goo blog サービス終了のお知らせ 

名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(306); 四間飛車に腰掛銀位取り

2016-10-13 | 大山将棋研究
昭和51年10月、内藤国雄先生と第15期十段戦です。


大山先生の四間飛車に内藤先生は右四間飛車の予定だったのでしょう、

大山先生は35歩と早く突いたので

65の位を取ることにしました。

大山先生は6筋の歩を交換して高美濃に。

ここから戦いの始まりです。突かないで86角というのもありました。

内藤先生は86角と変化球で64歩を決めて

角を戻します。55歩に

左の銀も繰り出して中央の勢力争いです。大山先生も桂を跳ねて銀を出て支えます。

ここで焦点の歩の手筋。

飛車で取らせて銀をさばきました。これに対して46歩が強手で、なかなかの手です。後に王手飛車の筋がちらつくのです。
位取りだったのにさばき合いになっては、内藤先生の予定が狂ってきた感じがします。

67金右と逃げておいてから飛車を取ります。でも と金が大きいですね。

普通は飛車を打ってから銀を打つとか歩を成るとか考えるものなのですが、後で66歩から67の金をどかして王手飛車という筋があるので打ち場所が難しい、だから清算して

飛車を打てば角を使わせて王手飛車が消える、ということでした。

でもこうなると大山先生の美濃囲いは堅いのです。

これで底歩が利くので2枚飛車は怖くありません。

内藤先生は93金から玉を追いますが

飛車の横利きを止められると後手玉が広くて捕まえられません。

詰めろはかけましたが

大山先生は香を食いちぎって迫れば寄り筋です。

投了図。

内藤先生はきれいな手を好むので位取りは向いていない気がします。44歩が焦点の歩でしたが、さばき合いは先手玉が薄く、失敗しました。でも44歩としないと4筋の歩を突きだされます。仕掛けが思わしくなかったということでしょう。右桂が参加できない状態で45歩は方向が違うのかと思うのです。
後手をもって、美濃囲いの堅さ広さというのを感じ取るのによい題材です。大山先生の美濃囲いは穴熊よりも堅く感じます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 4六歩(47)
12 4三銀(32)
13 4七銀(48)
14 3三角(22)
15 5六銀(47)
16 3五歩(34)
17 5八金(49)
18 7二玉(62)
19 2五歩(26)
20 8二玉(72)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 6六歩(67)
24 7二銀(71)
25 6五歩(66)
26 5二金(41)
27 6八銀(79)
28 5四歩(53)
29 6七銀(68)
30 5三金(52)
31 6八金(69)
32 3二飛(42)
33 1六歩(17)
34 6四歩(63)
35 同 歩(65)
36 同 金(53)
37 6五歩打
38 6三金(64)
39 2六飛(28)
40 1四歩(13)
41 7七角(88)
42 7四歩(73)
43 4五歩(46)
44 4二飛(32)
45 8六角(77)
46 4一飛(42)
47 6四歩(65)
48 6二金(63)
49 6五銀(56)
50 4五歩(44)
51 7七角(86)
52 5五歩(54)
53 6六銀(67)
54 7三桂(81)
55 7四銀(65)
56 5四銀(43)
57 2四歩(25)
58 同 歩(23)
59 4四歩打
60 同 飛(41)
61 5五銀(66)
62 同 銀(54)
63 同 角(77)
64 4六歩(45)
65 6七金(58)
66 4七歩成(46)
67 4四角(55)
68 同 角(33)
69 6三歩成(64)
70 同 銀(72)
71 同 銀成(74)
72 同 金(62)
73 4二飛打
74 6二角打
75 5二銀打
76 同 金(61)
77 同 飛成(42)
78 7二銀打
79 6一銀打
80 7一銀打
81 7二銀成(61)
82 同 銀(71)
83 6一銀打
84 7一銀打
85 6四歩打
86 同 金(63)
87 2四飛(26)
88 6三銀打
89 7二銀成(61)
90 同 銀(71)
91 4一龍(52)
92 9九角成(44)
93 9三金打
94 同 玉(82)
95 9一龍(41)
96 9二香打
97 8二銀打
98 8四玉(93)
99 9二龍(91)
100 4四歩打
101 7七桂(89)
102 6五桂(73)
103 7五香打
104 同 金(64)
105 同 歩(76)
106 8九銀打
107 6九玉(78)
108 7七桂(65)
109 同 金(67)
110 5八金打
111 同 金(68)
112 7七馬(99)
113 投了
まで112手で後手の勝ち

20161013今日の一手<その401>; 攻めの有効性

2016-10-13 | 今日の一手

20161013今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、NさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。先手は金銀3枚ですが、17銀がある分だけ堅いとも言いづらいです。
先手の攻め駒は88飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は55銀と持ち駒角銀で3枚。
総合すれば互角です。

