欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

ステキなひきだし

2013-02-26 | message



"引き出しはひらいてみないとわからない。
大切な宝箱だってあけてこそ中身のすばらししいものに出会えるんだから。
え、ひらかない楽しみもあるって?
でもね・・。
まずは楽しみを見つけるところからはじめなきゃ。
どこになにがあるかわからないんじゃあこの世界の魅力も半減、だからね。"

真夜中に誘いにくる者

2013-02-22 | une nouvelle
真夜中に目が覚めて。
しいんと静かな世界になにかヘンな感覚をおぼえたのさ。
それがすべてのはじまり。自分の旅の入り口だったんだよ。

聖堂の鐘がひっそりとした街に響きわたって。夜空にはきれいなお星様のきらめき。
夢の世界の人も眠れずに寝返りをうつ人も、この妙にせきたてられる感覚を味わってはいるんだろうか?
すると、コツコツと窓をたたく音が・・。そう、彼がやってきたんだよ。僕のなじみのはじめて見る珍客がね。

おうい、早く開けておくれよ。外は寒くてしょうがないや。
小さなステッキでガラスをたたいてる。
はじめてだけど、はじめてじゃない気がしたんだ。
もうそんな回りくどい説明はやめにして。
これだけはわかっていたんだよ。
"いいかい? 旅立つ用意は?"

訳がわからないことだらけだけど、僕は旅に出る。
不思議な魔法を使うばあさんに会いにいくのさ。
流れ星が方向を示してくれるって、シャレた話じゃないんだけど、この小さな紳士と旅立つんだ。
明日、朝の鐘が鳴るのと同時にね。

ちなみに紳士の持ってるカバンはひとつ。僕のカバンはふたつもあって、しかもはちきれんばかり。
やれやれって紳士が笑うんだよ。旅人の格好じゃないってね。でも、僕にはまだいろいろな物が必要なのさ。
はじめてこの街を離れる不安もあるかもね。

胸にヘンな感覚が走ったのは旅立ちの予感かな?
紳士は言うんだ。これはすばらしい冒険のはじまりさ。楽しみを謳歌する旅さ。
ただ、ひとつ気をつけないといけないことは・・。信じて疑っちゃいけないんだって。
信じる者は天にものぼる、さ。
どんな迷信だかしらないけど、小さな紳士は自信をもって言うんだよ。
もっと明るく生きようぜ。
眉をひそめて、僕の顔を見ながらそう言うんだ。

おおきなツケの理由(わけ)

2013-02-22 | une nouvelle
楽しさを見失いそうになっても、あわてちゃいけないよ。
霧のような迷いの森をがむしゃらに走ったって、いいことなんてありゃしないから。
じゃあ、どうすればいいかって?
そこが問題なんだよなぁ。

君の首にかかってる金属の飾り。
よく見てみなよ。それは不思議の国を呼ぶ笛?
まぁ、その切り株にでも座って、落ち着いて吹いてごらんよ。
犬笛より高い音で、きっとこの森の不思議を呼び出せるはずだから。

ほら、遠くから聴こえてくるのはアコーディオンの響きさ。
たくさんの音が交わって聞こえるのは小人たちの笛。
あの大木の影からきっとあらわれてくるんだよ。
大人数の夢の楽器隊がね。

華やかななりをした楽器隊が連なって歩いていくんだ。
後から来たのは大きな花馬車。
ご覧よ、窓からのぞいているのは、みんなが知ってるあのお姫さまじゃないか。
澄んだ瞳でこちらにむかって笑みを投げかけてくれるよ。
妖精のようなへんてこな生き物たちを従えて、幸運をふりまく行進なのさ。

君の心になにかが花ひらいたかい?
今までなかった笑顔がこぼれてくるのは、この一団のせいだけじゃないよ。
楽しい音楽や不思議な仲間たち。
でも、一番忘れちゃいけないのは、君の中にあるすばらしいシロモノなのさ。

ん、いたずら好きな目をした女の子がひょこひょこ歩いてくるよ。
ねぇ、おにいちゃん。わたしは冗談がとっても大好き。
だって、冗談は罪にならないでしょ?
この楽器隊、楽しかった?
君がうなずくと、女の子は手をさしだして、
はい、お勉強代。おこずかいちょうだい。
え、持ってないの? しょうがないわね。
これからの明るい未来にぜったい払ってもらうからね。

赤い熱気球

2013-02-14 | une nouvelle
赤い風船が飛んでいってしまったよ。
悲しい顔で空を見上げる女の子。
だって、その風船は一番の友達にもらったものだからさ。
うれしさのあまり走り過ぎて手から離れてしまったんだよ。

とぼとぼしょげて歩く帰り道。
不思議なことが起こったのさ。
遠くおしゃれな塔の方から赤いバルーンがやってきてさ。
"お嬢さ~ん。お嬢さ~ん"って呼ぶんだよ。
見ると、あら不思議。トナカイがこっちにむかって手を振っているのさ。

