欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

しあわせの記憶

2010-09-27 | poem


秋風が舞う頃、わたしは父につれられて、いつもこの場所に来ていました。
ここにはわたしの夢があります。そして、父の笑顔と楽しい音楽が・・。
薄曇りの空にも負けない明るみがここには確かにありました。

白馬に乗って草原をかけまわるように、わたしは自由と楽しさを感じながら、あらわれては消える父のやさしい笑顔をいつも探していました。
そんな父の笑顔はどこか切なさの漂うものでありましたが、わたしの好きな笑顔でした。
肌に感じる風の冷たさも、この場所では何の意味ももっていませんでした。
父と手をつないで帰る途中、いつも甘いものを買ってもらったものです。
その味がしあわせの記憶として、今もこの体の中にはあるのです。

あれから長い年月が経ちますが、今も昔のわたしのような子供たちが親につれられてここにやってきます。
物悲しさすら感じるワルツの音色の中で、今も白馬や荷馬車が自由にかけまわっているのです。
寂しい秋の風景はあの頃と変わりありませんが、しあわせの記憶は今も色あせることなくあたたかさをもってこの胸になにかを語りかけてきます。
遠い昔、父からの愛の記憶として、今もこのわたしの胸の中でなにかが明るんでいるのです。

祈りの部屋で感じるもの

2010-09-26 | poem


キャンドルの明かりだけがその部屋で明るんでいます。
真ん中に置かれた大きな明かりの前で、わたしは膝まづき祈りを捧げているのです。
外はしんしんと雪が降っています。
わたしが祈りを捧げていた、その背中にふとあたたかなものが触ったのです。
部屋の中にはわたししかいません。それでも、このあたたかな感触がだれのものなのか、わたしにはわかりました。
背中から全身へと広がっていくあたたかいもの。むかし母親に抱かれて眠った、そんな安らぎに似ているのです。
感覚を通して、わたしの心になにかが語りかけてきます。

"あたたかな愛を受け取り、心うるわせましょう。
なすべきことが今日もなされます。ですから、自らを迷わすことなく、自信をもち行きなさい。
愛の御業があなたを導いてくれる。確かなものがあなたの中に輝きとして表れる。
目の前の明かりのように、あたたかな愛が常にあなたの中にあることを感じましょう。
愛がいつも身近であることを感じられるなら、心は満たされていきます。今日なすべきことをしっかり行えることができます。"

寒い部屋でしたが、それを感じさせないぬくもりがここにはあります。
窓を覆う深い雪。そこから遠い星を見ることはできませんが、あたたかな明かりの前で祈りを捧げているわたしの胸にはしっかりとある輝きを感じられたのです。
背中に触るあたたかな感触と同じようなものが、頭から胸にかけて、そして、体全体へと広がっていくのがわかります。

弓なりに続く道を

2010-09-25 | poem


ともに歩く人は言います。
"疲れ果て、たとえ体が動かなくなっても、ここで君の旅が終わるわけではありません。
悲しい気持ちを抑えられず、空の向こうにやさしさを求め、ただ時だけが流れたとしても、ここが君の旅の終わりではありません。
旅人はその時の一歩一歩を、ひたむきにたゆまず踏み出していくものです。
まだ見ぬ自分の理想郷(くに)へ近づいていくために・・。

今見える現実が出来事が、君の行き着く場所ではないことを君はわかっている。
足踏みを続けていても、自らの望む場所へ行くための途中。
ほら、弓なりの道のむこうに君の理想郷(くに)が見える。
今の歩みはそこへ行くための一歩。あそこへ行けるため大切な時間であるのです。

胸の中の希望はこの世界で現実になることを望んでいる。
現状があらゆる手をつくし、夢物語だ無謀な考えだと君を否定しようとしていても・・。
旅の途中であることを忘れてはいけません。希望がカタチとなっているあらわれる、その場所へと行くために。
希望こそが今日の君の力。希望の輝きが今の生命であることを忘れないように。
あの理想郷(くに)へと足を運ぶ力。それは胸の中に宿る希望の輝きが原動力となっているのです。"

不思議な夜のカフェ

2010-09-20 | poem


いつもの帰り道。いつも通りの外灯の明かり。人のまばらな通り。
後ろから二輪車の警笛音が聞こえ、ぼうっとしている頭が驚かされてよけるのも普段通り。
雨上がりの美しい夜空。見上げしないが、星の多さが感じられる夜。
明るんだ向こうの塔がやさしく感じられる夜。
歩いていると、いつもは寄ることのないカフェに足が向いたのです。
お腹もすいているのに、コーヒーが飲みたいわけでもないのに。
ドアを開けて、カウンターへと。
感じのいい年老いたマスターがにこりと迎えてくれたのです。
ようこそ、なにを召し上がりますか?
なんでも(笑)
マスターは口もとに笑みを浮かべて。
エスプレッソでも?
お願いします。

