名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(298); 三間飛車に左美濃

2016-10-05 | 大山将棋研究
昭和51年8月、有吉道夫先生と第15期十段戦です。


大山先生の先手三間飛車、有吉先生は天守閣美濃です。

当時は53の銀を33にもっていく4枚美濃は開発されておらず、(だれが始めたのでしたっけ?)

両者美濃囲いという将棋です。角の位置と85歩が違いですが

大山先生は端から動きました。

81の桂を跳ねていないときは戦いにはなりません。大山先生はあくまで軽く動こうとします。

53の銀を62に引いたのを見て動きますが

飛車をぶつけられないのではやや失敗。

87歩の筋もあり、ゆっくりできないので桂を跳ねると、玉を固めた有吉先生は火の玉流です。

飛車交換になり、ここからの数手で決まります。

64歩は桂を使おうという意味もあり本手でしょう。69飛には65飛ではないかと思うのですが。飛角交換で後手を引いても桂を使えます。

先に桂を取ればよさそうに見えるのですが、66歩が痛い。と金を防げません。

銀を取り馬を潜り、有吉先生が好調です。

大山先生の反撃ですが

その桂で攻められます。これで4枚の攻めですから切れません。

58金打が手堅く見えましたが、銀打で

寄せられました。

投了図。

いかにも火の玉流、有吉先生の厳しい寄せでした。玉を固めたら猛攻するのです。
大山先生は動き過ぎだとは思うのですが、65飛でまあまあではなかったかと思います。こういう互いに玉の堅い将棋、美濃と左美濃とか、相穴熊とかは中盤の駒のぶつかり合い、終盤の入り口くらいで勝敗が決まってしまうのでそのあたりを読んで検討してみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 7四歩(73)
15 5八金(69)
16 5二金(61)
17 5六歩(57)
18 5四歩(53)
19 2八玉(38)
20 1四歩(13)
21 1六歩(17)
22 2四歩(23)
23 3八銀(39)
24 2三玉(32)
25 5七銀(68)
26 3二銀(31)
27 4六歩(47)
28 4四歩(43)
29 3六歩(37)
30 9四歩(93)
31 4七金(58)
32 6四歩(63)
33 9六歩(97)
34 5三銀(62)
35 2六歩(27)
36 4三金(52)
37 3七桂(29)
38 6二飛(82)
39 6八飛(78)
40 3三桂(21)
41 9七香(99)
42 3一角(22)
43 9五歩(96)
44 同 歩(94)
45 9八飛(68)
46 8二飛(62)
47 9五香(97)
48 9二歩打
49 9六飛(98)
50 2二玉(23)
51 5九角(77)
52 6二銀(53)
53 8六歩(87)
54 5一銀(62)
55 8五歩(86)
56 同 飛(82)
57 8六歩打
58 8二飛(85)
59 7七桂(89)
60 6五歩(64)
61 同 歩(66)
62 8六飛(82)
63 同 飛(96)
64 同 角(31)
65 6四歩(65)
66 6九飛打
67 8五飛打
68 9七角成(86)
69 8一飛成(85)
70 6六歩打
71 6三歩成(64)
72 6七歩成(66)
73 6四歩打
74 5七と(67)
75 同 金(47)
76 7九馬(97)
77 4七金(57)
78 4五歩(44)
79 5三桂打
80 同 金(43)
81 同 と(63)
82 4六歩(45)
83 4八金(47)
84 4七桂打
85 5八金打
86 6八銀打
87 同 角(59)
88 同 馬(79)
89 同 金(58)
90 3九角打
91 2七玉(28)
92 4九飛成(69)
93 同 金(48)
94 2八金打
95 1七玉(27)
96 3八金(28)
97 3九金(49)
98 同 桂成(47)
99 投了
まで98手で後手の勝ち
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20161005今日の一手<その397>; 大駒を働かせる

2016-10-05 | 今日の一手

20161005今日の一手

8月の社団戦から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるのでカウントせず、馬を作っている分だけわずかに駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は81馬45桂と持ち駒銀で3枚。
後手の攻め駒は26角と持ち駒銀で2枚。73桂は数えてよいか微妙です。65の歩を取っても先手陣にはひびかないので除外しておきましょうか。
総合すれば先手が指しやすい局面です。

大局観として

わずかに駒得ですが、もっと駒得しよう、と安易に考えると危険です。
例えば92の飛車を馬で取って桂か香を拾う、というのは駒得で攻め駒も増えるのですが、後手の攻め駒も増えるので注意しなければいけません。
形勢判断で劣っているのは玉の堅さで、少しでも堅くしておきたいのですが、後手玉より堅くするのは手数がかかります。
攻め駒を4枚にするというのは有力で、と言っても38飛を攻め駒にするのは難しいのですが、後手の角と刺し違えることを考えるのでしょう。それなら後手の攻め駒が増えません。
問題図では49銀が見えていますね。これに対応しつつ、上のことを考えます。だから少し難しいです。


× 67金右が先手玉を固めて49銀を避ける、一番自然な手に見えます。

68金右でも同じ意味ですが、この場合は後手から67歩とたたかれると同金右でしょうから、後手に選択権を与えるのと、66銀が浮いているのが気がかりなので67金右のほうでしょう。
この時46歩と垂らされるのが気になります(48歩には27銀)。92馬同飛91飛として

