A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 539 プロのアーティストとしての資質

2017-07-27 23:54:48 | ことば
プロのアーティストとしての資質は、第一義的には、同時代のアーティストや過去のアーティストの先達とどのように関連しているか、ということにかかっている。仲間の認知を求めて闘っているとき、それはプロのアーティストであることの明確な特質と見なされる。アーティストが受けた教育もまた、プロとしてのステータスに影響を及ぼす。しかし、これは必須条件ではない。経済的資質は完全な的外れではないが、それほど重要でもない。芸術で生計を立てていること(あるいはそのような意図を持っていること)は、プロのアーティストとしてのステータスに特に何もつけ加えない。商業的に成功しているアーティストを仲間たちがアマチュアと見なすこと、その反対に、商業的にはまったく成功していないが高い敬意を集めるアーティストがいることは珍しいことではない。

ハンス・アビング『金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか』山本和弘訳、grambooks、2007年、246頁。

「同時代のアーティストや過去のアーティストの先達とどのように関連しているか」は、日本の美術界は恐ろしく欠如している。
この問題(?)は長年考えているが、日本の美術界で批評、レビューがないことも一因だろうが、アーティストが展覧会を見ない(興味がない?)ことが最大の原因だと考えられる。

アーティストの教育、経済については同感である。美大出身ではないアーティストは多くいる。
また、売れたアーティストほど、売れる前の個性が薄まってつまらなくなるケースを私たちはよく知っているはずだ。
学歴や商業性で美術を判断するのは禁物である。