飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

今日のニュース140616

2014-06-16 07:43:24 | 佐鳥新の教授&社長日記

■東レ、成形容易で光沢持続する自己修復フィルム開

 東レは成形しやすく、光沢感が持続する自己修復コートフィルム(写真)を開発した。最大成形伸度で300%を備え、耐傷性を両立した。形状が複雑で鏡のような光沢が求められる電子機器や家電製品、自動車内装用、フレキシブルディスプレーの表面基材向けなどに幅広く提案する。2016年度に10億円の売り上げを目指す。

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820140616cbao.html

 

■フェイスブック、ウェブ閲覧履歴をターゲティングに利用

フェイスブックはコードを用いて利用者のコンピューターからウェブ閲覧履歴を収集するほか、利用者がダウンロードしたモバイルアプリに関する情報も取得する。従来はこうした情報をセキュリティー上の目的にのみ使用すると述べていた。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304826804579620173416678300?mod=WSJJP_Technology_Left_Latest_News

 

■紙飛行機がミニ無人機に変身、小型製品続々と

紙飛行機を無人機に変える装置「PowerUp 3.0」を開発したのは、イスラエル空軍の元パイロットShai Goitein氏だ。超小型バッテリーが搭載された軽量の操縦・駆動システムを折り紙で作った紙飛行機に装着し、iPhoneのBluetooth(ブルートゥース=近距離無線)をオンにして接続することで遠隔操作ができる。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304826804579617761209840046?mod=WSJJP_Technology_Left_Latest_News

 

■宇宙ベンチャー躍進、岐路に立つ日本の宇宙開発

チームHAKUTO(白兎)、彼らが目指すのは月。国際的な宇宙開発レースに唯一、日本からエントリーしています。課題は、月面に探査機を送り、500メートル走らせ、画像を送信。来年末までにいち早く達成したチームが、賞金20億円を手にします。HAKUTOには、エンジニアをはじめ、さまざまな職業のボランティアが参加。資金は投資で賄います。宇宙事業は今、こうした民間が主役になりつつあります。

(抜粋記事)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140614-00000001-jnn-soci

 

■5分間の宇宙旅行に中国人300人が殺到、料金1000万円

国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によると、オランダの宇宙旅行会社「スペース・エクスペディション社(Space Expedition Corporation、SXC)」が企画した旅行のチケットを、ネットオークションサイト「淘宝(タオバオ、Taobao)」で販売したところ、305人が購入したという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140613-00000047-jij_afp-int

 

 

 


ハイパースペクトルカメラの開発の歴史

2014-06-16 06:30:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

2003年に「道民の力で北海道衛星を打ち上げよう」というキャッチフレーズの下に産学連携の地域の人工衛星開発プロジェクトを立ちました。人工衛星は搭載するセンサーが提供するデータが仕事をすることから、私たちは北海道の広大な農地で成育される農産物の作柄を評価することを目的に、イメージセンサーとして今でいう「ハイパースペクトルセンサー」と同じ原理のスペクトルセンサーを考案しました。北海道衛星プロジェクトのために考案したセンサーは、当時は「多波長高分解能カメラ」と呼んでいましたが、その後、海外の論文を読んでいく中でハイパースペクトルイメージャーを知るようになりました。2003年頃は国内でハイパーを知っている研究者は殆どいませんでした。
このハイパースペクトルセンサーは複数のバンド(波長)を同時に捉えることのできる画像センサーで、選択する波長を変えれば農業以外の様々な用途に用いることができるという利点があります。
そこで、私たちは2003年の後半より経済産業省のモノづくりの研究助成支援のもとに「HSC1.0」を試作しました。HSC1.0の開発にはベンチャー企業ATF(エイ・ティー・エフ)が協力しました。ハイパースペクトルセンサーは衛星の移動を利用して画像を取得するラインセンサーですが、HSC1.0はスキャン機構を内蔵することによってカメラのように使うことができます。この機能を直感的に表現するために同年に佐鳥が「ハイパースペクトルカメラ」という"名称"を作りました。(今では多くの方がこの名称を使って下さるようになりました。)ところで、「HSC□□...」の1番目の数字についてですが、実験室など地上で使うタイプを"1"、航空機で使うタイプを"2"、衛星搭載タイプを"3"と定義しています。
最初の試作機であるHSC1.0ではVGAサイズで72バンドのスペクトル画像の撮影に数十秒かかっていましたが、次に撮影速度を2秒まで上げた「HSC1.5」を製作しました。HSC1.5をハードディスクに高速書き込みができるように改良して連続撮影に対応させた「HSC1.51」を完成させ、セスナを使った航空機リモートセンシングの実験を富士通と行いました。HSC1.51では一度の撮影で約1億画素相当の膨大なスペクトルデータを取得することができました。

HSC1.0の光学系を小型化した「HSC1.7」を4機製作し、内蔵のスキャン機構の駆動方式などの技術研究を行いました。HSC1.7はとても使いやすい機種で、北海道工業大学の多くの学生の卒業研究や修士論文の実験に使われました。HSC1.7の技術研究をもとに2007年に最初の製品版である「HSC1700」を完成させ販売を開始しました。翌年には露光モードなど幾つかの撮影機能を追加した「HSC1701」(後のHSC1701-H)が完成しました。

スピンオフの分野では大学の基礎研究の成果としてスペクトル技術を応用した鮮度測定法を確立し、「鮮度センサー」を開発、2008年に日本機械学会北海道支部技術賞を受賞しました。
衛星搭載用のセンサーについては、まず北海道工業大学(現・北海道科学大学)の佐鳥研究室にてLEDを用いた機上校正装置の研究から始め、その研究成果を国際会議International Symposium on Space and Technology Scienceで発表、2010年の日本航空宇宙学会誌(英語版)に掲載されました。2011年に文部科学省の超小型衛星研究開発事業に採択されて大型の予算を確保し、北海道大学の戸谷先生、北海道工業大学の青柳君(当時は大学院生、現・東京大学研究員)、都立産業技術高専の石川先生、アイドマ、植松電機、オービタルエンジニアリングとの共同研究として光学系の重量5kgの可視・近赤外帯(VNIR)の75バンドの宇宙用プロトモデル(PM)の「HSC」を完成させました。「HSC」は某電気メーカーの小型衛星搭載ミッション機器の最有力候補として検討されています。

衛星搭載センサーからの民生へのスピンオフとして2013年2月に"明るい光学系"を実装した「Cosmos Eye HSC1702」を完成させました。HSC1702はHSC1701-Hの後継機として位置付けられています。2013年度末にはリモートセンシング用の高解像ハイパー「HSC1802-USB3」「HSC1803-USB3」、医療分野で有望な高速・高解像(2K)の「HSC1802-CL」などを開発・販売しています。

特注では2011年度末に1000万画素(4K2K; 4000×2500pixel×400バンド)の高精細なハイパースペクトルカメラを開発しました。2014年度内には学会発表を計画しています。

http://www.hokkaido-sat.co.jp/product/hsc-histry