欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

小高い丘でわたしたちは

2012-08-12 | une nouvelle
小高い丘にのぼってきたのは、金色の蝶々と異邦人のわたし。
とても明るい月明かりの中で、わたしたちは夜があけるまで踊り続けていたのです。
それは願いを叶える不思議な催し。
蝶々はわたしに言うのです。
このまま踊り続けて、楽しい人生をいただきにまいりましょうと。
わたしは肩のあたりを舞う蝶々とともに月明かりを受けて踊り続けていました。
やがて、くるっと顔をまわしたお月様が・・、
楽しく踊るお前さんたちにわたしにできることはないかね?
蝶々とわたしは顔を見合わせて、
お月さん、ひとつ叶えてほしいことがあるんですけれど・・。
それは何だね?
わたしたちは遠い国へ戻りたいのです。
蝶々もわたしの後に続いて、
この地はわたしたちの国ではありませんから。
月は大きな顔を傾けて、
ほう。で、どこに戻りたいというのだね?
遠い遠い詩情の国。まだわたしたちが一度も足を踏み入れたことのない土地です。
それはどこにあるのだね?
神秘の国の隣。とても愛にあふれた魅力ある土地なのです。
月はさらに、
さっき君は戻ると言ったね。なぜ一度も行ったことのない国に戻るなどと言うのだね?
蝶々とわたしは目配せして、月を見上げて、
それはわたしたちの心にいつもあるからです。そこのことを考えると、心に明るみが戻ってきます。
月はにんまりと笑いながら、
では、わたしの国でもあるのかな?
そうですよ、わたしたちはその国に戻る夢をいつも見ているのです。
心がとても必要としているから。


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2 Comments

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引き寄せるもの ()
2012-08-14 06:44:48
行ったことがないのに
懐かしいとさえ感じる不思議な感覚
かつての私が居た場所かもしれません。
輪廻転生があるとしたら
その懐かしさは魂の記憶かもしれない
ふとそんなことを思いました。
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Unknown (makoto)
2012-08-20 15:59:30
たぶん時代性もあるのでしょう。
不思議という言葉が現実味をおびてきている、そんな気がするのです。
砂漠では神と生活が一体になっていると、あるところで聞いたことがあります。
人は厳しい生活になればなるほど、心からほとばしる美しい輝きは増していくのでしょうね
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