トナカイの言うまま、バルーンにのって、いつもの街を見渡すとね。
多くの人たちがせかせかと動いてる。
こんな街に住んでるんだなぁってね。
でも、冬でもないのにどうしてトナカイなの?って。
すると・・。今のトナカイは寒くなくても大丈夫なんだって。

大切な風船探して、夕の空を旅してると。
トナカイはよく目が利くから、遠くにただよう風船を見つけ出してくれたのさ。
いつもの公園に降ろしてもらってさ。
ありがとう。これから君はどこ行くの?ってたずねると、
トナカイは笑顔で言うのさ。
困ってる子供たちのところへ行って助けてあげるのさって。

赤い風船もって、家に帰るいつもの道。
でもね、今日の気分は最高さ。木々や街灯まで小躍りしてるように見えるんだ。
だって、そうでしょ?
バルーンのトナカイが空を駆け巡る世界。
こんな世界は嫌いじゃないよ。
だって夢のバルーンがまたなにかの時に助けてくれるからね。

虹のひろがる季節

2013-02-07 | une nouvelle
"金持ちがいいとはかぎらない。
貧乏はほめられたものじゃないけど、貧乏な生活にだっていいことはある。
家の庭がなくったって、この街が僕の庭みたいなものじゃないかって。
大切なのは笑顔のでる毎日にすることだよ。

でも、これが意外と難しいんだよね。
自分にあった場所にいれば自然と笑顔がこぼれてくるって。言うのは簡単だけど、
そこが見つからないんだよね。
だから、毎日があるんじゃないかって。宝物を探しに出かける冒険者のように。
毎日の中で見つけ出していくんだよ。
僕たちの毎日はそんな冒険性に満ちている。

今日も街にはたくさんの笑顔がこぼれてる。あっちにもこっちにも。
生きるのに大変な時代だけど、なに気ない手をつないだ母娘の後ろ姿にもしあわせがにじみでたりしている。
その向こうの空にはきっと虹のひろがる季節がやってくるんだろうってね。
そう思わせてくれるあたたかな場面が、この世界にはたくさんあるんだよ。"

かわいいあの娘の目の前で

2013-02-06 | une nouvelle
ある家の窓際に小さなブリキの人形がいたんだよ。
かわいいぬいぐるみにかこまれて、しかも北国の寒さの中でも家ではぽっかぽか。
でもね、ブリキ人形の表情はいつも曇り顔なんだ。
なぜなら・・。

家の主人はとてもおしゃれな方でね。部屋の中には大きな舞台のような作り物があってそこはオルゴールの劇場になっているんだ。
来客の際には横のスイッチを入れると、オーケストラが出てきたり、サーカス団がショーを見せてくれたりするんだよ。
かわいいぬいぐるみに囲まれたブリキ人形。でもね、一番好きなお人形ははるか遠くに行ってしまったんだ。

この家に子供さんがね、異国へと留学する時にもっていってしまったんだよ。
いろんな楽しみのある部屋にいたとしても、ブリキ人形の表情が冴えないのもかわいいあの娘がいないせいさ。
ある月夜に、ブリキ人形の体がとても光ってるって、クマのぬいぐるみがうらやましがって言ったんだ。
君のように輝いて僕もあの舞台で踊ってみたいよ。
ブリキ人形は言うのさ。
僕の体がどんなに輝いても、かわいいあの娘はもういない。自慢の踊りももういらないシロモノなのさ。

そんなある日、来客の子供があやまってサーカスのピエロを取ってさらっていってしまったんだ。
オルゴールは動けど、劇場の中はどこかしまらない。そりゃそうさ、おどけて目をひく主役がいなくなってしまったからね。
部屋のみんなもとても残念がっていたんだよ。
クマのぬいぐるみは言うんだ。
ブリキの人形君。君の踊りでここのみんなを元気づけてくれよ。
すると、
君の気持ちはうれしいけど、こうも動かない日が続くと踊りどころじゃない。
きしむ音で、オーケストラの演奏も台無しさ。
あぁ、どうにかならないかなぁ。部屋の誰もがそう思っていたんだ。

すると、クリスマスの夜。
その日は来客も多く、家族も方々から帰ってきたんだ。
そして、家の子供さんもいて、うれしいことにブリキ人形のかわいいあの娘を連れ帰ってきてたんだよ。
それはね、とても不思議な夢を子供さんが見たからなのさ。
お月様の明かりでね、きらめくブリキの人形がとっても楽しく踊っている姿を夢にしたというんだ。
かわいいあの娘の目の前でね。

それがわかったのはだいぶ後の話さ。
その夜、とってもうれしいサプライズにブリキ人形は大喜びさ。
今までなに気に聞いていたオーケストラの演奏も心躍るメロディに聴こえてきてね。
踊りはじめたんだよ。新しい舞台という自分の居場所でね。
それからはまた部屋に活気が戻ってきたんだよ。

子供さんは部屋の不思議な明るさにこう言ってた。
やっぱり夢じゃなかったんだわ。
わたしの不思議な話、お父様聞いてくれる?
ほら、見て。この舞台のお人形さん。かわいい彼女の前で踊っているでしょ。
窓際でくすんでいたブリキの人形にはとても見えないわ。
わたしが持って帰った人形と一緒に、とてもしあわせそうに笑ってるようよ。

