欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

でもね、ちいさなしあわせが

2013-03-29 | une nouvelle
公園そばのカフェにちいさなブラックボードがあってさ。
コーヒーの値段とか今日のおすすめとか書いてあるのかと思ったら、ぶさいくなネコの絵とか、まいごのワンちゃんのおしらせとか書いてある。
ある日、ママと一緒に買い物に出かけた時、そのボードを見ると、
"今日はうす曇りのそら。でもね、ちいさなしあわせがキミにやってくるから☆"って書いてあった。
ママは言う。
ちいさなしあわせかぁ。お金でも落ちていないかなぁ。
そのまま買い物に行って、カゴを片手に帰る途中、
公園に入ってくおばあさんを見かけたよ。
いつもハトにエサをやってるやさしいおばあさん。
こんにちはぁ。おや、なかよく買い物かい♪
にぎった袋の中にはパンきれがいっぱい。
いやねぇ、不思議なことがあるもんだよ。
おばあちゃんはパンきれをみせて。
ごはんの時間なのに白いハトが一羽もいないんだよ。いつもは白黒まざっているのに、今日は色のあるハトばかり。だから、これは二度目の食事なのよ。
どうしたんでしょうねぇ? ママも不思議顔。
公園をはなれて、楡の並木道を歩いていると教会の前にたくさんの白いハトが集まってる。
あら、あんなところにいっぱい!
すると、教会の大きなドアがあいて、きれいなドレスの人たちがいっせいに出てきた。結婚式の最後みたい。
色あざやな花びらが舞う中で、新郎と新婦があらわれて、うれしそうな笑顔。
だれかが言った。たくさんの坂道を乗り越えてきたふたりだ。明るい未来がかならず待ってるさ。
白いハトも人だかりのまわりをうろうろ。
おめでとうを伝えに集まってきたのね♪ そう言いながら、ママもちょっぴりもらい泣き。
お嬢ちゃん。これどうぞ!
きれいな花嫁さんがわたしにブーケをくれた。
かわいい色と香りを楽しみながらの帰り道、ママがふと言った。
はぁ♡ カフェのブラックポード! こういうことだったのね♪

パステルカラーの雨傘が

2013-03-27 | une nouvelle
しっとり雨の日は気持ちも沈みがち。
でも、うす暗い雲のしたにはカラフルな傘がくるくるまわってる。
雨の日ぐらいは明るくいこう!って街の傘屋さんが考えたんだって。
水玉や虹色のいろんな傘が沈みがちな街並に花のような明るさをふりまいて。
関係ない子供たちまで、自分の傘をまわしてる。
すると、雲がほっぺたふくらませて。いっきに風が吹き抜けた。
それも傘や人が飛ばされそうな勢いで。
でも、みんな手を離したから、傘が一列になって空へ舞い上がっていったんだよ。
そして、ゆっくりくるくる街の方へと降りてくる。
わぁ~、きれいな遊園地みたいだぁって子供たちは大喜び。
雲のあいまから覗き見する太陽がしずくにきらめきを与えて。
街は宝石箱のよう。
雨の日もいいもんだなぁ。使い古したエプロンの傘屋のおやじが腰に手をあてて小高い丘からうんうんうなずいてる。
ますます傘が作りたくなったんだって。みんなのしあわせのためにね。

しあわせにもワケがある

2013-03-25 | une nouvelle
一日が終わるころ、とっても疲れて悲しい気持ち。
でも、そんな時は夢の中に出てきたおじさんが渡してくれた不思議な本をひらいてみよう♪
読もうと思って手にとろうとしたら、あやまっておとしてしまったよ。
ぱらぱらめくれた本の中からいっぱいの花びらが散らばった。
驚いて本をひろおうとすると、中からバタバタなにかが出てこようとしている。
怖くなって、テーブルの方に放り投げたら、今度は星屑が散らばって・・、
やれやれ、君は本のあつかいを知らないのかい!
出てきたのは、ブタに似た生き物。ブタのわりには蝶ネクタイなんてしてちょっとオシャレさん。
誰かと聞くと、首をふって。
君に紹介するような者じゃないんだよ。ただ、頼まれてやってきたのに、こんな仕打ちははじめてだよ。
くわしくわけを聞くと、おじいちゃんが頼んだものらしい。
しかも、いまはいないおじいちゃんがね・・。
ブタのような生き物は言う。
君の顔を見てるかぎり、夢やしあわせとは縁遠い生活だな。
よけいなお世話!!、そう思って見ているとギクっとするような言葉をはいた。
かなえたいものも思い浮かばない顔だ。
失礼!!にもほどがある。そう怒って無視していると、
お嬢さん、いいからこの本に顔を近づけてみな。え、お嬢さん?
どうしてさ?
それはやってみたらわかるさ。しあわせってものはね、なんでも好奇心からはじまるんだ。
まだ二の足をふんでいると、
君にはそこがまた未熟さ。だから、いまから特訓! しあわせ体質ってやつにね。
本に顔を近づければ魔法が働くの?
いいや。でも、この本は不思議や魔法がいっぱいつまってる。色あざやかなで不思議な世界。
そんな世界で慣れていくんだよ。心がどれだけ楽しい色を持ってるか、今の君には想像もつかないシロモノさ。それを見るための特訓だ。
この本はね、それを可能にしてくれる魅力的な宝物なんだよ。

