A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記204 「横浜トリエンナーレ2008ガイドブック」

2008-10-07 01:53:27 | 書物
タイトル:横浜トリエンナーレ2008 ガイドブック
編集:三上豊
   西山哲、藤沼優子(インターパプリカ)/小川紀久子
   岡しげみ(横浜トリエンナーレ事務局)
デザイン:高橋歩
発行:横浜トリエンナーレ組織委員会
内容:
<横浜トリエンナーレ2008:タイムクレヴァス>(2008年9月13日-11月30日)のガイドブック。

ごあいさつ
謝辞
「タイムクレヴァスへ」水沢勉(横浜トリエンナーレ2008総合ディレクター)
総合ディレクター+キュレーター
参加アーティスト
映像資料展示
特別展示
会場一覧
会場地図
会場別作家一覧
横浜トリエンナーレ組織委員会

購入日:2008年9月28日
購入場所:新港ピア
購入理由:
横浜トリエンナーレの特別チケットパックを購入した際に、特典としてついていたハンディ・ガイドブック引換券でもらうことができたガイドブック。おなじものはもちろん販売していて、900円で買える。

ガイドブックなので、簡易な情報しかないが、約68名(組)の参加作家の情報が入っているので、気になった作家の情報をすぐ得るには便利な冊子である。

今回、私が見ることができた会場は新港ピア、日本郵船海岸通倉庫、横浜赤レンガ倉庫1号館、運河パーク(インフォメーションセンター、リングドーム)しか見ていない。そのため、このトリエンナーレ全体を総括するようなことはいまの段階では控えるが、「現代美術の祭典」と謳いながら、美術外の芸術領域に集客を頼らなければならないところに、現在の美術が直面している可能性と崩壊を見ることができ、その破綻が私にとって予想外な出会いを得ることができた展覧会だったという意味で、複雑な心境ながらこのトリエンナーレの存在を評価したい。

ダンサー、音楽家、映画監督、建築家などさまざまなジャンルの表現が、混在し合い、さらにパフォーマンスをメインに打ち出したことは、別に今に始まったことではない。取り上げるべき美術家が星の数ほどいながら、現代美術の展覧会に美術以外を主な表現領域とする作家たちが場を占めることに、ささやかな発見の喜びと失望も覚えるというそれだけのことなのだ。

何を隠そう私にとって、この展覧会でチェルフィッチュの<フリータイム>を観劇できたことはすばらしい時間だった。これについては、別に書きたいと思うので今は控えたい。だが、問題は彼らではなく、彼らを選んだ側にある。チェルフィッチュの公演を見たからといって、美術をもっと見ようとはおそらく思わないだろうからだ。美術をもっと身近に、親しく感じるどころか、結局他分野の芸術領域に関心を向けさせてはいまいか。だが、不安になるのはよそう。私にとってメイン3会場を見て、印象に残った数少ない「美術」は中西夏之の「絵画」だったからだ。彼が作り出した絵画場こそ、いま私たちが見たかった「場」だった。物だらけで「場」を作り出すインスタレーションより、中西夏之の作り出す「絵画場」の方が、どれだけ空間をインスタレーションしていたことだろうか。

横浜トリエンナーレ → http://yokohamatriennale.jp/2008/ja/