ずっとなくならない宝物

2013-02-05 | une nouvelle
女の子が夢のある言葉を口にしながら、庭に花の種を植えたのさ。
何の種だかわからないけど、公園のおじさんにもらったものをね。
毎日水をやっていたんだ。とってもやさしい背の高いおじさんと約束したように願い事を話しながらね。
すると、不思議なことが起こったんだよ。
かわいい芽がでて、どんどん大きくなっていった。
一週間もしないうちにかわいいつぼみをいくつかつけたんだ。
女の子はうれしくなってママに自慢げに見せたのさ。
するとママはこんな花はどこにでも売ってるわ。真っ赤なバラに似た花をつけるのよ、だって。
女の子はちょっと傷ついたけど、それでもおじさんの言う通り毎日願いごとを話しかけながら水をやっていたんだ。

ある日、ママと一緒にご飯を食べていると女の子の耳にとても美しい声が聞こえてきたんだ。
名前を呼ぶからその方をむいてみると、花の格好をしたお姫さまがこちらを見てるんだ。
あなたのは誰?
わたしはあなたが育ててくれたお花の精。あなたの気持ちで育った愛の花よ。
女の子はそれを聞いて大喜び。
でも、ママには見えないんだよ。
知らんぷりでご飯を食べてるから。
やったぁ。今日からまたひとり友達が増えたわ。
これからもよろしくってお姫さまもにっこり。

ママに見えないお花の妖精はどこに行くのも一緒。
ある時、街でスリにあったおばあちゃんがいたんだ。
助けて~。カバンを取られたの!
女の子はどうしていいのかわからなかったんだけど、とっさにお姫さまに頼んでみたんだ。
すると、花の精は風にのって泥棒の頭上へ。そして、手を振りかざしたんだ。
次の瞬間、泥棒は地面にバタン、ころり。頭にバケツが落ちてきたんだよ。
建物のバルコニーで花の手入れをしていたおじいさんが誤って落っことしたんだってさ。
カバンはふじおばあちゃんのもとへ。
女の子はお姫さまとまたまたにっこり。

そんなある日、お姫さまが女の子に言ったんだ。
もうすぐここを去らないといけないって。
女の子はとても悲しがって、別れたくないってお願いしたんだ。
でも、これは決まった事だからって。どうしようもないんだってお姫さまは言うんだ。
やがて、女の子が植えた花が枯れはじめていたんだ。
女の子も必死に手入れしたんだよ。でも、花にも命があることをあらためて教えられたんだ。
お別れの日、お姫さまが女の子にこう言い残したんだ。
わたしはいなくなるけど、不思議な出来事は今からもあるわって。
もっといっぱい素敵なことが待っているから、いつも笑顔で願う事を忘れないでねって。
女の子は涙ながらにこう言ったんだ。
種をもらって育てていくのがとても楽しかったわって。またかならず会えるから。不思議の魔法でまた会えるようにお願いしてみるからって。
おじさんが言ってたもの。お友達はずっとなくならない宝物だからねって。

まだ名もない脚本

2013-02-05 | une nouvelle
あたたかい寝室。姫様をとりかこむように男女が悲しみのまなざしをベッドへとむけている。
レースのカーテンのむこうは漆黒の闇。そこに光るまなざしもまた美しい顔へとむけられているのです。
執事は言います。
ご主人様、夜も更けてまいりました。どうかお休みになられて下さい。
誰もが沈黙のまま、時間だけが過ぎていきます。
指輪だけはこの子につけてあげたいわ。
奥様はベッドから細い手を出して、その指にきらめくダイヤの指輪をつけたのです。
そう永遠の誓いであるはずの大切な愛の証を。


黒い魔法を解く鍵はどこにあると思う。
難しい問題だ。しかし、あの姫様をこのまま眠らせておくわけにはいくまい。
今夜は満月ではないな。
月明かりの不思議な力もここまでは届かずか・・。
バルコニーにとまり、窓のむこうを鋭く見つめる二羽のカラス。
あの魔女の心の闇もかなり深いものだな。
美しさをほしいままにしているわけじゃないのに・・。あまりにもピュアな気持ちがこのように悲劇を生んでしまうとは・・。
問題の解決は・・。森に行ってみるしかないな。
それまでに姫様の灯が消えなければいいが・・。
バルコニーを飛び立つ二羽のカラス。空を舞っているあいだも何度かお城を振り返るのです。



願いは叶うっていう不思議

2013-02-03 | une nouvelle





"願いは叶うっていう不思議さを心が理解していれば、そうそう壊れたり暗くなったりはしないよ。
弱いようにもろいようにみえる人の心でも、たくましく美しく、色あせないヒカリでいられるんだからさ。
見失っているだけなんだよ。忘れかけてるとでも言うのかな。
思い出すって感じでさ、ふたたび明かりを灯しはじめればいいんだよ。
そう、願いは叶うっていうこの世の不思議さをね。"