名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(296); 中飛車に玉頭位取り

2016-10-03 | 大山将棋研究
昭和51年7月、松田茂行先生と第2期棋王戦です。


松田先生の先手中飛車ですが

急戦にはならず、落ち着いて

大山先生の玉頭位取りです。

松田先生は石田流から飛車先交換、これを許すのが大山流です。

73歩と謝りますが銀を出てけん制し

凸矢倉(銀立矢倉)まで囲えれば一安心。

松田先生は軽くけん制しますが

5筋の歩も交換できました。

玉頭位取りで2歩持てば十分でしょう。

松田先生は軽くさばこうとしますが、これも指しすぎ。後手玉が堅いので大さばきができません。

82歩と謝らせるのは気持ちよいですが

端攻めでさらに歩を渡してしまうことになりました。

大山先生は右桂をさばき

飛車を回ってドーン。

玉頭に手を付けると歩の枚数がものを言います。

角打ちで挟撃体制を作り

角を打たれれば44金打ちで

銀をとれました。

24香から松田先生の反撃ですが、中段玉を広げられ

捕まえにくいです。

ここで大山先生は寄せを読み切りました。

金2枚とらせても48銀不成から36歩、詰みませんが金を取って必至です。


大山先生の快勝譜。位取りの将棋の見本みたいな将棋でした。後手をもって並べましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:松田茂行8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 5八飛(28)
6 6二銀(71)
7 4八玉(59)
8 4二玉(51)
9 3八玉(48)
10 3二玉(42)
11 6六歩(67)
12 5二金(61)
13 6八銀(79)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 4二銀(31)
17 2八玉(38)
18 5三銀(62)
19 3八銀(39)
20 8四歩(83)
21 6七銀(68)
22 3五歩(34)
23 7七角(88)
24 4四歩(43)
25 7五歩(76)
26 4三銀(42)
27 7八飛(58)
28 4五歩(44)
29 5八金(69)
30 3三角(22)
31 9六歩(97)
32 8五歩(84)
33 6八角(77)
34 3四銀(43)
35 7四歩(75)
36 同 歩(73)
37 同 飛(78)
38 7三歩打
39 7五飛(74)
40 6四銀(53)
41 7八飛(75)
42 4三金(52)
43 5七金(58)
44 2二玉(32)
45 4六歩(47)
46 3二金(41)
47 9七香(99)
48 5三銀(64)
49 4五歩(46)
50 同 銀(34)
51 7五飛(78)
52 5五歩(54)
53 同 歩(56)
54 6四銀(53)
55 7六飛(75)
56 5五銀(64)
57 5六歩打
58 4四銀(55)
59 6五歩(66)
60 2四歩(23)
61 4六歩打
62 3四銀(45)
63 4七金(57)
64 2五歩(24)
65 7七角(68)
66 9四歩(93)
67 6四歩(65)
68 同 歩(63)
69 7四歩打
70 7二飛(82)
71 7五飛(76)
72 7四歩(73)
73 8五飛(75)
74 8二歩打
75 9五歩(96)
76 同 歩(94)
77 9四歩打
78 5一角(33)
79 3六歩(37)
80 7三桂(81)
81 8六飛(85)
82 3六歩(35)
83 同 金(47)
84 6五桂(73)
85 6六角(77)
86 3三角(51)
87 9三歩成(94)
88 4二飛(72)
89 8二と(93)
90 3五銀(44)
91 3七歩打
92 3六銀(35)
93 同 歩(37)
94 2六歩(25)
95 同 歩(27)
96 2七歩打
97 同 玉(28)
98 2五歩打
99 9一と(82)
100 2六歩(25)
101 3七玉(27)
102 6六角(33)
103 同 銀(67)
104 8五歩打
105 同 飛(86)
106 6七角打
107 8一飛成(85)
108 5六角成(67)
109 2四香打
110 3三玉(22)
111 5五角打
112 4四金打
113 6四角(55)
114 6六馬(56)
115 2一龍(81)
116 3五歩打
117 4八桂打
118 5四金(44)
119 4二角成(64)
120 同 金(43)
121 5一飛打
122 5二歩打
123 2三銀打
124 5七銀打
125 3二銀成(23)
126 4四玉(33)
127 4二成銀(32)
128 4八銀(57)
129 同 金(49)
130 3六歩(35)
131 投了
まで130手で後手の勝ち
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20161003今日の一手<その396>; 攻防の手を探す

