欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

むかし夜といえば

2013-03-13 | une nouvelle
昔、夜といえば深い闇の中に包まれ、幽霊や悪魔がいったりきたりする人しれない世界。
いつのころからか、夜と昼の境がうすれはじめて、一緒のような世界になってしまった。
だから、昼の世界にもふつうの顔をした悪魔が。夜の世界もすぐに足を踏み入れてもなんともない世界に。
その頃にはベッドのフトンはとても深くて、目をつぶると、深い眠りの世界へと誘われたもの。
劇場の幕があくように、夢はれっきとした物語になっていた。
だから、眠りに多くの幻想を抱いていた。予知夢なんて言葉もその頃からの言葉なのかも。
しかし、今はどうだろう。
昼のようにただ淡々と時間が流れ、明かりは昼を終わらせない明かりに。
草木や森もさぞかしやりなくかろう。
いつの頃からかこんなヘンな世界になってしまった。
だから、わたしたちも心積もりが必要だ。
生活におかしいことがあってもあまり直撃で心に響かせないようなね。
物事は半分くらいの理解で十分のよう。
あとは夢や魔法を信じて、喜べる気持ちを抱いておいて毎日を送るべきさ。

ある美しい石についてのいい話

2013-03-13 | une nouvelle
昼さがり日ざしが花びらをさらに美しく輝かす。
鐘の音とともに笑顔であらわれるふたり。
声援に後押しされるようにみんなの輪の中へ。
たくさんの花の雨を受けて、むかう先は。
海の見えるバルコニー。炭酸のはじける輝き。たくさんの彩り豊かな食材。
祝福の言葉をかけられる中で、女性が見つめたのは・・。
岬から広がる美しい海原。
友達がとなりにやってきて、
今日はいつになくセンチな瞳。なにか深い思い入れがあるようね。
女性はゆっくりうなずいて。その時に輝いたのはブルートパーズのピアス。
純白にそのピアスはお似合いね。
ねぇ。女性はあどけない口もとになって。
本当に信じないかもしれないけれど、わたし魔法を感じるのよ。
どうしたの? 急に。
この街へくるまで悲しいことの連続だった。でも、このピアスがわたしを変えてくれたのよ。
誰からの贈り物?
友達かな・・。
意味深ね。
彼の思いを受け継いでるのよ。この色は。
誠実でいること。明るい未来への力なんですって。
彼はそのピアス知ってるの?
女性はうなづいて。
彼は深い海のような気持ちをもっているわ。そして、この石が巡り会わせてくれたことも。
友達は女性の肩に手をおいて。
さぁ、今日はたっぷり笑う日よ。魔法がカタチになったお祝いにね。
ありがとう。
むこうで彼が手招きしているわ。
行ってくる。
よかったわね。海がきれいなようにあなた、今日はそれ以上に素敵よ。
あなたも。ちょっと行ってくる。
振り返るその髪のあいだから石がキラリと輝いて。純白のドレスがやさしい色で遠ざかっていく。
魔法かぁ。最近にしては、いいお物語(はなし)ね。