知人の林雅敏氏のブログに興味深い記事が載っていたので紹介します。
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2/14 日本の国際貢献(5)植物工場が食糧危機を救う
今日は話をもう一度「水」や「食糧」の問題に戻すことにしましょう。
先に、エネルギー問題に触れたのは、水や食糧問題の本質はエネルギー問題であるからです。
言い換えれば、食糧問題とエネルギー問題は表裏一体の関係にあり、エネルギー問題を解決することなしに食糧危機は解決できないからです。
一例をあげましょう。わが国の農業を概観して見て下さい。耕作放棄地の問題や後継者問題で大きな課題を抱えていますが、それでもわが国で「農業」という産業がやっていけるのは、石油があるからです。
石油なしにビニールハウス栽培も米の乾燥も食品加工も運搬も成り立ちません。
そこでこれからの話は、わが国が「エネルギー大国」になったこと、あるいは「エネルギー大国を目指すんだ」ということを前提にどんな農業の形態があるか考えてみようと思います。
その一つが「植物工場」です。これは水耕栽培によって作物を大量生産するシステムです。「閉鎖型」といって完全に外界から遮断された建物の中で栽培する方法と「全天候型」といって昼間だけ太陽光を利用する方法があります。
いずれにしても温度、湿度、液肥を人間が管理し人工光を使って光合成を促進させ作物の成長速度を速めることには違いはありません。
そして、その特徴は
① 収穫量が天候に左右されず工業製品のように周年生産が可能である。
② 上記の理由で生産物の価格を安定させることができる。
③ 完全無農薬である
④ 消費者のニーズにあった「特殊な作物」生産が可能である。
⑤ 最低限の水の使用で最大限の作物を生産する。
④については、例えばビタミンAを多く含んだレタスとか、ビタミンCを多く含んだトマトとか、「サプリメント」的要素を加えることが出来るという意味です。
わが国では現在、トマトやレタスなどが植物工場で生産され販売されていますが、三重大学や東海大学などの実験室レベルでは、レタスの28毛作、米の8期作やお茶の8毛作に成功しています。
さらに、一つのプラントは4~5層くらいですので、単位面積あたり4~5倍の収穫が見込めます。工場を30階建てにすれば150倍となるでしょう。
課題は人工光のコスト削減ですが、「赤い光」の波長と「青い光」の波長だけを吸収して植物の光合成が行われていることが発見されましたので、現在植物工場用のLEDの開発が猛スピードで進んでいます。
これに必要な電力を太陽光とか風力、マイクロ水力発電などの「再生可能エルネギー」を使えば、植物工場は「エコ」な農場ということになるでしょう。
この技術を世界が注目するのは、単に生産量のみではありません。砂漠の国々では「水」が大切ですから、「最低限の水で最大限の収穫を得る」システムに大きな関心を寄せているのです。
また、わが国でも後継者不足や耕作放棄地問題がありますが、中山間地のようにエネルギーが安価で豊富に手に入れば、耕作放棄地に植物工場を建て、若者に農業をしてもらうことも可能です。
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2/14 日本の国際貢献(5)植物工場が食糧危機を救う
今日は話をもう一度「水」や「食糧」の問題に戻すことにしましょう。
先に、エネルギー問題に触れたのは、水や食糧問題の本質はエネルギー問題であるからです。
言い換えれば、食糧問題とエネルギー問題は表裏一体の関係にあり、エネルギー問題を解決することなしに食糧危機は解決できないからです。
一例をあげましょう。わが国の農業を概観して見て下さい。耕作放棄地の問題や後継者問題で大きな課題を抱えていますが、それでもわが国で「農業」という産業がやっていけるのは、石油があるからです。
石油なしにビニールハウス栽培も米の乾燥も食品加工も運搬も成り立ちません。
そこでこれからの話は、わが国が「エネルギー大国」になったこと、あるいは「エネルギー大国を目指すんだ」ということを前提にどんな農業の形態があるか考えてみようと思います。
その一つが「植物工場」です。これは水耕栽培によって作物を大量生産するシステムです。「閉鎖型」といって完全に外界から遮断された建物の中で栽培する方法と「全天候型」といって昼間だけ太陽光を利用する方法があります。
いずれにしても温度、湿度、液肥を人間が管理し人工光を使って光合成を促進させ作物の成長速度を速めることには違いはありません。
そして、その特徴は
① 収穫量が天候に左右されず工業製品のように周年生産が可能である。
② 上記の理由で生産物の価格を安定させることができる。
③ 完全無農薬である
④ 消費者のニーズにあった「特殊な作物」生産が可能である。
⑤ 最低限の水の使用で最大限の作物を生産する。
④については、例えばビタミンAを多く含んだレタスとか、ビタミンCを多く含んだトマトとか、「サプリメント」的要素を加えることが出来るという意味です。
わが国では現在、トマトやレタスなどが植物工場で生産され販売されていますが、三重大学や東海大学などの実験室レベルでは、レタスの28毛作、米の8期作やお茶の8毛作に成功しています。
さらに、一つのプラントは4~5層くらいですので、単位面積あたり4~5倍の収穫が見込めます。工場を30階建てにすれば150倍となるでしょう。
課題は人工光のコスト削減ですが、「赤い光」の波長と「青い光」の波長だけを吸収して植物の光合成が行われていることが発見されましたので、現在植物工場用のLEDの開発が猛スピードで進んでいます。
これに必要な電力を太陽光とか風力、マイクロ水力発電などの「再生可能エルネギー」を使えば、植物工場は「エコ」な農場ということになるでしょう。
この技術を世界が注目するのは、単に生産量のみではありません。砂漠の国々では「水」が大切ですから、「最低限の水で最大限の収穫を得る」システムに大きな関心を寄せているのです。
また、わが国でも後継者不足や耕作放棄地問題がありますが、中山間地のようにエネルギーが安価で豊富に手に入れば、耕作放棄地に植物工場を建て、若者に農業をしてもらうことも可能です。