2016-10-03 | 今日の一手

20161003今日の一手

8月の社団戦で私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

少し前から見ておきます。藤井聡太新四段との2012年の対局ですから、まだ小学生ですね。

例によって角換わりですが、これは1歩得して歩を謝らせたので私が十分な局面。77桂とか46角とか、74の銀をさばかせないように指せば十分だったはず。それを75歩85銀同銀同飛77桂84飛74歩同飛65銀

ここでもいっぺんに良くしようとしてしまいました。角を引いて72歩を狙えば指しやすかったのですが。64飛同銀46角

で「両取り見えない病」再発です。形勢がよい時は形をよくして待つくらいの心がけがよいようです。まあ18飛64角に61飛で返せるので逆転はしていませんが、互角に近くなってしまいました。
以下は長いので読み飛ばしてよいですが、18飛64角に61飛の後、
46角41銀51銀52銀成同銀81飛成92角91竜29角成65桂61歩56香75桂(55からだった)53桂成31玉52成桂67桂成同金18馬同香88銀で問題図です。


☆ 形勢判断をします。
金と桂香歩の交換で成桂と竜を作っています。少し先手が駒得ですが終盤なので考慮しなくてよいでしょう。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は52成桂に持ち駒角金銀桂桂で6枚、91竜も入れてもよさそうで十分にあります。
後手の攻め駒は46角88銀と持ち駒飛金銀で5枚、こちらも十分です。

総合すれば後手よしか。

最終盤では何手で詰めろかを数えたほうが正確です。
先手玉は詰めろです。飛車を打たずにぱっと退路封鎖で銀を打つ当たりが藤井先生(プロになったので先生と呼びます)の強さです。あとで手順を見てみましょう。
後手玉は単に41銀で詰めろかどうかは怪しいところですが何とか詰むようです。61竜22玉41銀なら確実に詰めろ。
つまり先手玉は1手すき、後手玉は2手すき、手番は先手にあるとはいえ、このままなら後手の勝ち、形勢判断としては後手が有利です。

大局観として

最終盤で大局観というほどのものはないのですが、1手負けですから、受けて2手以上延ばす(3手すきにする)か、攻防の手を指す(先手玉を2手すき、後手玉を1手すきにする、つまりは詰めろ逃れの詰めろ)ことができれば逆転します。見つからないときでも、(時に王手を交えながら)受けて1手すきを2手すきにし続けることが必要で、詰めろをしのいでいくわけです。