大局観として

相振り飛車で互いに金無双(2枚金)というのは(私には)堅いとは思えません。先手は盛り上がろうと47金左の形を作ったわけですが、矢倉(片矢倉や流れ矢倉などを含めて)にならない47金の形にしても悪い形が解消されません。一番の弱点である46の地点を狙われて、ゆっくりできない状態です。
代わりに棒銀で93にいた銀と左銀を交換したのはプラスではあるわけですが、それが得だという主張をするためには、攻撃続行できるか、その攻撃を避けるために相手にだけ交換した銀を打たせるか、といったことにつながらないといけません。

まずは何か待っていたら悪くなるか、という相手のねらいを考えます。それが問題ないのならなるべくよい形にしておいて待っているのもよいでしょう。
この場合はそれでよいとは思えないので、受けるか、先攻するか、という分かれ目です。主張できるのは相手が歩切れだということ。そのために17銀とか47金左の形を作ったのです。変化を考える中で、相手の歩切れが利いてくる順を考えましょう。


× 何か待つ手を見てみます。75歩としてみます。

15歩から1歩手に入れて45歩同歩46歩という筋があります。(45歩同歩15歩同歩同香16歩46歩)

56金同銀同歩47銀同金同歩成同玉79角

これは後手優勢です。

また、歩が手に入らないとしても、45歩同歩46銀打

という攻め筋もあります。58銀45桂46金同銀47歩79角

と強攻されて、78飛57銀成79飛48成銀同玉68金

というのも受けきれません。


× 自然な56歩は46銀同金79角

で馬を作られて悪い、というのはすぐにわかるでしょう。


△ 手堅く受けるなら56銀と打ちます。

45歩には55銀同歩45歩

79角78飛88銀と絡まれる筋もあるので嫌ですが、まだ互角でしょう。

56銀に同銀同金55銀47銀

というのは千日手。
まあつまらない指し方ですが、ほかの手がないならこういう手でしょう。


× 95歩と攻めて

95同歩93歩同香92銀

82銀91角84角

82角成同玉83銀成同玉75銀

みたいになれば指せないことはないのですが

95歩同歩93歩のあたりで45歩

から攻められると厳しさが違います。1歩渡すだけでまずいのです。


○ ということで、実戦は84歩と合わせました。通常の第一感だと思います。

84同歩同飛83歩54飛64銀66角53銀打56飛78角

横歩を取って銀を引かせた後どうするのかわからなかったのですが、この進行は失敗している感じです。95歩67角成94歩55歩

55同角同銀同飛77馬35飛45歩

馬が存分に働いて後手が優勢です。

途中54飛64銀の時に51角

という見えにくい手がありました。33角成があるし、角も取りにくい。42銀同角成同金51飛成52金左11竜

くらいでしょうか。まだ後手は歩切れなので56香を受けにくいです。82歩同玉71銀もあります。攻め駒4枚なので十分でしょう。

他には53銀打ですが、33角成

飛車の取り合いというわけにもいかず、21飛56飛88角32馬71飛65桂

というのも後手の歩切れで攻めが続く形です。


△ 最後は65角

83角成を防ぐために82銀なら84歩同歩同飛83歩54飛

64銀52飛成同金32角成

と強攻します。後手は壁銀ですし33桂も助けにくいので先手が指せそうです。

74銀と受けられたら

54角は45歩がぴったり


なので74同角同歩84歩同歩同飛

73金は61銀71玉72銀打同金52銀成

とうるさい攻めが続きます。

83歩と受けたら74飛

73桂しかなく、85桂64銀75銀

と打てばこれもうるさい攻めです。

74角と合わされると

74同角同歩84歩同歩同飛83銀88飛84歩

これが一番大変そうで、56銀同銀同歩でしょうか。後手玉が堅くなりましたが銀を使わせたので互いに陣形整備ということになりそうです。

☆ まとめ
そのままでは攻められて悪い、というのは作戦負けの感じがします。56歩と突いても銀を追い返せない、自然な手では悪いのですからやはり47金左の構想が悪かったというとこでしょう。

けれど、横歩を取って強攻するというのが55銀をとがめているわけで、この筋を考えることになります。51角は見えにくいと思うのですが、いかがでしたか?

65角で82銀と打たせて横歩が取れれば条件がよく、飛車を切っても攻めが続けばよいです。ですから得になるかどうか検討するわけですが、74銀は強攻できます。74角は落ち着きそうで、これは互角か。

近年は攻めの技術が発達したといいますが、新しい攻め筋が見つかったという意味や、少し無理そうな攻めでもやってみれば案外手が続くのだ、という発見があったということでしょう。定跡の進化というのもそういう流れのなかでとらえるべきかと思います。
より読みが有効になる率が高くなったということになるのかもしれません。(私は読みが不得意なので)困ったものです。いろいろな手を考えてみるという習慣をつけようと悪戦苦闘しております。