店内は静かで、しかし、客はけっこういたりして・・。
一人で新聞を読んでいる人。携帯を眺めて、カップを手で探している娘。真剣に話しているスーツの紳士たち。
わたしは横にバックをおいて、息をついて。
コーヒーのいい香りがして。
あまり見かけないお顔のようですが・・。
そう、帰りにコーヒーなんてあまり考えないもの。
今日はどうかしたのです?
さぁ、わからないけど、不思議に足が向いたの。
そうですか。それはなにより。マスターはわたしの前にカップをやさしく置いて。
今日は音楽が特別なのですよ。今、トイレに行っていますがね。とても良い演奏をするギター弾きが今から演奏をはじめるんですよ。
それに導かれたのかもしれないわね。
だぶん・・、ですね。

店内の奥にイスがひとつあり、そのまわりのテーブルは寄せられていた。
向こう側の壁沿いからギターを持った若い男がギターを持ってあらわれ、そのイスの方へ。
ギターをあたりながら、マスターの方へ目をやって、弾きはじめる。
マスターは店内のBGMを切って、すこし照明を暗くして・・。
ギターの静かな演奏の中で、マスターがわたしに。
どうです? 不思議におだやかな演奏でしょ?
若い男の奏でる演奏とても人なつっこくて、あたたかみがある音色。
すこし落ち着きすぎているかもしれないけど、良い音色ね。
そうでしょう。こんな夜の雰囲気にぴったりの演奏者なんですよ。
そう言うマスターもうれしそうで。
彼が演奏にくるのは週に一度なんですが、不思議といろんな出来事がその日は起こるんですよ。
不思議って?
なにか懐かしい再会があったり。ちょっとした突然のプロポーズにまわりの客が拍手をしたり。言えばキリがないくらい。
そう、とてもロマンチックなお話ね。

だれひとり席を立つ者はいず、ギターをかき消すようなざわめきもなく。
落ち着いた雰囲気の中に心地いいギターの響きが包みこむ。
わたしはカウンターのカップを見つめて、コーヒーを口にしていると、あら。と顔なじみ知人がそこに。
あら、珍しいわね。よくここにくるの?
わたしはびっくりして、お久しぶりねぇ、まさかこんなところで会うとはねぇ。
以前同じ職場にいた気のいい同僚がそこに。
今日はお一人?
えぇ、ちょっと不思議に寄せられてしまって。
そうなの。あっ、今からわたしの旦那がくるんだけど、一緒に食事でも行かない?
いいえ、おじゃまして悪いわ。
そんなことないのよ。旦那にもあなたの話はしてあるのよ。会いたいと思っていたから。

ふたりはカウンターでおしゃべりに夢中で。そんななかでもギター弾きは音色をかき鳴らしている。
食事の予約はどうにかなるのよ。だから今日は不思議な夜だし、一緒にいいじゃない?
ううん、でも、いいのかしら。
もちろんよ。大丈夫、大歓迎よ。
マスター、わたしもコーヒーをひとつ。
笑顔のマスターがわたしに向かってにこりとして。
やっぱり不思議な夜になったでしょう。これも今日という不思議なの日のおかげですね。
そうね。素敵なマスターにお会いできたし、あのギターの演奏も。
あんな演奏、見たことなかったわ。
不思議の夜の伴奏者なんですよ。マスターは自慢気に微笑む。

月に一回のギターの演奏。不思議なカフェの明かり。
店を出て、楽しい夕食を済ませて、帰る道筋でたくさんの星を見上げて。
また足がむけば不思議なお店におじゃましよう。そう思った9月最後の週末。

胸に希望が息づくとき

2010-09-20 | poem


とんだドジをしてしまったと、頭をぽかりと叩きたくなるようなことが一日のうちにたくさん起きたり。
胸をちぎられるような悲しみにであいがしらにぶつかったり。
街では今日も予測のつかない出来事がたくさん起きています。
人はあらゆるところで、喜んだり、悲しんだり。途方にくれたり、笑ったり。
いったい誰かどこでこのシナリオを作り上げているんだと。
わたしの物語は悲劇のもの? それとも喜劇?

