春になるってことは 2013-03-07 | une nouvelle これからあったかくなるから、冬のとじこもりがちだった気持ちを外にむけてさ。 大きな空や花木の色みを体にふれさせて。 明るい未来を描いていこうぜ。 気持ちの虹色飛行船が飛んでいく、その先の未来にむけて。 春になるっていうのは、そういうことなんだと思うよ。
日曜日 2013-03-07 | une nouvelle マルシェからの帰り道。だんなは眠った子供を抱え、奥さんはいろんなものが入ったモミのカゴを小脇に。 歩いていくと、雑貨屋のショーウインドウにカラフルなクマのキーホルダーが。 クマってみんなが好きなんだね。 意外と愛嬌ある顔をしてるから。 街角のパン屋に立ち寄って、フランスパンを一本。 今日はなにを作りますか? パン屋の主人の笑顔。 まだ決めてないのよ。でも、おいしそうなオレンジ買ったから、合うものを作るわ。 だんなは陳列棚を眺めながら、 どれも食べたくなる匂いだ。 そう、これも商売道具ですからね。 じゃあまた。 ありがとう。 家の前の並木道。葉を出しはじめた木々の下。 あのパン屋さんの笑顔が素敵。 そうだね。クマにはちょっと似てないけど、愛嬌があるんだ。あれも大きな商売道具のひとつだね。
ひさしぶりにお城を出たお姫さま 2013-03-07 | une nouvelle ひさしぶりに城を出て木陰で春を楽しむお姫さま。 大好きなサンドイッチをほおばりながら、執事のジイにひとこと。 ねぇねぇ、あそこの花に集まってるのはミツバチたち? そうですよ。この近くに養蜂場がありますから、せっせと働いていらっしゃいます。 あそこの花はとってもきれいなのにどうしてミツバチたちはあっちの花ばかり止まるの? ジイは笑みを浮かべながら、 お姫さま、ミツバチはしあわせを運ぶ名人ですよ。いろんなものの中から一番のしあわせを嗅ぎ分けて運んでいらっしゃるのです。 あちらのやわらかな色の花に一番大きなしあわせを見つけられたんでしょうねぇ。
ちいさなほっこり話 2013-03-07 | une nouvelle 幼い子供がころがした木の玉がソファーの奥に入っていってしまったよ。 しかもママはキッチンで鼻歌まじりの夕飯づくり。 遊ぶものがなくなって悲しい顔の子供に木の玉をもどしてくれたのは・・? この家にきてまだ間もないワン子。 ちいさな体でソファの下だって簡単に入りこめちゃう。 ワン子はワン子で気を使ってるんだねぇ。 でも、子供にはわかっているんだよ。なによりも大切なはじめての友達がこのワン子だということをね。
たのもしい案内人 2013-03-07 | une nouvelle 朝公園を散歩していた時のこと。 すがすがしい空気に、今日は気分のいい一日にしたいなぁって思っていると、犬を連れて歩いてきたおばあちゃんが笑顔でこう言うんだ。 おはよう。ステキな一日になりますように。 僕は思いきっておばあちゃんに聞いてみた。 楽しい一日にするには、どうしたらいいですか? ううん、そうねぇ・・。 おばあちゃんは犬の歩みをとめて、上を見て思案中。そして、 そこにはたくさんの花がいま見頃よ。あの近くをしばらく歩いているといいわ。 花の美しさや香りを感じるうちにしあわせがどんなものか心がおぼえていくのよ。 それからは心がしあわせを探してくれるわ。 そうそう、花の妖精たちが一緒に歩いてくれる魅力もあるわね。しあわせを探すのにとっても頼もしい案内人なのよ。