林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

古代中国と近代マオリ

2007-01-23 | 色めがね

  説唱俑/青銅七牛貯貝器

東京国立博物館へ「悠久の美・中国国家博物館名品展」を観に行った。
西暦紀元前4000年頃から、10世紀迄の5000年にわたる悠久の時間の中で作られた名品ばかりを集めた特別展だった。
驚くほど精巧で、趣味がいい意匠のものばかりだった。
日本製の工芸品が世界一の水準に達していると思っていたが、どうしてどうして、古代中国の工芸品は勝るとも劣らない、とびっくりした。
日本の工芸品は技術が高いため、ともすると冷たい印象を受けるが、中国の出土名品群は、愉快で暖かい。

  青磁騎馬俑


いつもは雑踏する特別展だが、空いていたため展示品が良く見えて、博物館の展示方法も近年随分良くなった。
おかげで、十分に名品を1点ずつ楽しめた。

  首長の杖  

広い平成館の半分は「マーオリ・楽園の神々」と題する「ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ名品展」が開催されて、今日が初日だった。
これにも驚いた。
古代中国の名品が青銅や陶製品であるのに対し、木や骨、植物繊維を使ったおよそ100年前に使われていたものだが、意外や意外、彫り物の意匠が中国のものによく似ているのだ。博物館の収蔵品だからかも知れないが、なかなか趣味がいい。
カヌーの舳先飾りや、集会所の破風の木彫りなど、どれも洗練されて、迫力がある。
認識を改めました。
民族の美的能力や文明文化の伝播と洗練について、柄にもなく考えてしまう有益な時間だった。

初日のため、広い休憩室の一角に簡単な舞台を作って、マオリ族の歌と踊りを、現地の人たちが見せてくれた。
男女7~8人の出演で、その美声と圧倒的な声量には恐れ入りました。
少しハワイ音楽に似ているが、もっともっと力強く、物凄かった。
鼻と鼻を擦り合わせる挨拶を、見物の人たちとやってくれたが、男女とも横綱曙級の大男大女で、あのひとたちに迫られたら、ちょっと怖い。
ひとり、キリ・テ・カナワ風の美形がいたが、写真でお見せ出来ない。
最後に、何故か「瀬戸の花嫁」を日本語で観客と一緒に歌い、大いに盛り上がって楽しかった。

  東京国立博物館「平成館」

ところで、皇太子ご成婚記念に建てた「平成館」は、すぐ前で眺めると、端正で簡素でなかなかいいが、本館の前庭から眺めると、大屋根が貧弱で巨大物流倉庫のように見える。
帝冠様式の代表作の本館、明治時代の代表的な洋式(ネオ・バロック様式)建築の表慶館、昭和寝殿造風の東洋館に比べると、大きさでは負けないが、どうも見劣りがする。
平成という時代の薄っぺらさを反映しているのかもしれない。

今日は保谷偏屈さんと一緒。
この後、偏屈さんのご案内で、「下谷七福神巡り」を敢行した。


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