いずれ気づく時がくるけれど、シナリオの大筋は自分の心が色づけしています。
心の奥ふかく、今日という日になにかの出来事を求めています。
笑いたくても笑えない時もあります。悲しみが嫌なのに悲しみがそばを離れなかったり。
でも、そんな時でもあなたを見守っているあたたかなまなざしがあることを忘れないように。
星の向こうから輝く素敵な愛があなたのそばにはいつもあることを。
あらゆる出来事の、ちょっと見えにくい部分に見えかくれしています・・。

だから、安心して過ごしなさいと。やさしい母親のようなまなざしがいつもあなたに向けられています。
星の輝きのようなヒカリをまとった人が、今日もあらゆる人の中にヒカリをそそいでいます。
それを知って、愛とともに生きていける人に。
愛が身近にあることを感じましょう。たくさんの出来事の中のわかりにくい部分に、しっかり目をむけてみて下さい。
きっと見つけられます。その時こそ胸の希望がしっかりと息づく時。
力みすぎない生き方ができるようになりますよ。

天使の影を感じるとき

2010-09-17 | poem


不思議なこともあるものですね。
かなわないと思われるような出来事がふいにかなえられたり。
そこには天使が関係していることを心は感じます。
だって、ものごとの背景に、どうしても天使の影をみることができるのですから。
現実であればけっして起これえないような出来事。そんなことさえ、不思議とかなえられたりするのです。
天使の気配にはいくつかの共通点があります。
なんといっても気持ちが明るんで、ほっとするようなあたたかい感じ。
安心できるような満足感が伝わってくるのです。そして、豊かな発想が頭の中をかけめぐります。
色あざやかな空想が次から次へと心の中に浮かんでは消えていきます。
まるで楽しいメリーゴーランドに乗って華やかな場所を巡っているかのように・・。
現実ではなかなかそのような体験をすることは稀ですが、たまにはあります。
そんな時、わたしは微笑んであたりを見回すのです。かならず天使の気配を感じますから。
そして、明るい影をどこかに見ることができるのです。

心の中の明るみ

2010-09-17 | poem


人の目を見るとわかります。
そこには人の輝く希望がうかがえるからです。
ある人がある人にかぎりなく明るい未来のある視線をむけているとします。
すると、むけられているある人も心のどこかにむけた人の希望を感じることができるのです。
まるでむけた人のイメージがその人の心にまで伝わっていくかのように。

このように人に明るみを見いだせる視線、音、感じ。
たくさんの明るみに意識をむけることは結局自らの未来をも明るくしていけるのです。
その逆もまたしかり。
明るみを望んでいく人。暗闇を感じゆく人。未来の分岐点がそこにはあります。

心の中に明るみを感じさせるものをたくさん見いだしていきましょう。

不思議な貝殻のお話

2010-09-14 | poem


昔、ある国のお姫様が海のむこうに戦いに行った王子様の安否を貝殻を通じて知りえたそうです。
眠れない夜、お姫様は海からもって帰った貝殻を耳に近づけて聞いていると、王子様の息づかいやその時の情景が浮かんできたそうです。
ある年、国の戦いに敗れた王子様たちの消息はわからなくなってしまいました。
悲嘆にくれる国の人々。
でも、お姫様は希望を失わなかったのです。幾年も過ぎ行く中で、王子様の帰りを待ちわびていたそうです。
そして、驚いたことに、ある日の夕暮れ、一隻の船が港に到着しました。
人々が驚きときどう中で、お姫様だけは当たり前のように喜びをあらわして、王子様との久しぶりの対面をしたそうです。
王子様もそのことには大驚きです。それも無理はありません。行方知れずになってもう五年ほどの月日が流れていたのですから。
でも、お姫様はしごく真面目にこれからのことや人々に喜びを与えることなどを王子様に語って聞かせました。
王子様を含めた人々はお姫様の一途な思いに感服しました。
まさかお姫様が毎日貝殻を通じて王子様の様子を見守っていたなんて、さすがのお姫様も言えなかったのです。
それからの国はしだいに栄え、お姫様も王子様も仲良く長生きしました。国の人々もおだやかに楽しく日々を送ることができました。
時は流れ、お姫様の国もその大きなお城も、おだやかな楽しい日々も、年長の老人すら知らない過去のものとなってしまいました。
しかし、ある時、遺跡を発掘していた学生のひとりが不思議な箱を見つけました。
学生はすぐに教授を呼び、どんな宝物だろうと興味深々に開けてみました。
砂の間から出てきたのは手の拳ほどの割れかけた貝殻と、星のカタチをした小さなヒトデのようなものでした。
学生と教授は期待した分、大きなため息をつきました。
先生、こんなものは残していてもしかたがないので捨てましょうよ。
あら、きれいなものね。
同じ大学の女の学生が、その貝殻や小さなヒトデに興味をもったようです。
ねぇ、先生。今日はわたしの誕生日ですもの。これをプレゼントしてくれません?
男の学生と教授は珍しいものに興味をもつ人もいるものだと、それを女の学生にあげました。
女の学生は大喜び。そして、町で買った小さな瓶に鮮やかな色の砂とともに部屋に飾っていました。
さてさて、不思議なことに女の学生さんが、いつも彼氏の様子がその日を境にわかるようになったとかならないとか・・。

