飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙線:起源は「超新星爆発の残がい」…JAXA解明

2007-10-11 22:17:24 | 佐鳥新の教授&社長日記
今日はJAXAのX線天文衛星「すざく」の成果を紹介する。

 宇宙から光速に近いスピードで降り注ぐ超高速の粒子(宇宙線)が、重い星の一生の最期に起こる超新星爆発の残がいで生成されていることを、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内山泰伸・宇宙科学研究本部研究員らのチームが、日米二つの人工衛星を使った観測で突き止めた。宇宙線の起源は、約100年前に発見されて以来の謎で、宇宙物理学の最大の謎の一つとされていた。4日付の英科学誌「ネイチャー」で発表した。

 宇宙線は、宇宙空間を光速に近い速度で飛び交う陽子や電子などで、人間の体も毎秒100個程度が貫いている。宇宙線の起源の解明は、世界最大規模のブックメーカー(賭け屋)の英ラドブロークスも、2010年までに実現する科学の重要課題を予想する賭けの対象に、「核融合発電の実用化」や「重力波の検出」と並ぶ5課題の一つとして挙げていた。

 内山さんらは、「宇宙線生成工場」として最も有望視されていた超新星の残がいに着目した。さそり座内の地球から約3000光年離れた場所で、約1600年前に爆発した超新星の残がいを、X線天文衛星のすざく(日)とチャンドラ(米)で観測。宇宙線が作られた際に放出されるX線をとらえた。宇宙線を構成する電子が、残がい内の強力な磁場により1年以内という短時間に、ほぼ光速に加速されていた。

 内山さんは「残がい内の磁場は想定より100倍も強く驚いた。長年の仮説を裏付ける最後の詰めができた」と話している。 【須田桃子】

出典: 毎日新聞 2007年10月4日 3時00分 (最終更新時間 10月4日 12時59分)