名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(316); 中飛車に53金戦法

2016-10-23 | 大山将棋研究
昭和51年11月、森雞二先生と第26回NHK杯です。


森先生の中飛車に大山先生は53金戦法(金立ち戦法)です。

森先生は7筋を金で守ります。

金立ち戦法は7筋を抑えたら1手で74金とできるのが長所です。銀なら立て直しに2手かかります。

欠点は金銀の連携が悪いことで、森先生は角を37に転回してけん制します。

小競り合いの始まり。

この銀が問題でした。角を移動させようとする手なのですが、さらに金銀の連携が悪くなります。44歩~43銀~42金としておくのが無難です。

森先生の飛車先が通りましたが、大山先生は構わず動きます。

ハッとする手。取れませんが、飛車先連打があります。

これで両取り。

森先生は飛車を捨てて桂を取るだけでは普通はまずいものなんですが

大山先生は飛車と離れている金銀をいじめられます。

角を交換してもらえましたが また打たれて

飛角交換で両取りは角を打ってしのぎます。でも65桂から

駒を取りに来られます。

成桂は51の金と交換になり、結局は角金交換、さらに92の香も取られてしまいます。駒損になるので大山先生は反撃手段を探さねばなりません。

41の角を使って

つなぎ桂。3筋に歩が利くので受けにくいです。

美濃囲いから玉を追いだし

銀を取る。ここで先手玉は49馬~38馬で詰めろなので3手すき。後手玉は52と~42と同角51銀で詰めろなので3手すき。手番は先手なので先手有利です。
大山先生に攻防の手があるとよいのですが。

そのまま進んで

銀を取るくらいでも詰めろになっていそうです。先手玉は上に抑えがないので詰まないです。

ということでそのまま終了。

逆転の筋はなかったですか?怪しいのは104手目64角46香を入れなければ、あるいはどこかで82歩と打って紛れがあるか。逆転まではない気がしますが。
大山先生が銀で35の歩を交換というのはよくないのですが、そこで強攻できた森先生の勘がすごかったのだと思います。有利になりそうな時に一見だめな筋を掘り下げるのは心理的に難しいものです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森雞二
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6七銀(68)
8 8四歩(83)
9 5八飛(28)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 1四歩(13)
19 1六歩(17)
20 4二銀(31)
21 5六歩(57)
22 5三金(52)
23 7八金(69)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 6四金(53)
27 5九角(77)
28 7五歩(74)
29 7七金(78)
30 7六歩(75)
31 同 金(77)
32 7五歩打
33 7七金(76)
34 7四金(64)
35 3六歩(37)
36 6四歩(63)
37 3七角(59)
38 5三銀(62)
39 9八香(99)
40 6二飛(82)
41 7八飛(58)
42 9二香(91)
43 7六歩打
44 7二飛(62)
45 7五歩(76)
46 同 金(74)
47 7六歩打
48 7四金(75)
49 5八銀(67)
50 4四銀(53)
51 7五歩(76)
52 7三金(74)
53 6七金(77)
54 3五歩(34)
55 同 歩(36)
56 同 銀(44)
57 7四歩(75)
58 同 金(73)
59 6四角(37)
60 7七歩打
61 同 飛(78)
62 7六歩打
63 同 飛(77)
64 7五歩打
65 9一角成(64)
66 7六歩(75)
67 8一馬(91)
68 6二飛(72)
69 7一馬(81)
70 4四角(22)
71 3七歩打
72 5二飛(62)
73 4四馬(71)
74 同 銀(35)
75 6三角打
76 7五金(74)
77 5二角成(63)
78 同 金(41)
79 7二飛打
80 7四角打
81 6五桂打
82 8六歩(85)
83 同 歩(87)
84 5一金(52)
85 7三桂成(65)
86 4一角(74)
87 6二成桂(73)
88 同 金(51)
89 同 飛成(72)
90 5三角打
91 9二龍(62)
92 8六金(75)
93 7三歩打
94 8五角(41)
95 7二歩成(73)
96 7七歩成(76)
97 同 桂(89)
98 同 金(86)
99 同 金(67)
100 2四桂打
101 6二と(72)
102 3六桂打
103 同 歩(37)
104 6四角(53)
105 4六香打
106 3六桂(24)
107 1八玉(28)
108 5八角成(85)
109 5二と(62)
110 4九馬(58)
111 4二と(52)
112 同 角(64)
113 4四香(46)
114 2八金打
115 1七玉(18)
116 4四歩(43)
117 4一銀打
118 3三玉(32)
119 4二龍(92)
120 同 玉(33)
121 5一角打
122 5三玉(42)
123 6五桂打
124 投了
まで123手で先手の勝ち

