A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記730 『地蔵が見た夢』

2013-05-20 22:43:47 | 書物
タイトル:地蔵が見た夢
別タイトル:Jizo Dreams
著者:野口さとこ
シリーズ名:Zen Foto Gallery vol.26
Layout: Satoko Noguchi
Translation: Mark Pearson, Noguchi Satoko, Hiroko Omura, Naoko Morita
Design: Amanda Lo. ling-ning
Printer/Binding Advisor: Gateway Visural Creative Co.Ltd, Taiwan
発行:Zen Foto Gallery
発行日:c2011
定価:1,500円
形態:[72]p, bookmark, 15.0x14.0 cm
注記:Limited edition of 500、サイン入り
内容:
地蔵が見た夢

「地蔵が見た夢」マーク・ピアソン
「お地蔵さんとわたし」野口さとこ

購入日:2013年5月16日
購入店:新風館
購入理由:
  《Kyoto Shinpuhkan Photography 2013 Ⅱ:野口さとこ“ Jizo Dreams ”》(5月16日~19日)の会場で購入した1冊。展覧会出品作品の一部が掲載されているので購入。野口の写真は「お地蔵さん」がモチーフのため、一見するとのほほんとした若年寄りな印象を抱くかもしれない。つまり、かわいいお地蔵さんを撮った写真だと。だが、こうしてまとまって作品を見ると、民俗学的、考現学的アプローチを通して、ベッヒャーならぬ類型学的な写真として成立していることを思い知らされるだろう。野口の撮るお地蔵さんのヴァリエーションの多彩さ、豊かさ、存在感の強さは、アウグスト・ザンダーの系譜に連なるポートレイト写真だとさえ言えるかもしれない。
 加えて、野口の写真を通して、「お地蔵さん」は石彫であった事実をあらためて知ることになった。時の風化による物質の崩落はきわめて「彫刻」的で、かなり抽象的な造形として表れているお地蔵さんもあり、もはやアヴァンギャルドである。土門拳に『日本の仏像』という写真集があるが、野口の写真は『日本のお地蔵さん』である。ぜひ、古寺巡礼ならぬお地蔵さん巡礼を継続してほしい。
 

未読日記729 『君はあっちがわ 僕はこっちがわ Ⅱ』

2013-05-19 21:50:05 | 書物
タイトル:君はあっちがわ 僕はこっちがわ Ⅱ
タイトル別名:You are there and here I am Ⅱ
著者:梁丞佑
シリーズ名:zen foto gallery vol.24
Editing/Layout: Mark Pearson, Amanda Lo, Yang Seungwoo
Translation: Mark Pearson
Design: Amanda Lo. ling-ning
Printer/Binding Adviser: Gateway Visual Creative Co.Ltd, Taiwan
発行:Zen Foto Gallery
発行日:c2011
定価:2,000円
形態:[79]p ; 12.8×18.2cm
注記:Printed in Taiwan, Edition of 500
内容:
君はあっちがわ僕はこっちがわ 第二話 ごん太リターンズ
You're there and I'm here: The Tale of Gonta, Part Ⅱ
2008~2010

「君はあっちがわ僕はこっちがわ 第二話 ごん太リターンズ 2008~2010」梁丞佑

購入日:2013年5月16日
購入店:新風館
購入理由:
 《Kyoto Shinpuhkan Photography 2013 Ⅱ:野口さとこ“ Jizo Dreams ”》(5月16日~19日)を見に行った際、会場にて販売していたZen Foto Gallery発行の写真集の1つ。

 たまたま表紙に写るデブなおっさんに惹かれて手に取ったが、これは一つの人間賛歌であった。本書は、「ごん太」というホームレスを撮影した写真集だが、ホームレスという事実の重さはあまりない。むしろ、ページをめくるたび、ごん太の佇まいや存在感が魅力的で、おもしろくて笑えてきた。
 写真に添えられたごん太の手書きの詩も、弱さとやさしさと諦めが混じり合い、ごん太のパーソナリティを際立たせることに成功している(憂歌団の歌とかも似合いそうだ)。ホームレスや貧困などの社会問題を背景にしつつも、その枠に収まらない写真である。

 なお、タイトルに「Ⅱ」とあるのは、以前に新風舎から第1作目が刊行されているため(現在は絶版)。梁丞佑の名は初めて知ったが、ホームページを見ると、他の写真もヒリヒリとした世界や現実を捉えていてすばらしい。梁丞佑の写真は、都市の底辺に生きる者たちを写しながらも、そのまなざしはやさしい(写真界の中上健二か?)。久々に東京の片隅で生きる人間の生き様に触れた気がした。いつか関西でも展覧会をやってほしい。

