欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

流れ星が舞い散る夜に

2012-12-27 | une nouvelle
流れ星が舞い散る夜に不思議な声を聞いたのさ。
橋のたもとに立っている不思議なヴァイオリン弾きの少年。
美しい声で、音色にまけない素敵な詩を口づさんでいたんだよ。
"星が願いをかなえてくれる。
星が願いをかなえてくれる。
人の心にある美しい宝石が、星のきらめきと共鳴して、願いはかなうと言われているのさ。
素直な気持ちで話しかけてごらんよ。そうさ、満天の星空にむけて。
マリア様のようなやさしい愛が、君のもとにも届くから。"
"ちょっと、君。ほんとうに願いはかなうの?"
橋の下から顔をのぞかせた老人。少年は友達のような親しみの笑みをうかべて。
"疑いの心はこの世界の悲しい習慣だよ。
心が泣いてはいませんか?
理屈にしがみついて、かた苦しい生き方を選ぶのかい?って。"
少年はそう言うと、ふわりと星に近づいて、まるで父親か母親に話しかけるように、
"星がいろんな言葉を授けてくれるんだ。
愛され育まれているんだよ、僕たちは。
暗い気持ちが生まれるのは愛から目をそむけているから。
上を見てごらんよ。満天の星たちが僕たちを出むかえてくれるのさ。"
老人も不思議な顔で空を見上げている。
"あのきらめきは僕たちへの愛情のしるしさ。"
"これはけっして夢の話じゃないんだよ"
消えていく少年の声が、だれの耳にも届いたある夜ふけの話。


夢見ることの大切さ

2012-12-22 | une nouvelle


"澄んだ夜空を見上げていると、素敵な音色が響いてくるのです。
星は人の願いを受け入れてくれるやさしい輝き。
心の中ではわかっているのです。この世は現実とある種の魔法によってできていることを。
夢見てばかりいては人生は熟れきってしまいます。
ですが、現実ばかり見ているのも、味気なく心はしぼんでしまうものです。
なにごとにもバランスが大切。
夜の素敵さはパリの街が教えてくれます。夜の魔法が具現化された街。
その明るさが夢見ることの大切さをわたしたちに教えてくれているのです。"

素敵な夜の贈り物

2012-12-22 | une nouvelle
船乗り見習いの男の子が夜の見張り番を終えて寝床へと戻ってきました。
たくさんの船員がいびきをかいている部屋で、狭いベッドにもぐりこんだ男の子は先ほど見たきれいな星空を思い出していました。
うっとりとするような満天の星。そんな美しい空を思い出しているあいだに眠気がやってきて・・。

男の子は夜空を行く一艘の船の舵をとっていました。
たくさんの船員たちがデッキに出て美しい夜を堪能していました。
すると、舵のむこうに古いオルゴールの箱があり、その箱が自然と開いたのです。
そこからは美しい音楽と金色の妖精があらわれました。
妖精は男の子の肩のところまで飛んできて言うのです。
あの方角に小さな島がありますわ。船をそばまでつけて、船員たちに島を探してもらって。
うふふとほほ笑む妖精に男の子は、
この船は海賊船じゃないんだよ。たくさんの食べ物を街へと運ぶ運行船なんだから。
妖精はまた笑いながら、
何でもよろしいじゃない? だって、お金が入ることは良いことでしょ?
すると、デッキにいた船員たちがなにやら指さしてこちらに話しかけています。
ひとりの船員が男の子のところまでやってきて、
船長、あちらに見知らぬ小さな島があるようです。
男の子の肩にかくれた妖精は口に手をあてて笑っています。
これは宝物を追う船じゃないんだがなぁ。
船員たちの興味ももはや島の方にうつっています。
早く行きましょう。素敵な宝物がたくさん眠っている島へ。
船はすこしずつ島へと近づいていきます。
お金は欲しいけど、たくさんあると争いがはじまってしまう。
男の子の心配なつぶやきに、妖精は、
あら、お金がしあわせって思うからいつか不幸が近づいてくるのよ。お金や富はしあわせと引き換えるもの。
持っていてもしあわせに変えていかなきゃ不幸になるばかり。
男の子は妖精に、
じゃあそのしあわせと引き換えるやり方をみんなに教えておくれよ。
あら、
意外な顔をして妖精は、
心が明るくなる使い方をすればいいだけよ。素敵な気持ちは誰の心にもあるものよ。でも、使い慣れていないから、下手なままでいるのよ。
手厳しいなぁ。
そうかしら、ひとつ言っておくわ。
誰の心にもしあわせへの道しるべは心の中にあるのよ。ただ、頭でっかちに心の声を聞くことを忘れてしまうから人生が色あせていくのよ。
今からでもうまくいくかなぁ。
そりゃあなた次第だわ。心の豊かさに慣れる練習ね。
あの島があなたたちにいろんなチャンスを与えてくれるのよ。とても素敵な夜のプレゼントだから。

