飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙関連情報: インドと10月宇宙実験 ISS後にらむ 藻類培養、「植物工場」の可能性探る

2009-06-14 12:00:00 | 北海道衛星
インドと10月宇宙実験 ISS後にらむ 藻類培養、「植物工場」の可能性探る

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年秋、インドと共同で回収型の人工衛星を使った生命科学実験を行うことが分かった。日本とインドが共同で宇宙実験をするのは初めて。宇宙大国入りを目指すインドと協力関係を築くことで、米スペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)の運用終了後も長期的に科学実験の機会を確保していく狙いがある。(長内洋介)

 ■回収型衛星使用

 共同実験に使うのは、インド宇宙研究機関(ISRO)が開発した回収カプセル型の実験衛星「SRE2号」。JAXAの小型実験装置などを搭載し、10月にインド南東部沿岸から打ち上げる。

 実験装置にスピルリナという原始的な藻類を入れ、高度約625キロの軌道上で培養。約2週間後、帰還カプセルを海上で回収する。光合成に与える無重力の影響を遺伝子レベルで分析し、宇宙で食糧を生産する「植物工場」の可能性などを共同研究する。

 JAXAは近くインド側と協力協定を締結し、6月中にも実験装置を輸送。研究には東大、中央大、茨城大なども参加する。約2年前、インド側から共同実験の提案があり、研究者レベルで検討を続けていた。

 日本は昨年からISSの実験棟「きぼう」で宇宙実験を始めた。しかし、米国はISSの運用計画を2015年までしか示しておらず、その後の見通しは不透明だ。ISS計画が打ち切られると、日本は宇宙実験の場を失うことになる。

 回収型衛星はISSと比べて短期間で小規模の実験しかできない半面、低コストで運用しやすい利点がある。日本では平成14年に1基を打ち上げたが、その後の計画はない。JAXAはインドとの協力関係を深め、今後も継続的に実験機会を確保したい考えだ。

 ■生命科学を研究

 一方、15年に有人宇宙飛行を目指すインドは、宇宙での科学実験を強化している。回収型衛星は07年に1号機を打ち上げ、材料分野の研究を独自に行った。今回の2号機は、日本の先端技術を習得して生命科学研究を加速させるのが狙いとみられる。

 JAXAは中国との間でも来年以降、有人宇宙船「神舟」または回収型衛星を使って、半導体の結晶成長に関する共同研究を行う方向で協議しており、ISS計画に参加していないアジアの宇宙新興国との連携を模索する動きが活発化しそうだ。

出典: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090612-00000140-san-soci

宇宙関連情報: 超高速インターネット衛星「きずな」による皆既日食の映像伝送

2009-06-14 07:00:00 | 北海道衛星
超高速インターネット衛星「きずな」による皆既日食の映像伝送について
http://www.jaxa.jp/press/2009/06/20090612_kizuna_j.html

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。理事長:立川
敬二)は、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮
原 秀夫)、自然科学研究機構国立天文台(以下「NAOJ」という。台長:観山
正見)と共同で、7月22日(金)に、硫黄島から超高速インターネット衛星
「きずな」(WINDS)*1を用いて今世紀最大となる皆既日食*2の映像伝送実験
を実施する予定です。実験では地球局を硫黄島に設置して、「きずな」による
155Mbpsの回線で複数のハイビジョン映像を伝送し、アジア・太平洋地域向け
アンテナを使用した高速データ伝送能力を実証するとともに、実験映像を広く
公開します。

【背景】
 今世紀最大の日食となる7月22日(金)の皆既日食は、日本の陸地で観測で
きる皆既日食としては46年ぶりであり、また次回は26年後まで起こらないなど、
非常に珍しい貴重な自然現象です。JAXAとNICTは、この機会を捉え、今後計画
されている「きずな」を利用したアジア・太平洋島嶼国との実験に向けた第一
歩として、硫黄島・父島(東京都小笠原村)からの皆既日食の映像伝送実験を
実施する予定です。

【伝送実験の概要】
 光ファイバーなど、高速な通信回線のない硫黄島からのハイビジョン映像中
継の実現のために、NICTは2.4mのアンテナを有する車載型地球局で「きずな」
に向け155Mbpsの速度で日食の映像を送信します。「きずな」衛星はアジア・
太平洋地域全体をカバーするアクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)を
用い、東京都小金井市や茨城県鹿嶋市などのNICT、JAXA地球局に向けて映像を
中継し、さらにNICTが有する地上高速ネットワークJGN2plusなどを経由して
NAOJに送られます。実験映像は上野にある独立行政法人国立科学博物館をはじ
め、各地の科学館、放送局等へ配信され、広く公開される予定です。
 このように本伝送実験はブロードバンドの宇宙通信ネットワークと地上高速
光ネットワークが連携した高度な通信実証であるとともに、稀有な天体現象を
ネットワーク経由で多数の方に共有いただくことを目指す内容となっています。
(補足資料、図1)。

 なお、現地天候等の条件によっては日食映像の伝送が行なえない場合もござ
いますので、あらかじめご了承ください。

【硫黄島での日食時間帯】(国立天文台より)
硫黄島での食の始まり   10時1分から
皆既日食の時間帯     11時25分から11時30分まで(最大11時28分)
食の終わり        12時52分

<用語 解説>
*1 超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)
アジア・太平洋地域のデジタル・ディバイドの解消、衛星利用の高度化等に必
要なギガビット級の超高速衛星通信技術の確立を目的に、JAXA及びNICTが開発
した研究開発衛星で、平成20年2月23日にH-IIAロケットで打ち上げられ、平成
20年6月30日からは定常運用が開始されています。衛星通信能力として、「き
ずな」に搭載されているNICT開発の再生中継器を用いることで、小型地球局
(VSAT)を用いて最大155Mbpsのメッシュ接続による通信が可能です。また、
1.1GHz帯域幅のベントパイプ型の衛星中継モードを用いれば、世界最高速の
1.2Gbps伝送が可能です。

*2 2009年7月22日(水)皆既日食
今回見ることのできる皆既日食は、皆既の時間帯に太陽の高度が高く、皆既の
時間が長いなど非常に条件のよい皆既日食です。トカラ列島から小笠原の範囲
で日食がみられ、日本の中で皆既日食が起きるのは46年ぶりです。我々は、太
陽、月、地球のという天体が起こす皆既日食の織りなす自然の躍動をハイビ
ジョン映像で伝え、この希有な天体現象の素晴らしさを世界中の皆様と共有し
たいと考えております(補足資料、図2)。

補足資料
図1 「きずな」による日食中継の概要図
http://www.jaxa.jp/press/2009/06/20090612_kizuna_j.html#ref1
図2 これまで発生した日食による観測画像例
http://www.jaxa.jp/press/2009/06/20090612_kizuna_j.html#ref2