未読日記728 『日本の博覧会』

2013-05-17 23:26:21 | 書物
タイトル:日本の博覧会―寺下勍コレクション (別冊太陽―日本のこころ)
シリーズ名:別冊太陽[日本のこころ ; 133]
監修:橋爪紳也
編集人:湯原公浩
編集:湯原公浩、神谷真生、脇坂敦史、西澤洋子
資料撮影:河野利彦
アートディレクション:永原康史
デザイン:別府さやか、岡田奈緒子(永原康史事務所)
校正:川口憲市、栗原功
発行:平凡社
発行日:2005.2
形態:237p ; 29cm
内容:
日本の博覧会―寺下勍コレクション
監修:橋爪紳也
解説:寺下勍/補筆:橋爪紳也

[巻頭言]「日本に博覧会がやってきた」橋爪紳也

明治時代
大正時代
昭和時代・前期
昭和時代・後期
'70大阪万博

[おもしろグッズ集合]
博覧会メダルコレクション
博覧会タバココレクション

[コラム]
恒例行事となった京都博覧会
勧工場について
噴水
『風俗画報』
水族館
エレベーター
明治の「幻の万国博覧会」
コンパニオン事始め
花電車
飛行機
新聞社と博覧会
イルミネーション
軍艦
人間大砲
装飾塔
シンボルマーク
飛行塔
博覧会のカテゴリーについて
テーマソング

[読み物]
「幕末・明治、博覧会先駆者列伝」寺下勍
「博覧会と観覧車」福井優子
「百貨店と博覧会―1930年代を中心に」斉藤寛信
「パノラマ館から博覧会へ―見るものと世界をつなぐ「視線」の変化」細馬宏通
「博覧会はどこへ?―1970年代以降、21世紀への動向をみる」橋爪紳也/寺下勍
「ディスプレイってご存じですか?―博覧会とディスプレイ業の一世紀」長谷川里江
「博覧会と近代日本の自画像・世界像」大橋庸子
「博覧会資料との出会いと奮闘の記」石川敦子

[インタビュー]
「寺下勍一代記」聞き手 橋爪紳也

いよいよ開幕近づく!「愛・地球博」
日本の博覧会年表
索引
「別冊太陽」既刊案内
協力者一覧

購入日:2013年5月14日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 博覧会関連のヴィジュアル資料が欲しくて購入。明治から大阪万博までの博覧会の歴史が思った以上に楽しい。


未読日記727 『10+1 No.36』

2013-05-16 23:04:12 | 書物
タイトル:10+1 (No.36(2004)) 特集 万博の遠近法
編集制作:メディア・デザイン研究所
     荻原富雄、飯尾次郎、齋藤歩+吉田純二+横田紀子
編集協力:五十嵐太郎+小田マサノリ
造本/デザイン:松田行正 協力:中村晋平
発行:INAX出版
発行日:2004.9
形態:226p ; 23cm
内容:
特集=万博の遠近法

万博という問題系1
「都市、万博、メタボリズム 破壊と再生のプログラム―黒川紀章インタヴュー」聞き手:五十嵐太郎+小田マサノリ
万博という問題系2
「『戦争と万博―もうひとつの戦争美術』をめぐって」椹木野衣+五十嵐太郎+小田マサノリ
万博という問題系3
「年代記的に 浅田孝、瀧口修造、60年代―磯崎新インタヴュー」聞き手:五十嵐太郎+小田マサノリ
インタビューを終えて/昭和残響伝リターンズ
「さよなら万博、三たび/にっぽん万博70ニュ-ス」小田マサノリ
「万博と国民国家 「もう一つの万博 ネーション・ステートの彼方へ」のために」渡辺真也
「あとちのあと」アーキベンタ 原田祐馬+大場美和
「「太陽の塔」の図像学 試論」三木学
「内破する万博」五十嵐太郎
「歴史・観光・博覧会 第四回内国勧業博覧会と平安遷都千百年紀念祭の都市空間」笠原一人
「万博・待訪録」内田隆三

フィールドワーク
「大名古屋論・番外編 万博オルタナティヴあるいは万博補完計画」名古屋建築会議
「オランダ4都市」マーク・ヴェルツマン 篠儀直子:訳

連載
都市表象分析18「「メタ世界」としての都市 記憶の狩人アルド・ロッシ」田中純
セヴェラルネス:事物連鎖と人間5「出来事とその徴 ダイコクノシバのアレゴリー」中谷礼仁
On-Site 4「square tokyo : NAKANO June.2004」尾仲浩二
政治の空間学1「chap.1 空間の蒸発 リベラリズムについて(1)」北田暁大
CONCEPTUAL 日本建築1「第一章 導入編」黒沢隆
現代建築思潮[討議/ブックガイド]「建築情報の受容再考 「正統性」から「生産性」へ 文化の受容・翻訳・発信を考察するためのブックガイド20」今村創平×今井公太郎×日埜直彦×吉村靖孝

