欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

新たな出発の時

2013-05-19 | une nouvelle
夜、小舟に乗って海へ出ることがあったら、岬のそばの大きなほら穴をのぞいてみるがいい。
そこには夜になると輝く貝がいくつも集まってきらめきをみせてくれるから。
まるで澄んだ星空のような輝き。それを見つめていると、心のわだかまりは不思議と消えていくから。

時折、海の彼方から訪れるクジラがこの輝きを見にくる夜がある。
クジラは希望をカタチに変える力を持っているから、そんな夜に出かけることがあるなら、君の思いは日常に変化をもたらすかも。
それまでに、わだかまりやいらだちの中にかくれてる、本当の望んでいる気持ちを知っておいた方がいいかな。

子供っぽいと笑われるって、それが本当の気持ちならそれは大切な宝物さ。
多くの人の前で自分の願いを言うんじゃないんだから、安心して抱き守っていればいい。
切れるような三日月の夜、心が夜の海に思いをはせるんなら、いくら疲れていても出かけた方がいい。なぜならそれは君の新たな出発の時だから。

しあわせは意味じゃない

2013-05-18 | une nouvelle
落ち葉の舞い落ちる公園のベンチにすわって、楽しそうにギターを奏でる黒いスーツを着たカラス。
黒い羽でやさしく弦をはじき、哀愁に満ちた、でもあたたかみのある曲を奏でているのです。
中年サラリーマンが公園にやってきて、カラスのギターに出会った時、心に明かりがともったような気がしました。
サラリーマンはカラスのそばへ行き、
"こんなことを言うのは何だけど、お前さんの演奏が心にしみわたっていくよ。"
カラスは顔をあげることなく、深くうなずいて、さらに哀愁に満ちた音色を奏でていくのです。
夕日の影がのびる公園で、ふたりはいつまでもギターに耳を傾けています。
曲と曲のあいまにサラリーマンが言います。
"やっぱり不思議だなぁ。どうしてこんな音色を思いつくんだろう?"
すると、羽でやさしく弦をなでながら、カラスが顔をあげました。
その独特な細いまなざしでサラリーマンを見ながら、
"だんなさん、いろいろ考えるのをやめてしまうことですよ。
しあわせは意味じゃない。感じるものですからねぇ。"

むかし大好きだったぬいぐるみ

2013-05-15 | une nouvelle
"記憶の中にはちゃんと残ってる。
幼い頃、好きだったあのぬいぐるみの残像が。
好きだったあの色あい、あの手触り。たくさんの思い出たちが次々とよみがえってくる。
水面のむこうにそっと手を差し出すように。
過去へ触れてみれば・・。
届くはず。心躍るようなあの頃と同じ感情に。"


古ぼけたなんて思わなくていいのです。
消えていったものだなんて失望することもありません。
心は知っています。それはまだ心の中で輝き続けていられるものだということを。

だれもが向かう感覚に合わせて、いつのまにか自分のリズムを見失いかけただけなのです。
ならば、すこしずつ自分の歩幅に戻していけばいいのです。
むかし愛したぬいぐるみがこれからを教えてくれます。
いままでも、これからも心の中に息づいている、むかしからの大切な♡が。

星を背負った旅人なのだから

2013-05-14 | une nouvelle


旅は人の心を強くたくましくしてくれます。
たくさんの出会い、出来事を得て、人は大人へと成長していくのでしょう。
そこには悲しみもあれば、憂いも寂しさだってあります。
旅に同行する者がいれば、そこでまたひとつ絆を味わうことができるのです。
日常に疲れ果て、息もひっそり下を向いているのなら、ひとり旅へ出てみましょう。
困難や今まで見たことのない世界に踏み出すことで、新たな命をあなたは授かるのです。
あれだけ生命を軽んじていたあなたの心は健康的で躍動的なものへと変わっていけるのですから。