海にでかけた思い出に

2013-03-23 | une nouvelle
パパと一緒に釣りに出かけた男の子。
ママに大きいの釣ってくるねって約束したのはいいけれど、海はいっこうにそっぽむいたまま。
おだやかな雲が通り過ぎているのに、お魚はシケシケの空気。
今日ははずれかな。
パパも困り顔でぽろり。
でも、男の子はママとの約束守るためにがんばったんだよ。
うわぁ。
弓なりに曲がった釣り竿。パパもびっくりして男の子の体をおさえて。
力いっぱい引っ張ったら、大きな魚が飛び跳ねた。
マンボウみたいなへんてこなお魚。
でも、それっきり・・。

今日はどうだった?
ママの顔にうつむいた男の子。
とっても大きなお魚がかかったんだ。でも、やさしい気持ちで逃がしてやったんだよ。大きなマンボウみたいなやつをね。とパパ。
まんぼう?
大物だったよ、な。たい焼きみたいなほっこり腹の大もの。
黙ったままの男の子。でも、ママに手をさしだして。
ひらくとピンクのきれいな貝殻。そしてにっこり。
お、いつのまに・・。
ふふっと、パパはご満悦。
ただじゃ転ばないってのは親父ゆずりだな、こいつ。

しあわせマカロン

2013-03-23 | une nouvelle



電車を一本のり過ごして、しかも居眠りで一駅むこうに。
でも、そこは意外とオシャレな街並で、ちょっと散策してみたら不思議なお店を発見!
ご主人は背の高いおヒゲのおじさん。ノリのいい口調で、
ここの商品はね、今日自分がいいって思ったヤツしかおかない、きまぐれなお店なんだよ。
陳列棚には色あざやかなマカロンがいっぱい。
この色合いを見てみてよ。じつにしあわせな気分にならないかい♪
自慢げな笑顔で、ひとつひとつのマカロンについて語るご主人さん。
で、一番おすすめは?
う~んと、ちょっと悩んで、
あわいブルーのマカロンかな。今日はこれさ。
味は折り紙つき。食べたら海水浴にいった気分になれる。口の中にもさわやかな潮風が通りすぎるんだよ。
誘われるままにいくつか買って、ふと、隅のマカロンに目をとめた。
これだけカラフルポップでかわいいのが並んでいるのに、この濃い赤はなんかヘン?
ふふふとご主人は笑みを浮かべて。
じつは今日、うちの家内の誕生日なんだ。僕と違って色の濃いバラが大好きでね。
記念に一列作ってみたのさ。バラ味のマカロン。
とてもロマンチックで、深い愛情の色♪ あとはいつも気にかけてくれることを感謝してね♪
今は奥にいるんだけどさ、これは夜まで内緒の話なんだよ。

窓のむこうの黒い蔦

2013-03-23 | une nouvelle
窓のむこうの黒い蔦があなたの心を縛りつけているなら。
その悪しき魔法を解き放ってあげましょう。
蔦の色をやわらげる月あかり。
月は言います。
あなたを縛りつけているもの。それは悪しき蔦ではない。
あなたの中にあるしがらみが、黒い蔦という心模様を映し出しているだけ。
だから、心にからみついた蔦をとり去るには、あなたがつくりだした悪しき幻想を打ち破ること。
勇気を出して、心のそばに剣をふりおろしてごらんなさい。
なにかを負う心が生み出す黒い蔦は、あなた自身の手で明るいものとかえることができるのですから。