おい、起きろよ。朝になったぞ。
大人の船員に叩き起こされて男の子はまだ眠気まなこに妖精や夢のことを思い出します。
ずいぶん楽しそうな顔で寝ていたぞ。
男の子は頭をかきながらベッドから出てきます。
おい、いい知らせがあるそうだぞ。昨日の夜、船に何かがぶつかって拾ってみたら、どこか異国の王室の木箱だったらしい。
これはオレたちにもなにか分け前がまわってくるかもな。
男の子はそれを聞いて妖精のウインクする姿が浮かんだのです。
しあわせの引き換えの話とともに。

花の都と人は言うけれど

2012-12-15 | une nouvelle
列車が大きな橋にさしかかると、雨のおちる車窓から大きな街並が見えるのです。
チョコレートを口にいれながらいたずら気な笑顔をみせる幼い姉妹。
父親は言うのです。
お前たち、ようく見ておくんだよ。
この街にいたこと。ここでしあわせを手に入れようとお父さんもお母さんもがんばっていたんだよ。
でも、これからは別の土地でしあわせを探すことになった。
疲れた顔をうつむけて母親は子供たちを抱き寄せます。
あの塔にわたしはいつも願いをかけていたものさ。
橋の上のアコーディオン弾きがうまいことを言っていたっけ。
太陽が塔をあたためて、愛情が街のあちこちにひろがっていくんだとさ。
愛やしあわせが似合う街か・・。

日が暮れて、子供たちは眠りにつきます。
これからは凍える風に苦労しなくてもすむな。ありがたいことだ。
母親は子供たちの額をやさしくなでながら、
子供たちもカゼをひかなくてすむわ。
そうだな。まったく冬は寒すぎる街だった。
そう言って、父親は大きな息をつき、
ほんとうに寒い街だったな。でも、愛としあわせが似合う街なんだ。
こんな街はめったにないよ。あんな貴婦人のような塔がいつも見える街なんて・・。
まぁいい、今度は子供たちがあの街でなにかを見つけてくれるだろうよ。
あなた、すこし眠ったら?
ああ、ちょっと休むことにしよう。
安い酒でも飲ればなぁ。ちょっと飲んで今夜はあの街の夢でも見たいものだ。
悲しそうにほほ笑む父親。
我々が出会った街さ。やっぱりあそこは思い出深かい場所だったんだよ。

迷いながら歩いているとふと目にはいったもの

2012-12-15 | une nouvelle
黒い天幕をはぐると、水晶の輝きのむこうに若い娘が。
娘はこちらを見てにこりと笑います。
あなたにとって大切な事を教えてあげますよ。どうぞ。
ほほ笑みに誘われるように男は天幕の中へ。
淡いスズランの香り。
娘は細い指で水晶をやさしくなでていき、
あなたのお悩みはこれなのでは・・?
水晶の中には不思議な花柄の模様が。
これが、どうして・・?
男は驚き言葉を失っていると、
この柄はやさしいしあわせの色、のようですね。
理屈よりもしあわせの感性で選びなさいとでているようです。
この柄はどこに売っているのでしょうか?
それは、身近な女性(ひと)に聞いてみれば? あなたがお尋ねになるのを待っているはずですよ。

不思議な夜に月は輝く

2012-12-10 | une nouvelle
崖の上にそびえ立つお城。王様のひとり娘が夜部屋の窓から遠くを望んでいるのです。
憂いをおびたそのまなざし。すると、月がやさしい言葉をかけてきたのです。
"お嬢さん、そんなうつろな表情は似合わないですよ。"
"まぁ、お月様。こんなわたしに言葉をかけてくれたのね。"
月はお城に近づいて、
"なにをそんなに憂んでいるのです?"
"なに不自由ない毎日。ですが、わたしには色あせた日々であるのです。
贅沢な悩みだと言われるのは仕方のないことです。
ですが、わたしの中でなにかが足りない日々。そして、そんな心にささやくものがあるのです。
この窓から飛び立って、あの山の向こうにある森に希望のヒカリがあると。"
月はなにかを考えながら、
"それは森の泉に集う妖精たちの演奏では?"
娘は目を輝かせて、
"やはりそんなすばらしいものが存在するのですね。
わたしはその演奏を耳して、なにかを変えたいのです。"
"それはあなたの未来ですからね。"
月の言葉に笑みを浮かべて、
"これは夢ではないのですね。心にささやく言葉も、不思議な演奏会も。"
"行ってみればわかりますよ。"
そこで姫は手を重ねて、
"どうかわたしの羽が輝く森の泉へと導いてくれるように・・。"
月は威厳のある声で言います。
"願いのままに。"
すると、背中には美しい白い羽がはえて、
"夢のような夜ですわ。きっとすばらしいことがまっているに違いありません。"
窓をあけようとする娘に月は、
"それでもお気をつけになって。森にはいろんな生き物がいます。夢や希望を疑う者たちも・・。
その素敵な羽は希望をみなもとにしていますから。どうか、なくさぬように。"
娘は夜空に大きく手をかざして、
"わたしの願いは心の奥深くに根ざしています。それでも心ゆらぐ時には・・、
漆黒に輝く星のきらめきを見ることにしますわ。なにより心の中の希望に輝きが似ておりますから。"