10+1 PASSAGE
「悪い場所」にて6 「核戦争が起こった場所で」椹木野衣
文化所有のポリティクス1 「香水の著作権を望むのは誰だ」増田聡
モノとマチの向こうに見えるもの1 「コピー+α」北川卓+松本淳
映画とニューメディアの文法1 「ニューメディア時代の映画」堀潤之
視覚の身体文化学1 「色の知覚の生態学?」榑沼範久
デジタル・イメージ論1 「過剰露出―アブグレイブの拷問」土屋誠一
1990年代以降の建築・都市12 「光のテロリスト―高橋匡太論」五十嵐太郎
明治期「近代交通業発達」余話1 「在来交通網の継承と革新」山根伸洋
ミュージアム・テクノロジー随想1 「博物館的思考あるいは記憶の劇場」菊池誠
ポストモダニズムと建築5 「編成的指向と解釈的指向」日埜直彦
ブック・レヴュー1 「ユルゲン・ハーバーマス+ジャック・デリダ+ジョヴァンナ・ボッラドリ『テロルの時代と哲学の使命』森田團

購入日:2013年5月14日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 万博関連の参考資料として、笠原和人氏の論考を読むべく購入。



未読日記726 『博覧会と明治の日本』

2013-05-14 23:06:57 | 書物
タイトル:博覧会と明治の日本 (歴史文化ライブラリー)
著者:國 雄行
カバー:東京勧業博覧会不忍池畔夜景之実況(部分、『博覧会画報』5より、乃村工藝社・情報資料室所蔵)
装幀:清水良洋
発行:吉川弘文館/歴史文化ライブラリー, 298
発行日:2010.6
形態:6, 222p ; 19cm
内容:
文明国をめざした明治ニッポンの挑戦!
絢爛たる祝祭空間〈博覧会〉の歴史

幕末のパリ万博への参加に始まる日本の博覧会。明治新政府は、欧米の文明国に列するため、国内外での博覧会への参加・開催を奨励する。その後変貌していく〈博覧会〉は、日本の近代化にいったい何をもたらしたのか。

博覧会とは何か?―プロローグ
万国博覧会の誕生
 フランス内国博覧会からロンドン万国博覧会へ
 見世物と薬品会―日本における博覧会の源流―
 慶応3年のパリ万国博覧会
明治初期の博覧会
 日本はじめての博覧会
 ウィーン万国博覧会―「自主の精神」の発見―
 フィラデルフィア万国博覧会―産業オーケストラ―
内国勧業博覧会の誕生
 内国博は見世物ではない
 内国博の定期化
 内国博の浸透
 岐路に立たされる内国博
遊園地化する博覧会
 明治33年パリ万国博覧会と祝祭
 変貌する内国博
 万国博構想の挫折と内国博な終焉
明治時代と博覧会―エピローグ
あとがき
史料・参考文献

購入日:2013年5月11日
購入店:MARUZEN & ジュンク堂書店 梅田店
購入理由:
 別の本を探していたころ、たまたま見つけて、参考になりそうかもと思い購入した1冊。個人的には「博覧会と大正の日本」という本があったらよかった。


未読日記725 『博覧会の政治学』

2013-05-13 22:51:28 | 書物
タイトル:博覧会の政治学 まなざしの近代 (講談社学術文庫)
著者:吉見俊哉
カバー図版:1900年パリ万博の英領インド館
装幀:蟹江征治
発行:講談社
発行日:2010.5
形態:314p ; 15cm
注記:原本: 中央公論社1992年刊
内容:
帝国主義のプロパガンダ装置
消費社会の広告装置
見世物としての娯楽装置
博覧会は大衆の欲望や感覚をどのように動員し、再編したのか?

18世紀末にフランスに誕生した資本主義の祭典=展示会は、19~20世紀、各国の万国博覧会へと発展する。国家は「帝国」と「商品」をディスプレイし、博物学的まなざしは、日常生活領域へと浸透すると同時に、大衆の欲望=娯楽・見世物性を満足させる。博覧会という場が孕む微視的な権力の作用を明らかにし、スペクタクルの社会理論を提示する。

(近代的な)まなざしの場は、(略)博覧会だけでなく、動物園や植物園、博物館や美術館、各種の展覧会や見本市、百貨店やショッピングモール、さらには無数の広告としていまもわれわれの日常に溢れている。(略)いまや必要なのは、万国博であれ、オリンピックであれ、(略)19世紀以降、現在までの文化変容を貫いてきたスペクタクル的な権力の展開を、この権力が作動する場を生き、ときにはこれを変形させてもいった人々との弁証法的な関係のなかで、より緻密に読み取っていくことである。(「終章 博覧会と文化の政治学」より抜粋)

序章 博覧会という近代
第1章 水晶宮の誕生
第2章 博覧会都市の形成
第3章 文明開化と博覧会
第4章 演出される消費文化
第5章 帝国主義の祭典
第6章 変容する博覧会空間
終章 博覧会と文化の政治学
あとがき
学術文庫版へのあとがき

主な参考文献

購入日:2013年5月11日
購入店:MARUZEN & ジュンク堂書店 梅田店
購入理由:
 博覧会のための参考資料として購入。