欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

人魚姫の眠り

2013-03-21 | une nouvelle
深いふか~い海の底。大きな貝殻のベッドで眠る人魚姫。
魚たちが心配そうに見守るのをよそに青白い顔はさらに悲壮の色あいをおびて・・。
ちょうちんアンコウが何匹かやってきて、人魚姫の表情を照らします。
"かわいそうな姫様。どうか目をさまして下さいな。"
そう言うのは、この海の魔法使いイルカ。
小さな魚たちがこぞってイルカに頼み込みます。
"姫の笑顔はみんなの元気です。
岸のむこうの人間に恋をしてしまった姫様に罪はない。
かなわぬ願いといったって、魔法の力でなんとかなるはず。"
イルカは首を傾けて、
"いいや。どんな魔法の力も本人の強い意志に遮られてしまえば思うように働かない。"
とほうにくれる周囲の者たち。人魚姫の顔はさらに蒼くなるばかり。
すると、イルカはちょっと賢者に聞いてくると、海をあがっていくのです。
そして、波間から、月にたずねます。
"姫様の強い悲しみを癒すすべはないのでしょうか?"
考えている風の月でしたが、やがて、
"乙女の心は繊細ではかない。だが、ひとつ解決策はないことはない。
姫をこの波間へ連れてきなさい。そのあいだにわたしは星々を集めておこう。
すい込まれるような満天の星空に姫の心が希望を重ねてくれたら、その瞳はふたたびひらくだろうから。"

三度のメシより○○が好き

2013-03-21 | une nouvelle
ある国の大王様は大のショートケーキ好き。
三度のメシよりケーキが好きだから、どんどん太って今では自分で歩くこともできない。
そんな大王様を見かねて、王女がひそかにケーキにカラシを混ぜるように指示した。
しかし、そんな辛いケーキでも大王様はご満悦でペロリ。
今日のはイチゴが少なかったなと大きなスプーンをコックに投げる始末。
お手上げで王女が不思議の鏡に聞いてみた。
"あの大王様をケーキから遠ざけるすべはないかしら?"
すると、鏡の向こうにあらわれた大男が一言。
"王女様、そんなのお安い御用ですよ。
大王様の心を満たしてあげることです。
そうすればケーキに向かう曲がった力はすっかり勢いをなくすはずですよ。"

ある夜、眠っていると

2013-03-21 | une nouvelle
ある夜、眠っていると星空が大きく見えて、
星たちが僕にひとつひとつ大切なことを教えてくれたんだ。
ある星は言った。
愛をないがしろにしてはいけない。
人は日常の中で愛を見失うことはよくあることだからね。
また、ある星は言った。
美しいものを見ると心躍るのはなぜ? 
そこにも大事なヒントがかくされてる。
美しいものにあこがれそれに近づこうとしているのは、なぁに?
また、ある星は、
勇気はなにものにもかえがたい宝物。
ただ、やみくもに勇気を使ったってそれは道理違いってやつさ。
心と相談しなよ。そうすりゃ間違いはないってものだから。
ここでは言い尽くせないひとつひとつのヒントを聞いているうちに、僕はあることに気づいた。
それは・・、
なにものにもかえがたい宝物が人の胸には秘められているのに、それを見ようとも使おうともしないことが実に多いってこと。
心をないがしろにして、しあわせって言葉はないんだよって、僕のおばあちゃんも言っていたっけ。
きっとおばあちゃんも若い頃、お星様とよく話をして、生きる術を心得ていったんだろうね。