夜になると人は・・

2013-03-22 | une nouvelle
ふと目をさました妹に兄は、
こんなに風が強いと眠れやしないね。
お兄ちゃん、あの音はなに?
耳を澄ましてみると、ヒューヒューと風とは違う音。
兄は半身をおこして、聞き耳をたてるように。
う~ん。夜になるとホロイーがやってくることがある。
ホロイーって?
ホロイーは悪い心を食べてしまう怪物さ。
近くまで来てるの?
僕にもわからないけど、あの音はホロイーの声かもしれない。
お兄ちゃん、怖いわ。
兄はベッドのそばにあるクマのぬいぐるみを妹のかたわらにおいて、
大丈夫だよ。ホロイーは子供はおそわないから。とても怖い姿をしているけど、子供が好きなんだって。
あぁ、よかった。
兄はしばらく聞き耳をたてていたが、
風が弱くなった。ホロイーの声も聞こえない。もうどっかへ行ったみたいだ。
妹はクマのぬいぐるみを抱き寄せて、目をつぶってる。
眠れるかい?
風がないと眠れる。
兄も横になり、妹のクマの頭をなでながら、
こいつがいるから安心だね。
お兄ちゃんは眠れる?
大丈夫、おやすみ。
しばらくして、妹は、
お兄ちゃん、ホロイーはなんで夜に歩き回るの?
うん? 兄はウトウトしながら、
ホロイーは・・。夜になると人は悪魔に心を誘われやすくなるんだ。
ホロイーはとってもきれいな心をもった怪物だから、悪い心でだれかが傷つく前に自分でやっつけてしまうんだって。
良い怪物さん?
そうだね。だれも姿を見たことがないけど、みんな知ってる不思議な怪物なんだよ。

人魚姫の眠り

2013-03-21 | une nouvelle
深いふか~い海の底。大きな貝殻のベッドで眠る人魚姫。
魚たちが心配そうに見守るのをよそに青白い顔はさらに悲壮の色あいをおびて・・。
ちょうちんアンコウが何匹かやってきて、人魚姫の表情を照らします。
"かわいそうな姫様。どうか目をさまして下さいな。"
そう言うのは、この海の魔法使いイルカ。
小さな魚たちがこぞってイルカに頼み込みます。
"姫の笑顔はみんなの元気です。
岸のむこうの人間に恋をしてしまった姫様に罪はない。
かなわぬ願いといったって、魔法の力でなんとかなるはず。"
イルカは首を傾けて、
"いいや。どんな魔法の力も本人の強い意志に遮られてしまえば思うように働かない。"
とほうにくれる周囲の者たち。人魚姫の顔はさらに蒼くなるばかり。
すると、イルカはちょっと賢者に聞いてくると、海をあがっていくのです。
そして、波間から、月にたずねます。
"姫様の強い悲しみを癒すすべはないのでしょうか?"
考えている風の月でしたが、やがて、
"乙女の心は繊細ではかない。だが、ひとつ解決策はないことはない。
姫をこの波間へ連れてきなさい。そのあいだにわたしは星々を集めておこう。
すい込まれるような満天の星空に姫の心が希望を重ねてくれたら、その瞳はふたたびひらくだろうから。"

三度のメシより○○が好き

2013-03-21 | une nouvelle
ある国の大王様は大のショートケーキ好き。
三度のメシよりケーキが好きだから、どんどん太って今では自分で歩くこともできない。
そんな大王様を見かねて、王女がひそかにケーキにカラシを混ぜるように指示した。
しかし、そんな辛いケーキでも大王様はご満悦でペロリ。
今日のはイチゴが少なかったなと大きなスプーンをコックに投げる始末。
お手上げで王女が不思議の鏡に聞いてみた。
"あの大王様をケーキから遠ざけるすべはないかしら?"
すると、鏡の向こうにあらわれた大男が一言。
"王女様、そんなのお安い御用ですよ。
大王様の心を満たしてあげることです。
そうすればケーキに向かう曲がった力はすっかり勢いをなくすはずですよ。"

ある夜、眠っていると

2013-03-21 | une nouvelle
ある夜、眠っていると星空が大きく見えて、
星たちが僕にひとつひとつ大切なことを教えてくれたんだ。
ある星は言った。
愛をないがしろにしてはいけない。
人は日常の中で愛を見失うことはよくあることだからね。
また、ある星は言った。
美しいものを見ると心躍るのはなぜ? 
そこにも大事なヒントがかくされてる。
美しいものにあこがれそれに近づこうとしているのは、なぁに?
また、ある星は、
勇気はなにものにもかえがたい宝物。
ただ、やみくもに勇気を使ったってそれは道理違いってやつさ。
心と相談しなよ。そうすりゃ間違いはないってものだから。
ここでは言い尽くせないひとつひとつのヒントを聞いているうちに、僕はあることに気づいた。
それは・・、
なにものにもかえがたい宝物が人の胸には秘められているのに、それを見ようとも使おうともしないことが実に多いってこと。
心をないがしろにして、しあわせって言葉はないんだよって、僕のおばあちゃんも言っていたっけ。
きっとおばあちゃんも若い頃、お星様とよく話をして、生きる術を心得ていったんだろうね。