「価値あるもの」がまずあったのでもないし、「誰かにこれを贈与しよう」という愛他的な意図がまずあったのでもない。たまたま手にしたものを「私宛ての贈り物」だとみなし、それに対する返礼義務を感じた人間が出現することによって贈与のサイクルは起動した。人間的制度の起源にあるのは「これは私宛ての贈り物」という一方的な宣言なのです。おそらく、その宣言をなしうる能力が人間的諸制度のすべてを基礎づけている。ですから、端的に言えば、何かを見たとき、根拠もなしに「これは私宛ての贈り物だ」と宣言できる能力のことを「人間性」と呼んでもいいと僕は思います。
内田樹『街場のメディア論』光文社(光文社新書)、2010年、180頁。
日々、美術館やギャラリーを回るのは、「私宛ての贈り物」を見つけたいからだと思う。
内田樹『街場のメディア論』光文社(光文社新書)、2010年、180頁。
日々、美術館やギャラリーを回るのは、「私宛ての贈り物」を見つけたいからだと思う。
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