× 61竜は王手ですが22玉で

後手玉は詰まず、また後手も受けやすくなるので味消しです。安易に指してはいけません。


× 41銀は詰めろですが

38飛に58金は79銀打69玉78金

で詰みです。以下は78同玉は58竜68桂77金同金68竜。59玉は37角成48桂68銀成同金48馬。

38飛に58桂とすると79銀69玉68金

以下は68同金同銀成同玉77金69玉39飛成59桂79銀成同玉59竜・・・


× 普通に受ける手を見ます。78金は

受けて銀を取りたいのですが、38飛58桂59銀69玉48銀成

合駒した桂を取られて受けが無くなりそうです。


× 79歩は

38飛に58桂だと59銀

59同玉には37角成68玉58飛成同玉46桂68玉59馬以下の詰み、69玉は68金から ばらせば41銀の変化と同じ筋です。

ということで58金と合駒して37角成に69銀

とすればまだ持ちそうに見えますが、持ち駒に金銀が無くなったので47銀と足されて受けが無くなります。


× 左を受けてもだめなので右を受けるなら59金です。79飛とされて

77金以下の詰めろ。69桂37角成78歩に89銀打

結局受けはなくなります。

後手は攻め駒が4枚あるので、薄い玉を補強しても間に合いません。88銀がよい手だったとわかります。


○ 実戦は86角としました。

王手で詰めろを防いでいます。22玉に41銀38飛58桂

この先手玉が詰まないのです。藤井先生はあっさり47銀だったので32銀成同玉31角成と捨てて

31同玉61竜22玉32金

ぴったり詰んで私の勝ちになりました。

では本当に勝ちかといえば難しく、47銀では31金打ちがありました。

詰めろ(らしい手)を続けるなら32銀成同金31金ですが、31同金同角成12玉

これがどうにも詰みません。角はいなくなったし、1枚渡しているのですから受けもなく、これは後手の勝ちです。

ということは31金打32銀成同金の後、49金

と受けてまだまだ長くなりそうです。後手玉にはなかなか詰めろがかからないので後手が有望です。

他には86角に53歩も難解。

53同角成では角が受けに利かなくなるのです。41銀に38飛58桂79銀打69玉39飛成59桂37角成

これで先手玉が詰めろ、後手玉は詰みません。受けも難しいので後手の勝ちでしょう。

戻って53歩に61竜として

22玉41銀なら詰めろですが、31金打32銀成同金

の形も駒を渡さずに詰めろがかかりません。(42金打では金を渡して詰まされる。)

一番有力そうなのは53歩の中合いに同香成

として、22玉43成香同金61竜

として詰めろが続きます。でも38飛58桂75香

が詰めろ逃れの詰めろで後手の勝ち。

では53香成ではなく53成桂として、22玉43成桂同金61竜ならどうか。

今度は75桂や64桂ではぬるいのですが、38飛58桂79銀打69玉77桂

77同角で詰めろは消えますが、後手玉が詰まないのでこれも後手の勝ちです。


△ もう一つ、15角というのも攻防の角で

右側を守って詰めろを消していますし、38飛48桂39飛成などでは61竜22玉33角成

として詰んでいます。詰めろ逃れの詰めろだったのですね。

けれど、この詰めろは後手玉を上部へ追うので、28飛48桂27飛成

ならば詰めろ逃れの詰めろになります。これは後手の勝ちのようです。


☆ まとめ
結局は後手の勝ちが結論ではあるのですが、
単純に受けるだけでは手が伸びなさそう、つまり1手すきを受けて3手すき以上にするのは大変です。59金~69桂と持ち駒を投入すればまだ頑張れるのですが、後手は攻め駒が5枚あるので受けきれないのです。

ですから攻防になりそうな手を探すしかありません。
86角が一番有力でしょう。うまくごまかせました。私は詰将棋が苦手だと公言しておりますが、問題図の先手玉が詰まされそう、86角は受けにも利いている、というのは感覚的にわかっていたのだと思います。もっと前から読み切っているのなら格好いいのですけどね。86角22玉に41銀が詰めろかどうか、多分これくらいは読んでいたのだと思いますが、詰めろになりそうな手としてはこれしかありません。いろいろ偶然が重なり幸いしました。読みの鋭い少年相手に終盤で逆転するのは並大抵のことではありません。有利になっていたのですからもっと中盤からゆっくり指そうと反省する次第です。

それはともかく、86角は攻防ですから、後手を持ったとしたら素直な応手だけではいけません。41銀が詰めろかどうか読んで、そこで31金打を発見できれば大したものです。同じように見えますが1枚もらって12玉で耐えていました。
その前に角で王手されたら中合いも考えてみるものです。53歩なんてどれで取られても意味がなさそうですが大きく違いました。

他には15角も攻防の手、でもこれは気が付きにくいですね。手拍子で61竜22玉と追ってしまってから、あわててひねり出す手かもしれません。





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