欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

かたわらの鏡に映る日まで

2011-07-28 | poem



人は自らの花を探しに旅に出ているのです。
目に見えるもの、耳に聞こえるもの。すばらしいものを自らのものと感じ、そこから希望を作っていくのです。
時折自らの色やカタチがふいに心に飛び込んでくる時があります。
その時の印象は心の深いところからの徴(しるし)。
ただ、発芽し大きな実りとして今なっているわけではありませんから、心の奥からの希望のかけらを大切に・・。

暗くなった道を行く時もあります。雨雲が去って、日がさし込み鼻歌まじりに行く時も・・。
多くの人の中にいて、自らの花を知りうることがいかにしあわせへの近道になるか・・。
それには旅を続け、見つけ出さなくてはなりません。
旅は直行するだけのものではないのです。迷い、道をはずれながらもいろいろなところに潜むヒントを見つけながら・・。
それは不思議な道のりによってすこしずつ明らかになっていくものです。
探しましょう。花園に分け入り。見つけましょう。暗がりにひそむ自らのヒカリを・・。
旅を続けながら、自らの花を感じ生きていくのです。
あなたの美しい姿がそのかたわらにある鏡に映る日まで・・。

そこにある不思議な輝き

2011-07-22 | essay


美しさの中に悲しみが香るのはなぜでしょう?
繊細でどこか消え入りそうな、日本的に言うと後ろ髪ひかれるようなはかなさを伴う魅力。
霧の中に消えていく白い馬車を淋しく見送る人たちの気持ち・・。
しかし、その白い馬車は現実にはない媚薬を備えていて、現実で疲弊していくわたしたちの心をどこか美しく華やかな場所へいざなってくれるのです。
そんな美しさに人々がひかれています。いつの世でも同じですが、今までになく強い力で・・。
いち早くそれに気づいている女性。そして、男性も見い出しはじめているのです。
そこにある不思議な輝きを・・。

星の導き

2011-07-22 | poem



なにもなくなり立ち尽くす自分。でも、その時夜空に輝く星々が急に目に飛び込んできたのです。
星がわたしの胸に確かにささやいた言葉・・。

"あなたの輝きを集めていきなさい。
この広大な空に散りばめられた星たちの輝きをひとつひとつ。
胸に輝くそのヒカリを、さらに強いものとするために・・。"

わたしは胸に手をあてて、ただ見上げていたのです。
その奥深い輝きを。そして、輝きを集めるという意味をその夜ずっと考えていました。
明日からの指針とするために・・。

自分の立ち返る場所

2011-07-10 | poem



どうです? 履きやすくなったでしょう。
雨の日。午後の明るみはなく、ぶ厚い雲が街の上を覆っている。
新しいものは届いたかしら? 
まだ届いていません。
婦人は狭い店内にいくつかある靴を見てまわりながら、
どれも素敵ね。
靴は手入れ次第で長く使えます。愛情のこもった靴は足下でご主人をそっとひきたててくれますよ。
この靴、前からあったかしら?
これは売り物では・・。
以前はなかったでしょう? ほかの靴とは違うわ。
主人はうつむきながら、
毎日仕事をしているのも、夢があるからできます。これはわたしのささやかな夢なんですよ。
婦人は笑みをつくって、
あなたの理想の靴?
いいえ、妻へのプレゼントです。
サイズも色合いも、今はもう渡すことはありませんが・・。
婦人は振り返って、
たいへんな愛情がこもってる。見てたらわかるわ。
そんなたいそうなものでは・・。
主人は振り返り、レジの方へ。
長いあいだ靴ばかり作っていると、いい靴というものが時々わからなくなるんです。
自分が良いと思うものがかならず売れるともかぎりません。
そんな時、立ち返るんです。
主人は婦人の靴を丁寧に箱につめながら。
その靴はわたしの原点なんですよ。はいてほしい人のものを作るのは喜びなので・・。
たしかにそれだけではありませんが、なくしてはいけないものがそこにはあるんです。
素敵な思い入れね。
靴が時々わたしに教えてくれるんですよ。毎日の中でなくしてはいけないものを・・。
ちょっときどった言い方に聞こえるかもわかりませんけれど、本当にそうなんですよ。

今のわたしの希望は・・

2011-07-09 | poem


眠れないの?
船のデッキ。ぶ厚い雲がうねる夜更け。
心地いい風を受けながら遠くを見つめる女のそばによりそう男。
女は首をふる。
これからのことは明日考えよう。そうは思えない?
うつむいた女の頬に涙がつたう。
男は女の肩をやさしく抱きよせて。なにも言わない。
考えようとしてないのに・・。これまでのことはなくして、一からって。そんなこと、できると思う?
雲のむこうがぼんやりと明るんで、やがて、月があらわれる。すこしだけ海が明るむ。
これはずっと昔のお話なんだけど・・。聞いてくれる?
女はこくりとうなずく。
すべてを失いかけた王様がさいご握っていた一枚の金貨。それをどうしたと思う?
わからないわ。
お城から見える夕日に向かって投げてしまった。焼けて崩れて、見るも無惨な街にむかって・・。
王様は祈った。
どうかこの街にもう一度繁栄が戻ってきますように。この最後の金貨が街の明るみを助ける輝きのひとつになるようにと。
王様はそれから王様ではなくなったけれど、多くの人に支えられ囲まれて、街で生きていったということ。
金貨のおかげで?
それはどうかわからないけれど、希望をもつということがいかに大切かということのお話。
どんなささやかな願いも、いつか叶うと信じながら生きていけるといいんだよって。
今のわたしには・・。
ただ、金貨を知った神様がその人にどんな思いを持っていたかというのを考えると・・。
希望のかけらは人にとって大切なもののひとつじゃないかと思うよ。
ひとつの希望が実るまでそう簡単ではないけれど・・。
女の肩の力がゆるみ、やがて、男を見つめる。
今はあなたがわたしの希望みたい。
そう?
よく失敗する希望だけれどね。
海に明るさがしだいに増してくる。
この明るさもある意味奇跡かもしれない。
そう思っていたいわ・・。
ふたりが見つめる海の向こう。月から下がってきたヒカリの道がキラキラと輝いている。