下町にあるおいしいパン屋の話

2013-05-13 | une nouvelle
けっしてオシャレとは言えない下町の一角にあるパン屋さん。
そこのライ麦フランスパンがとてもおいしいって遠いところからもお客がくる。
ノラ猫や窓から窓に洗濯物が欲しいある狭い道にオシャレな車が通って、そのパン屋の前で止まることもしばしば。
ある日、元気のない娘さんがそのパン屋へ立ち寄って、なにもしらずにフランスパンを買って帰った。
そして、次の日にまたやってきて、パン屋のご主人にお礼を言ってる。
落ち込んでた毎日にほっこり花が咲いたような気分になったんだって。
どこかなつかしくて心明るくなるパン。こんなすばらしいパンはどうしたらできるんですかって。
ご主人の気持ちがとてもやさしいから?

パン屋の主人は五十を過ぎたふっくらしたおっちゃん。
そりゃね、お嬢さん。作る甲斐があったってものさ。うれしそうに調理帽をとりながら、
これからの仕事のハリになるってものだよ。
いろんなパンを食べてきたけど、こんな味ははじめて! なにか特別なレシピがあるのでは?
う~ん、そういうワケじゃないけどねぇ。
でも、ご主人の顔にはなにかワケがあるみたい。

娘さんがどうしても聞かせてくれってせがむので、気恥ずかしそうになくなく真相を告白。
じつはね・・。
昔、修業時代につとめてた大きなホテルがあってね。そこで自分はパンを作ってたんだが、そこのオーナーの娘さんに恋をしたってワケさ。
気取りもしないし、とても気さくでやさしい器量よし。フランスパンが好きだっていうからね、どうにか彼女の気をひこうといろいろ考えてみたワケさ。
その彼女の雰囲気をパンの風味にできないかって、いろいろなレシピを作ってはやり直してみたものさ。そして、今あるようなパンを作ったってワケ。
昔の恋もなにかの役に立つってものさなぁ。
ステキな話!!
今じゃ恥ずかしくて聞かれても言わないけどね。あの時の彼女はそんないい雰囲気をもってたんだよ。
ある日、その彼女が自分のところへやってきてさ、こう言ってくれたんだ。
とてもおいしい夢のあるフランスパン。毎日食べていたいわって。
えぇ~、そして、どうなったんですかぁ!!
さぁ、それは奥で花に水やってる人に聞いてみなよ。ご主人は笑いながら、
当人に聞いてみるのがいちばん早いってものだからね。

機は熟した感はある

2013-05-12 | une nouvelle


さぁて、用意は整った!!
あとはおいしいものをいただく、その合図を待つばかり。
たくさんの楽しい話はとりあえずあとにして、目の前に広がったごちそうをまずいただこう。
長く待ちわびた甲斐があったってもんだ。
一度はあきらめかけた貴重な品々。魔法のテーブルにのった豪華ディナーを♪
大好きなあの子と向き合うのをこれでもかって待っていたんだからなぁ・・。

遠い月には大きな○○がいて

2013-05-11 | une nouvelle
毎晩、窓のむこうを通りかかる月。
月にはとても大きなネコがいて人の暮らしぶりを目をくりくりさせて眺めてるんだって。
悲しい人を見ると、大きな口をあけて、なにかを叫ぶ。
遠いこの星には聞こえないくらいの鳴き声だけど、その人のまわりにいる天使たちに気合いが入って、不思議に明るい出来事がやってくるんだとさ。
今夜も何回か鳴くみたい。

ある日、となりの坊やが大事にしてる人形をなくしてしまった。
だから、僕は言ったのさ。月にお願いしてみたら? くりくり顔のねこさんよぅ、今晩、僕の大切な人形を届けておくれってさ。
そして、かならず窓から夜空を眺めてみなよって。できることなら、悲しい顔でさ。
でも、あいにく残念。雨が降り始めて、窓越しに僕らは首をふったのさ。

だかしかし!、次の日坊やがやってきてさ、人形が戻ってきた!って言うんだ。
わざわざ人づてに届けてくれたのは、やさしそうな時計職人さんだったらしい。
大切にしているものはよくわかるんだって。
あの時雨雲のむこうでネコがきっと鳴いてくれたに違いない。
そう言って、坊やととても喜んだんだよ。

