そして午後8時48分に目覚めたので1時間17分程度の昼寝をした感じであった。目覚めた筆者の元にやって来たCAさんが、「フルーツなどはいかがでしょうか?」と言ったのでそれを頂く事にした。フルーツを食べ終えトイレで歯磨きをしている間にCAさんがお布団を片付けてくれていた。ビジならばそれはセルフサービス作業なのに。。。二度目の眠りから目覚めて約2時間20分が経過したところで機長からアナウンスがあり、ヒースロー空港上空の混雑のため到着予定時刻が日本時間の午後11時10分(ロンドン時間で午後3時10分)から20分程度遅れるとの事であった。たとえ20分遅れたところで、離陸からの飛行時間は11時間35分であり、Time tableに記載されている到着予定時刻(ロンドン時間の午後4時10分)よりも40分早目の到着になるのだから大した問題ではなかった。
ANA211便は、ロンドン時間の午後3時20分に滑るようにヒースロー空港の27R滑走路に着陸した。着陸時には全く衝撃を感じなかったので非常に上手いlandingであった。着陸後機体は10分ほどタキシングをした後に、午後3時30分丁度にゲートに横付けした。筆者は機体が停止した瞬間を撮影した後、すぐさま出口へと向かった。CPの高橋さんからログ帳を受け取り、ドアが開くのを今や遅しと待ち構えた。午後3時36分にドアが開くや否や、筆者はお世話になったチーフパーサーの高橋さんに別れを告げ、ファーストクラスのおじさん客達を尻目に脱兎の如く搭乗橋を駆け抜けた。佐渡の翼教の教祖様は、First classに乗る時は搭乗もfirst(一番)ならば降機も firstでなければいけないのだ。それは教祖様に課せられた使命でもある。
二週間近くに渡って掲載して来たANAファーストクラス搭乗記、お楽しみ頂けたでしょうか?まるで実際にファーストクラスに搭乗しているかのような気分にさせてくれる臨場感溢れる記事の連続に酔いしれて頂けたら幸いである。食べられなかった洋食コースや小腹が空いた時のメニューなどが未体験のまま残されており、これらは次回の搭乗記で詳しく紹介する予定である。既に二・三回目のファーストクラス搭乗記(2016年6月8日と16日)は書き上げてあり、掲載は2019年の11月頃の予定である。それまで楽しみにお待ち頂ければと思う。
国際線の欧州路線のファーストクラスはおろか、東南アジアやハワイなどへの路線のエコノミー席ですら数年に一回程度しか搭乗しない一般的な佐渡島民達はこれまでのファーストクラス体験記事を貪るように読んだかもしれない。ファーストクラスは、普通の人はまず乗らない。ヨーロッパ往復で280万近くもするからだ(期間限定でのファーストクラス割引運賃の設定はあるものの)。ファーストクラスで行けば早く目的地に着くというのならともかく、ビジネスクラスでもエコノミーでも所要時間は同じ。ならば、多少座席が狭くても寝ていけばいいと、たいていの人は考えるだろう。だからファーストクラスというのは謎の空間になる。「きっとすごいご馳走が出てくるのだろう。ふかふかのフラットになるシートなのだろう。CAの人も、とびきり美人にきまっている」と、ついつい妄想を膨らませる。
ところが現実はどうだろう。食事は確かに豪華だが、その美味さは地上のレストランや日本料理屋で出て来るお料理には敵いっこない。シートは確かにふかふかでフラットになるが、精々が畳一畳分の広さでしかないし、その個室感はまるでネットカフェにいるかのよう。CAさんは経験を積み特別な訓練を受けた人だけが選ばれるので、容姿は無関係。しかも30代40代50代のCAさんが各一人ずついるが、20代は皆無である。20代の可愛いCAさんにサービスしてもらいたければビジネスクラスに乗るしかない。ビジネスクラスとてフルフラットシートになるし、食事もコース料理を楽しめる。ファーストとの違いは、シートの幅がファーストの半分ほどで、食事や飲み物の質と量が若干劣り、CAさんの接客密度が薄いくらいのものでしかない。ただそれだけの違いに差額の200万を自腹で払う気になるだろうか?筆者の答えは否である。
昨今のファーストクラスは、会社のお金で購入してもらったビジネスクラス席を自身が貯めたマイルでアップグレードしたような客ばかりだし、普通の人でもコツコツマイルを貯めればファーストクラスには乗れる。しかし多くの人は、そんなことを望まず、貯めたマイルを香港家族旅行に替えてしまったりする。そしていまでもファーストクラスは謎の空間になっている。だから前都知事のような、公費でファーストクラスに乗る人には腹が立って仕方がないのだ。
目覚めのフルーツ
2A席のおじさんが何やらCAさんに注文している
どうやらビールと
軽食を頼んだようだ
食後にコーヒーも注文
ロンドン時間の午後2時10分に撮影
同じく午後2時44分に撮影した、オットマンの下にある物入れ。ここには忘れものが多いそうだ
液晶画面には到着までの所要時間は13分と表示されているが、実際は23分を要した
着陸直後の午後3時30分に撮影した機内
チーフパーサーの高橋さんが
ドアの外の安全を確認し
降機準備が完了した
参考引用週刊誌:週刊文春:林 真理子のエッセー「夜更けの縄跳び」