欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

今夜も心あたたまるお話を

2013-03-09 | une nouvelle
今夜も心あったまるほっこり話をひとつ。
かなり昔のこと、ある都にとてもやさしい司教さまがいました。
その司教さまは毎夜、零時になるとお祈りをすましたあとで鐘を鳴らしていたんだとさ。
え、真夜中に鐘を?と思うかもしれないけれど・・。
でも、それはとても昔のこと。
今のように物が満ち足りてるわけじゃなかったし、いろんな災いなどがあって人の心はとてもしんどいつらかった日々だったんだよ。
だから、真夜中に鐘が鳴ってもだれも異をとなえる者はいなかった。
そっと寝床によりそうような司教さまの鐘だったから、なおさらね。
司教さまのやさしい気持ちが人の心に伝わっていってたんだよ。
悪い夢や怖い夢は零時を境に幕をおろすことになる、これが不思議とね。
眠ったときくらい、愛のあるあたたかな物語を味わいたいよね?
真夜中の鐘の習慣はかなり長く続いてたみたいだ。
今でもやさしい気持ちは必要なんだけどね。
鐘の音が響かない現代の夜だけど、みなさんに良い夢をっていう司教さまの心は今もどこかで息づいているのかもしれないね。

森に迷い込んだアライグマのカップル

2013-03-09 | une nouvelle
森に迷い込んだアライグマのカップル。
オスのアライグマはきょろきょろ落ち着かず足どりもはやり気味。
一方のメスはというと、森のいたるところにあるきれいな花をみたり、ひんやりした風を感じたり。
あっちにいってみよう。とオス。
ちょっと待って。すこし休みましょ。とメス。
オスはしたかなさそうにすこしむこうにある大きな石の上に。
ここは日ざしもあって明るいし、ここでゆっくりしよう。
あとからしずしずやってくるメスのアライグマ。
しばしの休憩。
今度はあの山の方に行ってみようよ。川があるかもしれない。
そういうセリフを何度も聞いたメスはちょっとうんざりぎみ。
すると、
おふたりさん。なにかお探しかい?
声の出所は枝にとまったカラフルなオウム。
あぁ、よかった。ちょうど道に迷ってたんだ。川のある方向を教えてよ。
そうかい、おやすいご用さ。あっちの方だよ。
あぁ、ありがとう。とっても助かったよ。
でも、お前さん。そんな感じじゃ川にはたどりつけないだろうね。
え、なんで?
あっちの方と言ったって、谷もあればさした目印もないかもしれない。そんな感じで急いでちゃ迷って夜になるのが関の山さ。
僕をからかっているのかい?
いいや。お嬢さん、どう思うね?
よけいなお世話さ・・。オスのアライグマはそう思いながら、メスを見ると、これまたまんざらではない様子。
なんだよ。僕だってこんなにがんばっているのに・・。
はやりぎみの彼氏さんよ。この森はそんな単純な世界じゃないよ。ある程度のんびり進んでいくことさ。
生き物にはその世界にあった動き方があるもんだよ。
ちょっと肩の力をぬいて、いろんなものを眺めながら進んでごらんよ。
そう、そっちの彼女さんのようにね。
オスのアライグマは不服そうにオウムを見上げて、
どうも良い忠告を・・。
彼氏さんよ。森の道すがら、いろんなヒントがかくれていて意外におもしろいものさ。
そして、本当のマイペースに進んでいけば、お目当ての川の音が聞こえてくるはずさ。
ま、あとは彼女さんに聞くんだね。あんたのことを思ってだまってついてきたすばらしい彼女さんにね。