思います。先手としては穴熊未完成のうちに仕掛けてしまえばずいぶん勝ちやすいはずです。

さて問題図では47と同金38銀という筋があって、飛車を早逃げしても と金+持ち駒銀で削られるでしょう。先手の駒得は消えてしまいそうです。
それでも右桂が攻めに使える(さらには5筋に歩を使える)のですから先手のほうが攻め駒が多いです。攻撃力を生かして後手玉を攻略してしまおうというのが最速でしょう。

他には96飛を捕獲できるのですがわかりますか?そのあとの後手の攻めがたいしたことがないとみれば、その駒得も有効です。


△ 自然な攻めは53桂成です。

53同角同角成99飛成が気になりますが88銀

と受けてしまえば先手の駒得が生きます。(桂香と角を交換したので駒得は減っていますが。)
94竜44角72金62金

攻め駒3枚でもどこかで馬が二枚換えになる形ですから、攻め駒4枚での攻めに変わりそうです。先手有利。

後手としては53桂成に97飛成

という応手も有力で、(97同香53角もあるけれど)62成桂99竜71成桂同銀88銀94竜44角

というのは攻め駒3枚で難しい形勢です。


△ 53角成だと

99飛成62馬同金88銀94竜44角72金

62金同金同角成71香ではうまくいかないので53桂成47と でどうなっているか。難しい形勢です。


○ 説明が後回しになりましたが、寄せのセオリーを準用すれば、小さな駒から使うほうが良いです。53歩

~52歩成だと2手かかるから遅いのですが、97角を移動しなくてよいので考えやすくなります。47と52歩成

58と同金44角53桂成

金を取られても成桂 と金を作っているので駒得なのです。この後は重く62銀を狙って切れない攻めを目指します。穴熊は玉を逃げ出せないので重くても確実な攻めのほうが良いです。


△ 45桂を使うのは先に書いたので、次は53銀です。

1手で使える(角を取れる)けれど銀を渡すことになります。47と62銀成同金44角72金

53桂成~62成桂を間に合わせるか、11角成でゆっくり駒得で指すべきか、という選択は難しいところですが、少し先手よしだと思います。


△ 52金だと

47と62金同金44角72金

61銀71金打72銀成同金と進めば前の変化と同じ図です。
72金打の時に同角成

と強攻してみると、71同金53角成99飛成71馬同銀72金

激しく攻めてみましたがまだ詰めろではないです。後手は58と が詰めろで金を取れますし、82銀打の粘りもありますから、後手が勝ちそうな感じです。


○ 88角と引くと

99飛成同角47と76歩

後の98金を避けてあわてずに角を使っておきます。58と同金44歩には53歩45歩52歩成35角11角成

先手の大きな駒得ですし、馬の利きも心強いです。と金があるので穴熊攻略も難しくないでしょう。

後手としては88角に98銀

とすれば駒損が最小限度で収まるのですが、(先手も応手がいろいろですが)97歩89銀不成同玉94飛53歩

後手は銀を失ったので、47と同金38銀という攻め筋が消えてしまいました。


△ 実戦は98歩

99飛成を防いだ手ですが、35角53角成同角同桂成38銀59飛47と

金は取られても成桂の分だけ駒得です。62銀57と から寄せ合いに入るのですが、穴熊の深さで逆転されて先手Tさんの負けに終わりました。

後手としては98歩に97飛成同歩47と

のほうが穴熊らしいかもしれません。41飛が自然でも57と同金32銀

から75角ねらいという寝技もあります。
98歩は堅実だけれど1手の価値は小さいので形勢不明になるのでしょう。


△ 他には24歩

ずいぶんのんびりしているのですが、28銀と打たれるならばまあまあです。47と23歩成58と同金

26歩にも39飛なので先手の飛車は進入できそう、後手が頭を悩ますところでしょう。


☆ まとめ

対穴熊でも寄せのセオリーの準用である、小さな駒から使う攻めが基本です。相手に性能の良い駒を渡さないほうがよいですから。でも穴熊は金銀の価値が高いということが多いです。金銀を渡すとまた埋められて再構築されてしまいやすいというわけです。

問題図では先手の攻めが1手遅れると、47と~58と で金を入手されてしまうというのが悩ましいです。
53歩~52歩成は2手かかるけれど、と金で穴熊の金銀を削ることができれば帳消しになります。だから53歩が一番わかりやすい攻め方です。

53桂成は1手で角を取れそうなのですが、53同角同角成99飛成あるいは97飛成62成桂99竜71成桂同銀、という変化を読まねばなりません。効率が良いけれど攻めが切れてしまう可能性があります。
軽い攻め(筋の良い攻め)は受けやすい、重い攻め(筋の悪い攻め)は受けにくいけれど玉を逃げ出しやすい、という比較があります。その局面で判断しなくてはいけないのですが、玉を逃げ出しにくいのですから、穴熊には重くても確実な攻めの方が良いことが多いでしょう。

53銀や52金などは重い攻めのですが、金か銀を渡すので良い攻め方には見えません。
53角成のほうが案外に有効であるかもしれないですが、この場合は99飛成とされるので面白くありません。


88角は後手の攻め駒が少ないから、駒得を目指しつつ後手の攻撃力を奪ってしまおうという手で、うまくいけば勝ちやすいです。


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