昨年の11月2日の夜、筆者は夕食を食べるお店を見つけるために夷の飲食店街を彷徨した。スナック「小船」の向かいに「タロー」の看板を見つけたので、再訪してみる事にした。筆者にはカウンター越しに見えるマスター氏の精悍な顔つきは更に鋭さを増したように思えた。変わったのはお運び担当がおねーさんからお兄ちゃんに代わった事くらいだ。筆者は、なめこのおろし合え、揚げ出し豆腐、鮭茶漬け、生ビールを注文した。先付けは大根の煮物。どれもいい味で美味しさに変化はなかった。生ビールは二口飲んだだけで、鮭茶漬けは2割ほどを残した。当方の適量を越えていたからだ。
タローを出た後、スナック「小船」の看板に灯りが灯っているのを確認し、小船の店内へ入ってみた。昨年の12月下旬に訪ねた際に接客してくれたのと同じ40~50代とおぼしきおばさんがいた。一年も経過すると歳月の流れが顔に滲み出てくるもので昨年とは受ける印象がだいぶ変わっていた。おばさんが冷蔵庫からタッパウエアに入ったおつまみを取り分けようとしたので、筆者は「それは要らないから代わりに乾き物を下さい」とおばさんの手を制した。おばさんはいつものように冷凍枝豆とおかきを皿に盛った。筆者が物凄い勢いで枝豆を食べ始めたのでおばさんは「夕食食べてこなかったんですか?」と筆者に尋ねた。筆者は「タローで食べて来たけれどもこれは別腹なので」と答えておいた。佐渡市民と書かれたオールドパーのボトルはキープ期間が一年と言うのは本当で、そっくりそのまま残っていた。おばさんは「お客さんが帰った後どんな人が来るかなと楽しみにしていたけど、佐渡市民と名乗る人など誰も来なかったわよ」と言った。
おばさんが「昨日の風は凄かったですね」と言ったので「図らずも風に飛ばされましたよ」と筆者が応じたら、おばさんは「私は飛ばされませんでした。お客さんは細いから。。羨ましい~!」と言った。そこから再びダイエットの話に移った。おばさんは自宅から通りを隔てた向こうにあるお店に行くのにも車を使うと言った。筆者がそのわけを尋ねたら、「車ならすっぴんで行こうがジャージを着ようが人目を気にしなくてすむから」だと答えた。う~ん、身なりを気にしなくなったらもう終わりである。おばさんは「店が終わってから帰宅後、つまみを食べながら晩酌をしてから寝るのだ」とも言った。寝る前に食べるのは太る最大の要因だ。加えて歩かないのだから益々太る。おばさんは少し太った事を認めた上で、「この一年、スタッフの顔ぶれにほとんど変化はなく、変わった事と言えば、フイリピン娘が二人入店したくらいだ」と言った。オールドパーの水割りを2杯飲み、お代の1250円を支払って三度目の小船を去った。