大泥棒はいろんな手を使う

2012-12-06 | une nouvelle
"姫様、ご安心下さい。わが国の警察はとても優秀な者ばかり。この月夜の雫はどんなことがあろうと我々が守ってみせますぞ。"
ヒゲの署長は自信満々な顔。
"どんな大泥棒か知りませぬが、そのような輩(やから)には指一本触れさせません。
さ、ご安心なさって寝室へお戻り下さい。"
心配そうな姫を部屋まで送り、署長はさらに語尾を強めます。
"この城を警備しているのがワシらだということが、やつらの不幸のはじまりですな。はっはっはっ。"

やがて、朝日がのぼり、天気の良いのを喜ばれる姫さま。
着飾って部屋から出て来られます。
"姫様、おはようございます。昨夜は何事もなく、ほら、月夜の雫もこのとおりに。"
"署長さん、完璧な警備をありがとうございました。このような仕事ぶりはわが国の誇りでありましょう。"
この言葉には署長もほろりときて、
"手前味噌ではありますが、わたしもわが警察には誇りをもっております。
これからも月夜の雫は我々が・・。"
"ありがとうございます。ですが、もうよろしゅうございますのよ。"
"え?"
"わたしもこの国の警察が優秀なのにとても安心しました。これからのことは城の者たちにおまかせになって。"
"はぁ・・。お言葉ですが姫様、この宝石はまだ狙われているのでは・・?"
姫は署長から目をそらして、
"ここの者たちで十分ですの・・。今までの警備には感謝いたしております。"
"はぁ、姫様がそうおっしゃられるのならば・・。とても高価な宝物ゆえ、今後もお気をつけ下さい。"

そそくさと団体で城を引き上げていく警察の者たち。
それを安堵のまなざしで見送るお姫様。そして、部屋へと戻り、
"あなた、もういいですわ。出ておいでになられて。ジャマ者は去りました。素敵な夜の続きをいたしましょう。"

夜空のお星はどうして輝く?

2012-12-04 | une nouvelle
南の島のココナッツ大王はお城のバルコニーから夜空を眺めるのが大好き。
となりにはまだ幼いココナッツ王子の姿も・・。
王子が明るい声で言います。
"ねぇねぇお父さん、あのきれいなものは何?"
大王様はやさしい声で、
"あれはね、王子。お星様って言うんだよ。とってもきれいな夜の宝石なんだ。"
"ほうせき?"
大王様は笑いながら、
"これは難しかったね。う~ん、たからもののことさ。
女の人が欲しくてたまらないものなんだ。王子も大きくなったらわかるよ。"
王子はバルコニーから身を乗り出すように手をのばして、
"あんなにキラキラ。どうしたらなれるのかなぁ?"
"ん?"
そう言われて困ってしまう大王様。
思案の末に・・、
"王子よ、あの光がとってもきれいなのは神様の言うことをたくさん聞くからなのさ。
だから、王子も神様の言うことやワシらの言うことをよく聞いていい子にしていれば、あんなにきれいに光れるんだよ。"
"ふうん。"
王子も納得のご様子。
"僕、いい子にしてるよね。あんなきれいに早くなりたいなぁ。"
"はっはっはっ、ちゃんといい子にしてればなれるよ。女の人はきれいなものに弱いから、大人になって王子も助かるだろう。"
大王様の言ってる意味がよくわからないながらも王子は手を振ったり、つかもうとしたり。
"僕、これからも言うことをよく聞くね。"
大王様もうまい言い回しだったとご満悦で、
"そうだな、早くあんなお星様になれるといいね。
そうすれば一石二鳥さ。女の人で苦労することもなくなるよ。そうすれば人生はとっても楽になるってものだから。"

乙女心という宝石

2012-12-04 | une nouvelle
"わたしはいろんなものを手にしてきた。
美しいものも、普段の生活では目にしない高価な物も、黒い魔法も・・。
でも、そんないろんなものたちは時がたつにつれて徐々に色あせていった。
どんな美しいものもわたしのそばで色あせていった。

そんなわたしのそばで唯一色あせずに輝き続けるものがある。
純粋な輝きを失わず、どんな時でも強すぎず弱くなることもなく輝き続けるもの。
一度は心の奥に閉じ込めてしまったものだけど、いまだ失うことのない魅力。
その輝きが闇を深める日々の中で、わたしの中で美しい輝きを放ちはじめている。"