つまり、菅政権が法の趣旨を都合よく変えているのである。驕りという以外にないが、この間のやり取りを見ていると、首相や政府の言い分にはあまりに屁理屈が多く、やはり分が悪い。

 ついに首相の菅義偉は日本学術会議の提出した105人の候補者リストを見てもいない、とまで言い出した。その無茶な抗弁は、首相自身が任命拒否に関与していないと言いたいから付け足した理屈なのだろう。だが、となれば、いったい誰が拒否したのか、となる。

 99人の任命を決めたときの内閣府の決済文書には、105人の推薦リストが添付されている。これでは首相が法で定めた推薦を無視し、6人の候補者の任命を拒否したことになる。案の定、日本学術会議法違反ではないか。記者団にそう突っ込まれた。