A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記308 「地図の想像力」

2009-08-19 21:10:47 | 書物
タイトル:増補 地図の想像力
著者:若林幹夫
カバーデザイン:天野誠(magic beans)
カバー装画:Fool’s Cap World(1587年頃)
カバーフォーマット:佐々木暁
発行:河出書房新社/河出文庫
発行:2009年2月20日
定価:本体950円+税
内容:
私たちはいかにして、実際には見たことのない世界の全体をイメージすることができるのか。地図という表現の構造と歴史、そこに介在する想像力のあり様に寄り添いつつ、人間が社会を生きることのリアリティに迫る。「国家」「資本」「近代性」といった普遍的な問題を考える上でも示唆に富む、社会学的思考のレッスン。◎解説=石原千秋
(本書カバー裏解説より)

購入日:2009年8月14日
購入店:丸善 日本橋店
購入理由:
卒論を書く際にたいへんお世話になった本のひとつだが、最近になって増補版として文庫化され、いつか再び読まなければと思っていた。ここにきて、卒論で研究した「地図」と美術をめぐる問題について再び考える機会があり、増補ないし続編を書かなければと思い始めて購入した。
 なお、本書は「地図」をめぐって世界、社会、国家、近代を考察した稀有な研究である。文体もわかりやすく、読み進むたびに知的好奇心を刺激してくれる本であり、地図好き、社会学系の書籍に興味がある方にはぜひ読んで頂きたい本である。
 あれから5年経過したいま読んでみると、それと知らず影響を受けていたりと思われもする。だが、もともとから社会学に対する興味があり、そもそも大学も社会学か芸術学のどちらにしようか迷っていたぐらいだから、社会学的な視点には共感してしまうのだろう。まだ未読だが、今回加えられた「織物とデータベース」という補章からは、私が卒論で取り上げたアリギエロ・ボエッティの「地図」という染織作品について考察した際のキーワードと近似するものも感じ、興味深い。やはり地図はおもしろい。