22玉92飛成47歩成18飛に58銀で

先手から41銀とか29香とか有力な筋があるけれども、玉が薄くて寄せ合いは難しいです。


× 先に92馬と飛車を取ると

92同香91飛22玉92飛成に49銀です。

48飛として同角成ならよいのですが、58銀成同飛67歩

というのは食いつかれています。角を渡したので49角の筋があり受けきれないでしょう。後手玉の堅さが目立ちます。


× 39飛は割打ちを避ける手ですが47歩が嫌味。

相居飛車では8段目の飛車は受けに利いているのですが、9段目では受けに利きにくいですから損をしている感じです。
歩を垂らされて困っています。47同金に46歩37金48銀26金39銀不成

は銀を使わせたので難しいとはいえ、26金がばからしいです。でも55銀が44歩を狙って厳しいのでまだ戦えるのですが、これでよいとは言いにくいです。


○ 実戦では悩んで35歩を発見しました。

49銀には36飛と返そうという手で、34歩と取り込めば45の桂馬にカツが入ります。
86歩と合わされて、変な手だなあと思いつつ対応を間違えました。36飛ならよかったのです。

35角に86歩44歩33歩

となれば好調です。

44歩ではなく22玉に54銀

はまだ難しいですが先手のペースです。後で似た変化が出てきます。

実戦では86歩に34歩と取り込みました。

87歩成同金86歩同金49銀

36飛58銀不成26飛67銀成

これは失敗したと気が付いたのですが、88玉に44歩だったので78銀で

危地を脱出しました。ここでは先手有利です。この後は飛車をいじめつつ入玉を図り・・・のはずが欲張りすぎて食いつかれて負けです。

後手は44歩ではなく78金98玉88歩

とゆっくり確実な攻めがあり、これは私の負けでした。
駒得は危険だ、という好例です。


× 27歩は損な手なのですが

49銀なら26歩38銀不成

銀を使ってもらって飛角交換ならよいでしょう。

でも27歩に44角と引かれたら

67金右46歩92馬同香91飛22玉92飛成47歩成18飛

58銀も嫌ですし、56歩同歩46角も嫌です。


○ 他には83銀として

飛車取りに取りを重ねるという悪い手の見本がありますが、案外有力です。
49銀に92銀成38銀不成91馬49飛88玉45飛成

としてしまうと相入玉になりそうですが

冷静に18飛として(あるいは48飛でも)

58銀不成同飛52飛63馬54飛73馬

というのは先手が指せそうです。83銀が遊んでいるようでも、先手が入玉するときに役立ちます。


△ 単に63馬とするほうが筋がよいのですが

54銀73馬45銀55馬46桂

ふんどし をかけられます。28飛37角成18飛44歩68金右

37馬の形にするのが工夫で両取りを逃げられました。後手に73桂をさばかれたのが ばからしくはあるのですが、先手の45桂と交換ですから、この図は全くの互角という感じです。


○ 最後に54銀

馬を使うならこれが本筋です。
後手は54同金同馬43銀打なら55馬なので取れず、だから後手玉を薄くできます。
49銀48飛58銀成同飛46歩なら

43銀成同銀92馬同香91飛22玉92飛成

これは42金の寄せを見ています。調子がいいですね。62歩には29香が好打で、これは先手優勢です。

後手は54銀に黙って22玉のほうが難しいです。

35歩が筋(34歩の当たりがきつくなった)で、同角43銀成同銀92馬同香72飛62歩92飛成

今度は先手玉のほうが堅いので、飛車を切って攻められます。この後で33歩同桂同桂成を急ぐと、33同玉で入玉含みは嫌なので、33同桂を取らずに飛車を切って53桂成の筋で攻めます。


先手が良さそうな問題図でしたが、それにしては手が難しいです。後手玉が堅いというのがその原因で、49銀を避けると46歩や47歩がある、だから実戦の35歩がよい手でした。飛桂を使うという意味でもあります。(そのあと34歩の取り込みは危ない手でしたが。)

先手の主張は81馬なのですから、92馬と取るのを本線に考えてはいけません。あくまで後手に隙ができたら考える手です。その隙は54銀と打って、後手玉を薄くするとできるのです。取られて43銀打で後手を引くようではいけませんが、ここでは55馬が好調子なのを確認して打ちます。

他には83銀という「羽生ゾーン」も有力で、わざわざ持ち駒の銀を打って飛車を取るのはバカらしいのですが、後手に角を渡すよりは銀を渡すほうが反撃をくらいにくい、ということで、この場合は成立します。また、駒取りに駒取りを重ねるというのは悪手の典型ではあるのですが、その飛車に逃げられても桂香を拾える、打った銀は入玉するときに働いている、という好条件があるので成立していました。
たまには不自然な手が好手になることもあります。

ということで、正解になる手は3つ(63馬もまあまあ)だと思いますが、飛車や馬(大駒)を使おうとする手だ、という共通点があります。性能がよい駒を遊ばせておいてはいけません。

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