昼下がりのケーキ屋さん

2010-09-14 | poem


ドアが開くと小さな鈴が鳴り。あら、今日はおひとり?
彼女が風邪をひいたみたいで、甘いものが欲しいって。
そう、あいかわらずやさしいのね。
男は棚の中を見回す。
どれにしようかな。僕ならこのケーキだな。
女店主は笑って。あら、自分のものばかり?
彼女が今なにが食べたいかまでは僕もわからないよ。
以前買ったものにしてみたら?
それが無難だろうけどね。でも、今日はこのケーキにひかれるな。
男のわりには食べ物にマメね。これは新製品のケーキよ。昨日から出しているもの。
だろうと思ったよ。とてもおいしそうだから。
ふたりで同じものでいいの?
う~ん、そうだな・・。別のものを買って帰れば、はずれは少ないだろうけど。今日は一緒のものを食べようと思う。
お熱いのね。
そうかなぁ。男は照れながら首を振り、ふと外に目を向ける。
もうすぐ雨が降りそうだから、いそいで帰らないと・・。
あら、夕方からはお天気が崩れるとは言ってたけど。もう、降り出しそうなの?
僕に早く家に帰れって彼女が言ってるのさ。
そう? ふたりは笑って。じゃあ、このケーキを二つでいいのね。どうもありがとう。
おいしそうなケーキだからまちがいないと思うよ。
もちろんよ。女店主は冗談気にうれしそうに笑って。あなたたち、早く結婚しなさいよ。
まだそれは言わないでよ。僕がまだまだ未熟だからさ。
そんなこと言ってたら、いつまでたっても先には進まないわよ。
男は苦笑いして、頭をかいている。
これはわたしからの気持ちよ。仲良く食べてね。
女店主はケーキの箱に色あざやかなマカロンをふたつ入れる。
ありがとう。彼女も喜ぶよ。
女性にとってケーキは魔法の食べ物だから。風邪もすぐになおるわよ。
そうかもしれない。今ケーキがむしょうに食べたいって言ってたから。
あなたの気持ちもあるから、なおさらよ。はい、お待ちどうさま。
女店主は男に箱を渡して。早く彼女が元気になるように祈ってるわ。
ありがとう。またふたりで顔を出すよ。
お待ちしてます。
雨が来ないうちに帰らないと・・。彼女がせかせてるのかなぁ。
そうかもね。でも、気をつけてね。ケーキを待ってる彼女の気持ちが伝わるから、家に着くまではきっと雨は降らないわよ。
そう願うよ。
ありがとう。ありがとう。
ドアの鈴が鳴って、男は出て行った。
女店主は窓辺に近づいて、曇りはじめた空を見上げながら、ふたりのこれからのしあわせを願った。
おいしそうにケーキを食べるふたりの姿を思い浮かべながら。

楽しい朝の日曜日

2010-09-12 | poem


町の人たちがどれだけふたりの前を通り過ぎようとも、ふたりの世界は壊れたりしない。
それこそ朝の市場もお気に入りの人形もママの作るパンケーキだって、今のふたりの会話には勝てない。
おだやかだけどにぎやかになりそうな祝日の雰囲気。朝はだんだんと昼間の明るさや喧噪へと姿を変えていこうとしている。
それでも時間を忘れたかのようなふたりの話しぶり。
楽しさに満ちた兄の口調。好奇の目を妹は兄からそらさない。
時折、笑いあって、手を叩いたり体をのけぞらせてみたり。
通り過ぎる町の人たちはこの兄妹にさして関心はなさそうだけど、ふたりの楽しい会話は終わりがない。

ねっ僕の言う通りにしてみよう。
それに笑顔でうなずく妹。兄は自慢げに目をあげて、笑顔をつくり・・。
その時、パパがふたりにご飯ができたと大きな声で呼びかけている。
それでも楽しげに話すふたりの耳には届かない。
お手上げとばかりにパパは手をあげて、首を振り振り家の中へと。
そんなことはつゆ知らず、ふたりの話は続いていく。
やがて、祝日名物の観光客の行列に、ふたりの会話がさえぎられる。
兄はしゃべり疲れたように、大きな息をつき、ようやくお腹がすいているのに気づく。
兄が立ち上がり、妹もそれに続く。そこでふたりの楽しい会話はおしまい。
家からのご飯の知らせはまだかなぁと、ふたりは石畳を走っていく。
観光客と観光客のあいだをすり抜けながら。鬼ごっこのように。
教会の昼の鐘が鳴る前に・・。
ふたりの楽しい日曜日はまだまだはじまったばかり。