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20161023今日の一手<その406>; と金の遅早

2016-10-23 | 今日の一手

20161023今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、MさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と銀桂歩3の交換、成銀もありますし後手は歩切れ、先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。48飛も守りの駒と思えば先手玉のほうが少し堅いか。
先手の攻め駒は持ち駒桂1枚。64成銀や65銀はまだ敵陣に届いているとは言えません。
後手の攻め駒は86飛55角69角で3枚。

総合すればやや先手よしです。

☆ 大局観として

劣っているのは攻撃力だけですが、後手は88角成~99馬~89飛成、と駒損を回復する手段があるのでゆっくりしてもいられません。88角成を防いでゆっくりできればよいのですが。
ゆっくりしていられなければ攻め駒を増やして寄せ合いを考えねばなりません。成銀と銀を使うとして攻め駒3枚、もう一枚は53歩成で と金にすることです。


× 77桂打ちは66角

68飛が両取りですが47角成同銀57角成があります。飛車を取られると88飛成から駒を取られますから77桂打ちは無駄なだけです。
(68飛でよいなら66歩同角68飛というのもあるのですが)


△ 実戦は53歩成でした。

53同歩に54歩と合わせて、54同歩同成銀66角57歩33金寄

みんなかわされてしまって苦戦です。56金88角成45歩99馬44歩47歩同銀89飛成

飛車を攻めに使おうとしたのですが、47歩1本で止められては攻め合い負けです。

先手の工夫は54成銀と寄るところで53歩

これなら形勢不明でした。


○ 先ほどの53歩より遅く見えるのですが、63歩は後手に歩を渡さないので有力です。

88角成62歩成99馬52と89飛成42と同金寄35桂

こうなると後で53歩成があるので攻め駒の枚数が増えます。後手の攻めは速くない(48飛が受けに働いている)ので先手優勢です。

後手は別の攻めを考えたいのですが、45歩は56金

なのであまり効果なし。

また、66角は

飛車を取れますがやはり と金攻めのほうが速いです。

62歩成を受ける手、51銀は

53歩成同歩52歩42銀62歩成

とすればあまり速度は変わりません。

53歩成に同金

として、目標になる金を消せば速度が鈍るのですが、53同成銀同歩79金

として88角成を防ぎつつ角を手に入れれば86の飛車を攻められそうです。

戻って82飛と受けると

56金88角成62歩成(ここで同飛と取ると88飛)99馬52と同飛55桂

33金寄に63桂成から53歩成、ゆっくりした攻めですが続きます。


× 63成銀とすれば(63歩~62歩成よりも)1手速いようですが

88角成52成銀99馬35桂

89飛成43桂成同銀53歩成52銀同と

後手の66馬からの攻めのほうが速そうです。成銀では逃げてもらえなくて速度負けになりそうです。


× 他には59金と寄れば角が取れますが

47角成同飛88飛成


あるいは47角成に同銀57金

どちらも後手よしです。


△ 56金と出て

88角成45歩99馬44歩同金

ここで何かあればよいのですが。88歩に45歩か47歩かというところ、形勢は難しいですが後手のほうがわかりやすいです。


△ 37金として

59金を狙えば、88角成45歩99馬44歩同金

これも前の変化と同じようなものです。この局面は難しくても決め手がないと後手が良くなっていきます。


△ 35桂は33金寄となって

利かしではあるのですが得になるかどうか。何とも言えないところです。

☆ まとめ
駒得でも相手にだけ取り返す手段があるときは焦ります。
問題図ではそれを防げないので攻める手段を探すしかありませんでした。

大駒を中心に攻めを組み立てるのが普通なのですが、飛車を4筋で縦に活用するのは、後で47歩で止められそうです。また、64成銀と65銀が働きません。
68飛とまわろうとしても47角成があります。

飛車は守りに働いているので、小駒で攻めることになります。実戦のように64成銀65銀を金銀とぶつけても大きな戦果はありません。
持ち駒の桂で金銀をはがせるのならよいのですが逃げられます。
ということで、唯一の選択肢は と金を作って攻めることでした。
このとき63歩と63成銀を比較してみてほしいのですが、1手早く成銀で迫っても逃げてもらえないと金銀の交換だけです。53歩成が有効になればよいのですが、少し足りません。
63歩は52と までが1手遅くてもそこで逃げてもらえるなら追い付きます。逃げなければ銀をとれるわけで、攻めやすいですし、受けにも使えるかもしれません。
と金の遅早マムシの と金などという言葉がありましたが、それで間に合うのなら(思っているより間に合うことが多い)駒を渡さないので一番逆転しにくいのです。

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