A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記79 「ZERO THUMBNAIL」

2007-08-23 20:39:38 | 書物
タイトル:ZERO THUMBNAIL
著者:岡崎乾二郎
発行:artictoc[エンガワ]
発行日:2007年7月7日
金額:1,890円
内容:
2007年6月6日-8月8日に東京吉祥寺のA-thingsにおいて開催された「岡崎乾二郎/ZERO THUMBNAIL」展に際して発行された作品集。
タイトル通りゼロ号及びサムホール・サイズの作品を中心とした展示。
作品図版50点、作家略歴
テキスト「蜜と眼」林道郎(美術史・美術批評)を収録

購入日:2007年8月4日
購入場所:A-things
購入理由:
岡崎乾二郎にとっては2002年にセゾン美術館で開催された個展カタログについで2冊目となる作品集。セゾンの個展カタログは早々と売切れてしまったのを考えるとこの冊子の存在は貴重である。岡崎乾二郎ほどの作家にいたっても出版社から作品集1冊出ていないのは嘆かわしい。
ややカタログの貴重さばかりを強調してしまったが、この作品集もまた作品がすばらしいのである。サムホールサイズと聞くと習作程度のものかと思われるかもしれないが、作品サイズの小ささは作品の善し悪しとは関係ない話だ。むしろ作品が「小さい」とはまったく感じない。作品の持つ空間はサムホールを越えている。この広がりと奥行きこそ絵画を見る経験なのではないか。私はこれまで岡崎乾二郎にはそれほど注意を払ってきたとはいえないのだが、この展示を見て思いを新たにした。
A-thingsでの展示もまたすばらしく、1点壁にかかっているだけで、そこから言いようのない緊張感と優しさが迸り出て私たちの足を踏み止ませる。A-thingsの空間というのは不思議なもので、雑貨や家具や本などが置いてある。つまり、ややこじゃれてはいるが日常空間に近い環境で作品を展示しなければならない制約がある。しかし、よい作品というのはいつもそうであるようにどのような空間に置かれようと作品の自立さは崩れないと思いを強くした。


最新の画像もっと見る

post a comment