A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1118 『新居浜-日本』

2015-12-13 23:52:21 | 書物
タイトル:新居浜-日本: 〈工都〉の美術史と地方創生
タイトル別名:「新居浜--日本 回想の新居浜美術1890-2015」
編者:新居浜市美術館
デザイン:鈴木正道(Suzuki Design)
発行:東京 : 国書刊行会
発行日:2015.11
形態:197p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    展覧会名称: 新居浜市美術館開館記念「新居浜--日本 回想の新居浜美術1890-2015」
    会期・会場: 2015年11月3日〈火・祝〉-12月20日〈日〉 新居浜市美術館
    主催: 新居浜市美術館
    おもに図版
    付: 図(1枚)
    出品目録: p180-185
    40年の歩み 野間綾子編: p192-196
内容:
『坊っちゃん』野だいこのモデルといわれる高瀬半哉、黒田清輝の活動を支えた日本洋画の大コレクター住友春翠、新居浜高等工業学校で学び後に実験工房をリードした北代省三など、「住友の聖地」で育まれた美術の鉱脈をたどる、新たな美術館による挑戦の軌跡!

目次
ごあいさつ
「郷土美術館から新居浜市美術館へ」野口憲一
「開館記念展書籍の刊行に寄せて」松久勝利

まえがき「一地方都市のチャレンジ」山野英嗣

第1章 構想40年、美術館建設に向けた経緯―新居浜における事例/山野英嗣

第2章 新居浜という地で/土岐幸司

第3章 新居浜市美術館開館記念展「新居浜‐日本―回想の新居浜美術 1890‐2015」
 「「新居浜―日本」展の開催にあたって」山野英嗣
 第1部 「日本」近代洋画の原点は、「新居浜」洋画の原点でもある。
 「日本近代洋画の原点を探る」山野英嗣
 第2部 生誕150年・住友春翠が育んだ「日本洋画」の軌跡、「新居浜洋画」の軌跡を探る。
 「日本洋画を育んだ住友春翠」山野英嗣
 「近現代新居浜美術史概観」菅春二
 第3部 「新居浜アヴァンギャルド」登場
 「新居浜アヴァンギャルド 工都の前衛・その足跡をたどる」井須圭太郎

第4章 新居浜市美術館が目指すもの/山野英嗣

あとがき「地方創生、美術館を核に」山野英嗣

出品目録
関連人名解説 菅春二編
40年の歩み 野間綾子編
新居浜美術史概観(近現代編) 菅春二編、野間綾子・デザイン

頂いた日:2015年12月13日
 新居浜市美術館開館記念「新居浜--日本 回想の新居浜美術1890-2015」にお伺いした際に、美術館よりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 新居浜美術館は、愛媛県の新居浜市に2015年11月に開館した美術館である。小さい地方美術館ではあるが開館記念展となる本展では、地方の美術史を丁寧に掘り起こし、美術史として位置づけた展覧会であった。田村宗立から黒田清輝、浅井忠などの日本近代洋画、モネやジャン=ポール・ローランス、アルファオンス・ミュシャなどの海外作家、デザインの杉浦非水、今竹七郎、真鍋博、現代美術の北脇昇、北代省三まで、山野館長の実績と手腕があればこその充実の内容。また、図録となる本書では新居浜と日本の美術史の関係性が、豊富なテキストや年表などの資料によってまとめられ学芸員の地道な仕事が結実している。昨今の図録はテキストや資料類がないことが多いが、本書はボリュームのあるテキストによって地方の美術史でもこれだけの研究成果があることを明かしている。派手さこそないが、歴史やジャンルを超えた内容はとても見応えがある。今後のさらなる研究に期待したい。
 個人的には、実験工房のメンバーだった北代省三が新居浜出身であることに驚いた。北代の飛行や工学的な発想は、新居浜が源だったのかもしれない。


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