街を歩いていて、自分と同じ服を身に付けた人と出会った時ほどバツの悪い事はない。読者諸兄諸姉におかれても、同様な気まずい思いをされた方は多かろう。特に、佐渡島内の「シマムラ」「ワークマン」「ハニーズ」などの洋品店で洋服を購入したら、少なからぬ確率で島内のどこかで同じ格好の人と出会うかもしれない。「シマムラ」で購入した衣服を身につけていたとしても東京のような人口密度の高いエリア内ならばその種の確率は低くなるが、人口密度の低い佐渡では逆に高くなると思う。かと言って、わざわざ高い船賃を支払って新潟まででかけ、万代シテイビルボードプレイスあたりの「ナノユニバース」「シップス」「トゥモロウランド」「ジュンメン」「メンズビギ」「ビームス」などで衣服を購入したとしても同種の確率を完全にゼロにする事はできない。何故ならファッション雑誌に掲載されるような人気アイテムは多くの人が欲しがるので、どこかで同じアイテムを身に付けた人と出会う確立はゼロとは言えないからだ。かく言う筆者も同じブランドの同じデザインでかろうじて色だけが違うアイテムを身に付けた人と都心の繁華街で遭遇した経験は何度かある。その種の確率を限りなくゼロにするためには、そのお店に1点しか入荷しない、所謂「一点物」や、そのお店が別注をかけたそのお店の限定品で、しかも入荷数がごくわずかのアイテムを狙う以外にはない。その種の情報は、ファッション雑誌やネットをこまめにチェックしたり、店員と親しくしていれば容易に手に入る。筆者はそこまでのファッションおたくではないので、いつもウインドウショッピングで気に入った物だけを購入している。最近、たまたま店頭にdisplayしてある商品で、「いいな」と思ったものを購入してみたら「1点物」だった事が二度ほど続いた。一つは渋谷の「ナノユニバース東京」で着回しのきくベージュのダウンベストを見つけた時だ。裏地がピンクと赤で歩くたびにこの色が見え隠れして非常にお洒落。クレセントダウンワークス&チネムと言う米国ブランドだそうだが、Sサイズは一点のみの入荷だと店員が言った。二つ目は伊勢丹メンズ館のトゥモロウランドで見つけたパープルフラッシュのマフラーである。コートにひっかけてdisplayしてあったのを見つけた。とても発色のいい素敵なマフラーで3万円もしたが迷わず購入した。「新しい物を」と店員さんにお願いしたら「これは1点しか入荷しないものなので現品限りになります」と言われた。
最後はエミリオプッチ初のメンズラインのスカーフである。これは一点ものではないが入荷数の少ないアイテムだった。メンズクラブに掲載されたもので、4万円もした。シャツ1枚では寂しいかなと思うような季節に身につけると胸元や顔が綺麗に映える極上のアイテムである。カシミア入りのポリエステルで出来ているが発色とその幾何学模様が何とも上品で素晴らしく、思わず視線を停めてしまう。華やかだが甘すぎない、メリハリの効いた色柄はさすがのエミリオプッチだ。
とまあ、洒落込むには相当な金と暇がかかるが、それが趣味と言う人は世の中にはけっこういるものである。