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かつて愛をこの世界で実現しようと立ち上がった人がいました。
彼女は神の声を聞き、この国の憂いをとり去るために野原の町からやってきたのです。
なにも知らない純真な乙女がなし得たこと。多くの屈強な男たちが彼女の中になにかを見、そして、後に続いたのです。
ある者はこの国を守るため・・、またある者は愛する人を守るために・・。
剣や力とは別のなにかを持って、彼女は後に続く者たちに勝利をもたらしていったのです。
その後、彼女は祭り上げられましたが、幾度かの敗戦により、彼女の望みとは違う方向に・・。
その時にも彼女の思いは昔と変わりなかったでしょう。そう、神の声を聞いたあの頃と同じに・・。
何度も祈り、声を乞い求めたかもしれません。もしかすると彼女の耳にはなにかが聞こえていたのかも・・。
国はふたたび安堵をとりもどし、人々の中には彼女の言動を疑う声も・・。
彼女はしだいに冷たい仕打ちへと追いやられていきました。孤独な境遇、裁きを受けるために北の国へ。
その時でも彼女の思いは同じだったはずです。
違ってきたのは世界の流れだったのかも・・。
彼女の行き着く先は彼女自身が決めたのではなく、悲しいことに彼女の中になにかを見いだし、後に続いてきた人々の意思であったのです。
孤立しひとり淋しい中で、彼女はなにを口にしていたのか・・。
彼女の思いはその時の人々の共感を得られませんでした。ましてや冷たい北の国でのこと・・。
彼女の思いを共感しようと人々がささやきはじめたのは、残念ながら彼女がこの世を去ったかなり後のことです。
長い時間をかけて、いろいろなしがらみが取り除かれ、清い意思だけが残った、そんな後世のことでした。
あの時、人々が彼女の中に見ていたもの。
それは人の中にあってとてもかけがえのないものです。
彼女も人の子として迷いもし間違いも犯しました。しかし、彼女の切実なまでの願いによってこの世界に奇跡がひとつ起こったのです。
清いヒカリが降り注いだ国。多くの意思が希望が実現した、その証をつくったのです。
残念ながら彼女のその後はつらく悲しいものでありましたが、今でも多く人々が彼女の中に見たものをふたたび見つけようとしています。求めているのです。
今の世にあっても、彼女の背中を追っていた人々と同じような願いを希望を、人は持ち続けているのです。