飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙関連情報: 天文学者の日々:/7 宇宙大規模構造の進化解明 /愛媛

2009-01-29 07:37:07 | 北海道衛星
タイトル:天文学者の日々:/7 宇宙大規模構造の進化解明 /愛媛

本文:
今回は国際的な共同研究プロジェクトのお話をしましょう。
研究のスタイルはいろいろで、すべて一人でやる場合もあれば、
数人から数百人規模の共同研究もあります。
どのスタイルが良いかという問題ではなく、
研究目標に応じた体制を敷いて対処することが大切になります。
天文学では、大掛かりな観測装置や望遠鏡を開発したり、
多くの観測時間を必要とするような研究を行う場合、
プロジェクト研究の様相を呈してきます。

 実は、最近、私が最も力を入れているのは、
まさにプロジェクト研究と呼ぶにふさわしいものです。
その名は「コスモス・プロジェクト」です。
コスモスは「宇宙進化サーベイ」の略称で、宇宙における銀河の進化、
巨大ブラックホールの進化、暗黒物質の進化、
そして銀河が織り成す宇宙大規模構造の進化を
解明するために進められています。
コスモスはハッブル宇宙望遠鏡の基幹プロジェクトとして、
03年に始められました。ハッブル宇宙望遠鏡に採択された
史上最大のプロジェクトで、世界十数カ国から集められた
約40名の天文学者が参加しています。
実際にはこれら正式メンバーの共同研究者や大学院生も
参加することになるので、現在では約100名の大所帯となっています。
日本から参加しているのは私一人なので、やや寂しく思っています。

 これだけ大きなプロジェクトになると、
メンバーの意思の疎通を図ることが大切になってきます。
そのため、年1回から2回のペースでチーム会議を開催してきています。
第1回は03年11月にニューヨークのアメリカ自然史博物館で
開催されました。04年も9月にアメリカ自然史博物館で開催し、
05年は私がホストを引き受け、5月に京都大学で開催しました。
06年は4月にイタリアのパドヴァ天文台、
9月にはドイツのミュンヘン郊外にあるリングバーグ城で行いました。
07年は9月に再びアメリカ自然史博物館に戻り、
そして08年は7月にフランスのパリ天体物理学研究所で行いました。
これらのチーム会議に出席するだけでも結構大変です。

 そして、2009年を迎えました。
今年はガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で宇宙を観察してから
400年たったことを記念して、世界天文年となっています。
この記念すべき年、コスモスのチーム会議は松山で開催されます。
場所はもちろん愛媛大学宇宙進化研究センターです。
6月、松山には季節はずれのコスモスが咲き誇るでしょう。
楽しみにしていてください。
<愛媛大学宇宙進化研究センター長・谷口義明>

URL:http://mainichi.jp/area/ehime/news/20090110ddlk38070632000c.html