ハッピーは意外なところに 2013-03-20 | une nouvelle "小さなカエルでも魔法を信じている。 野に咲く花もやわらかな魔法の色あい。 この世界のあらゆるものが魔法の力を信じているのに、どうして人は頭に頼ってしまうのか。 日常のあわただしさの中に見えかくれする愛のある魔法を探してみましょう。 しあわせのはじまりはそこから。 前ばかり向いていては片隅の輝きに気づきませんよ。 実はそんなところにこそ大きな道しるべがかくされているのです。 それはこの世界の不思議な一面。"
雪の夜、街は魔法を・・。 2013-03-20 | une nouvelle 雪の降り始めた街。外灯の上に白い帽子がのっかる頃、彼女は身を縮めるように歩いていたのです。 けっして明るい顔とは言えないけれど、それでも胸に明かりをもって歩いてる。 大事な彼とはもう半年も会っていないのです。それでも愛のぬくもりはまだ消え失せていませんでした。 いつになるかもしれないキス。それでも他の人にはない真摯を彼女は彼に感じていたのです。 暗闇に続く道。街角を曲がるとほっこり明かる場所があるのです。 老舗ブランドのショーウインド。黒くつややかな手の指に輝く永遠のあかし。 白くはく息も忘れ、彼女は指の輝きに目を奪われていると、やがて、街の魔法が彼女を包みこむのです。 白い雪がいつしか彼女の指に集まって、純白の指輪が。そして、指輪が見せてくれる映像の数々。 彼との愛を交わす旅路。目にするおしゃれな建物。はかなくも美しい花々。 胸に伝わるあたたかな思いがそのまま風景にとけ込んでいるかのよう。 そして、彼の笑みの奥から出た言葉。それは、街の冷たさにも負けないあたたかな愛。 すると、そこで雪の街に意識が戻り、ほんのりした明かりを見つめている彼女の耳もとにささやくものがあるのです。 "愛の鈴はいまでもあなたの胸で鳴り響てる。 それは、もうすぐ確かめあえる愛の輝き。 まるで雪の白さのような。彼とあなたの純粋なつながり。" 寒さの募る夜の街を歩いていく彼女の後ろ姿。 その体からこぼれてくるピュアな輝きに、街はステキな魔法の仕掛けを。 びっくりするようなうれしい出来事がこの後、彼女に起こったわけをその時の彼女は知る由もなかったのです。