A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 094

2009-04-10 12:04:59 | ことば
背を向けた男たちが 
 この町をゴーストタウンに 
   したんです


(齊藤芽生『四畳半みくじ 第36番』)

国立新美術館で開催されている<アーティスト・ファイル2009>に行った際に、出品作家・齊藤芽生氏のインスタレーション「四畳半みくじ」の関連販売物としてショップでおみくじを販売しており、そこで購入したものから。
こんなことを画家と言われる人に言っていいのかどうかわからないが、齊藤芽生の作品はとても文章力があり、読ませる。それもただのお話に終わらず、客観的な冷めた視線を持っているためだろう。とくにこの「四畳半みくじ」は悲しさと笑いがないまぜになった心境や状況がおみくじの短い言葉による形式で簡潔にまとめられていて、ひとつひとつが実に想像力を刺激してやまない。
 読むたびにナイフで皮膚を切られるような、その微かな痛みの内に気づけばこちらに毒のように侵入してくる言葉たちは、なかなかに抜けそうもない。
 余談だが、おみくじというのは不思議なもので、書かれていることを自分に惹きつけて読解/誤解してしまう。上記の言葉も意味深で、自分の置かれている状況と照らし合わせてしまう。

未読日記252 「吉村芳生展」

2009-04-10 11:48:12 | 書物
タイトル:吉村芳生展 ―版画・ドローイング―
発行:ギャラリー川船
内容:
東京・京橋のギャラリー川船にて開催された<吉村芳生展―版画・ドローイング―>(2009年3月9日(月)-3月28日(土))のカタログ。
テキスト「吉村芳生の味わい」福住廉(美術評論家)
図版13点、作家略歴

入手日:2009年3月21日
入手場所:ギャラリー川船
グリッド状に区切られた枠内に描写(転写)しようとする対象物の濃淡を数字に還元した「Foot 5/22 数字」(1985)には、この作家の執拗なまでの現実を平面上に還元しようとする意志が張りつめている。そこに見える、規則性、システムは、正しいどうかわからない。別に科学的に正確とかそういうことではない。そういったことではなく、自分の中で描写する上でのシステムを求めてしまうところに、この作家の凡百な写実性とは一線を画す点があるのかもしれない。