次の晩、お礼を言おうと窓をあけると、とってもきれいな月が出てる。
そして、にっこり笑ったネコが確かにそこに見えたんだよ。
坊やが眠ってしまった、ちょっと夜更けの話。
誰もが知ってるうさぎのことではないけどね。

黒猫の入っていくお店

2013-05-06 | une nouvelle
黒猫が入っていった路地についていくと、風変わりなお店を発見。
骨董品を扱うような門構えだが、はいってみるとお香のお店だとか。
しかし、商品がみあたらずぽかんとしていると、奥から女性があらわれて、
いらっしゃいませ。
ここは・・。
お香のお店ですよ。どんな香りをお求めですか?
線香の種類だけかと思っていたが、どうもそれだけではないらしい。
最近よく売れるのは・・、「しあわせの香り」ですね。
どんな香りですか?
これですよ。
見せてくれたのはかわいい小袋。
匂い袋?
似たようなものですかね。良い香りがしますよ。おひとつどうです?
におってみると、なるほど安らぐ香り。
お高いんでしょう?
お求めやすくしていますよ。
おいくらです?
それは、お客様のお心次第で。
え?
女性はにっこり笑いながら、
どんなものをしあわせと思うかはお客様によって違いますから。
しあわせを手に入れたい、そんな気持ちがこの価格になりますの。お安く払われる方もいればお高い方もいらっしゃいます。
へぇ、
わたしが戸惑っていると、
ふふ、そんなに悩まなくても。
しあわせになれるかはこれを買ったお客様のお気持ちしだい。これからが明るくなりそうなだけのお金でよろしいですのよ。
ちょっとした買い物で幸運を手に入れた!と思えるような額で(笑)

いい風が吹いているなら行ってみよう!

2013-05-03 | une nouvelle
ある魔法使いは思うのです。
こうして魔法が使えるようになったのに、なにに役立てていけばいいのかわからない・・。
人の役に立とうとも思ったけれど、魔法使いだって敬遠される始末。
いったいどうしたらいいんだろう・・?

そんな時、カラスが魔法使いのところにやってきて、
あなたさんのお力を借りたいのです。
はて、何のお願いですか?
ワケを聞くと、好きになったカラスにかわいいグリーンの実をプレゼントしたいとか。
今は寒い季節だから、なかなか実がみつからないとのこと。
どうかお願いできないですかぁ♪

魔法使いは自慢のステッキで、小枝をステキな実に変えると、
これはすばらしい! 彼女も喜ぶこと請け合い!!
カラスがあまりに喜ぶので、魔法使いは聞くです。
君はいつも楽しそうに過ごしてるようだけど、よかったらそのコツを教えてくれないかい?

変な質問に首をかしげるカラスだが、じろりと魔法使いを見あげて、
あなたさん、いろいろ考え過ぎてるようですねぇ。
物事なんて結局流れていくんですよ。いろいろなこと考えていたら、すてきなものも見逃してしまう。
いい風が吹いてたら、そっちに行ってみてはどうですか?
いい風だと思う自分の感性を大切にしなきゃ、なにを頼りにこのせち辛い世の中を渡っていくんです?

不思議で難しい時代のなかで

2013-05-03 | une nouvelle


人のまわりには楽器を持った天使が何人かいてるんだってさ。
気持ちが悲しく冷たくなった時には心あたたまる音楽やこれからが楽しくなる演奏をしてくれているんだって。
でも、深く自分の殻に閉じこもった人の耳にはちょっと聞こえないらしい(笑)
なにも聞こえない!って嘆いている人、ちょっと外に出て、空でも見上げて、ほぉ~い聞こえないよぅって天使たちに呼びかけてみたら?
いろいろなものでちらかった耳の奥まで届く大きな演奏を披露してくれるかもしれないよ。

世の中なんてそんなものかもね♪
軽やかに気持ちのいい風が吹いてくるのは、案外の~てんきな頭の中!! そんな時代かもしれないですなぁ♪