欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

最後の夜

2006-04-09 | poem
もうすぐこの城も陥落する。
今までの栄光も今までの思い出も、すべてなくなってしまう。
glassの中の赤い水が私の最愛の人を救った。
永遠の眠りについたその人の顔は今、おだやかにほほ笑んでいる。
窓のむこうで立ち上る悪魔のような煙。城壁を打ち破る轟音。人々の喚声。
夜空は驚くほど黒い。幾億の星の輝き。
あぁ、私はもう陽を望むことはないのだ。
この幾億の星が私の最後の見送り。
机の上には細く鋭い王の剣。その澄んだ光沢は冷たく輝いている。
あぁ、私のいとしい人。この冷たくもやわらかい頬の感触。
もうすぐこの部屋にも鉄面の兵士がやってくる。
しかし、もう争うことはない。
さらば、この部屋。さらば、この城。
私たちはすべての思い出とともに、争いのない地へ行く。
二人で静かに暮らせる、心の地へと。