A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記120 「冨井大裕」

2007-10-24 23:21:12 | 書物
タイトル:αmプロジェクト2007 ON THE TRAIL Vol.2 冨井大裕
デザイン:長内研二、河野伊央
発行:武蔵野美術大学
発行日:2007年10月2日
内容:
2007年10月2日-10月13日に東京・京橋のart space kimura ASK?にて開催された<αmプロジェクト2007 ON THE TRAIL Vol.2 冨井大裕>展の展覧会カタログ。

論考
「架空の通販カタログには…」鷹見明彦(美術評論家/αmプロジェクト2007キュレーター)
作品図版26点、作家略歴収録。

入手日:2007年10月13日
入手場所:art space kimura ASK?
100円ショップなどで手軽に手に入りそうな日用品を使ってミニマルな彫刻/インスタレーションを制作する冨井大裕の展覧会リーフレット。掲載されている作品図版はすべて展示されているわけではないが、初期から最近作までの図版が掲載され資料としては充実した仕上がり。
冨井の作品に私が関心を持ったのは今年art & river bankで行われた個展においてだった。この展覧会は<世界のつくりかた>と題され、梱包された作品とその作品の展示図面、指示書が展示され観客は図面と梱包された作品のユニットから、いまだ見えざる作品を想像するというものだった。
作家である「私」でなくとも作品は設置可能であるという挑発とも思えるような奇抜な展示に、美術の制度と作品の成立を問う精神が見え隠れし刺激的な展覧会となっていた。これだけ書くとコンセプチュアルな内容に見えるが、その展示自体が、ただ置かれているように見えながら「作品」となっているところに冨井の思考の積み重ねが感じられる内容となっていた。
その後のswitch pointでの個展では最小な材料による最小な「彫刻」が出現しており、久しぶりに「彫刻」を見たという気がした。日用品を素材とした作品を制作する作家は多いが、散らかしっぱなしのインスタレーションという印象は拭えない。だが、冨井の作品は小手先遊びのレディメイドでも散らかしっぱなしのインスタレーションでもなく(本人の思惑は別として)それは「彫刻」だった。
反復と集積と集合。やっていることはとてもシンプルでときにユーモアを感じさせるが、その作品には一貫した倫理のような厳しさが感じられる。「倫理」という言葉が正しいのかはわからないが、その姿勢こそが冨井の作品を昨今流行の「笑い」やポップから距離を置くことになっているのだろう。高柳恵里、田中功起らにも同じような姿勢が感じられ、この名づけえぬ日常のまなざしをまずは受け止めていきたい。


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1 Comments

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Unknown (カタチカフェマスター)
2007-10-29 22:53:30
私はこの人の作品見たことありますか?(笑) う~ん、興味深い。
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