林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

山道

2012-10-31 | 高麗便り

夕方、山の向こうにあるスーパーへ買物に行った。
この時間に山道を歩く人はいない。密林状態だった針葉樹林をあちこちで丸坊主にしたので、猪一族は他の山に移住しただろう。買物のために小金を持っている森生には、人恋しいけれど見知らぬ人は怖くもある。

向こうから人がやって来た。
?、........ほっ。同じ町のご同輩だった。背中にはリュック、両手には買物袋をぶら下げて、坂道を帰って行く。

安心して少し歩くと、オリーブ色の長い紐が、足元の山道をにょろにょろと
ぎょっ 1mを超える縞蛇だ

大蛇が山道を横切る間、立ち往生されられた。立ち竦んでしまい写真に撮ることさえ忘れていた。

ヤツラはまだ冬眠していないようだ。山道は油断禁物である。

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秋眠

2012-10-30 | 林住期

昨日の「朝日俳壇」で、金子兜太氏が選んだ10句の中に面白い句があった。先ず一句目。

            ・ 頻尿の月の明かりも物悲し ・
                               ..........(高岡市)野尻 徹治

昨夜、用を足すために起きた時、ふとこの句を思い出し、障子を少し開けて庭を見下ろした。
月光は煌々と夜を照らし、本が読めそうに明るかった。そういえば、今夜は満月だそうな。

森生も野尻さん同様、夜中に何度も起きる所為か昼間、眠くなる。いつでもどこでもストンと眠りに落ちることができ、特に午後3時頃は、車を運転中でも眠れる。この間は信号待ちのときに、瞬間的に眠ったことがあった。

 

次に六句目。

            ・ 春眠に勝る秋眠ありしかも ・
                               ..........(三木市)酒井 霞甫

問題は「ありしかも」の「かも」である。シャープ電子辞書には、「終助詞」の場合は意味が二つあり、最初の一つには更に意味が三つあり、「係助詞」の場合もあるそうだ。つまり意味が合計五つもある。

そもそも助詞に「終」や「係」が付くなんて初めて聞いたような気がして面くらい、電子辞書の解説文は長くて何回も下送りしなくちゃならない。酒井さんはどっちが勝ってると思ってるのか、何が何だか分からなくなっちゃったよ。

まぁ森生にとって、春眠は気持ちいいけれど、あれも見たいこれもしたいと気が急いて、寝てなんかいられない。
それに較べると秋眠は、雨戸を閉めて暗くしておけば、何時までだって寝ていられる。
だからうちの寝室は、夏は朝が早く寝不足になるので雨戸を閉め、夜が長くなると雨戸を開けておく。

            ・ 秋眠でそのまま永眠しちゃうかも ・
                               ..........(日高市)猫額亭 森生

そういうわけで、昨夜は深夜にも拘わらず障子だけを開け、月明かりの庭をしばらく眺めていたのであります。
勝るのは春眠か秋眠か。森生は秋眠と思ふが、それはさておき........。

朝の空気が冷たくなると、ハッキリすることがある。
それは掛け布団がどっちの方向にずれるか、という問題です。

答えですか、それはね。春眠では掛け布団は左右横方向にずれ、秋眠では寒くなって上方向にずれまする。
この事実は「かも」なしであります。

                                            金子兜太氏が選んだ十句の中には、他にも気に入った句が三句もあった。

                                            
・ 帰山して邯鄲の音に眠れざる...............(群馬東吾妻町)酒井 大岳

                                    ・ 残る虫のごとく二人の会話かな...........(和歌山すさみ町)谷口 美紀夫

                                                ・ ちちろ虫今日はコンビニ三回目..........(東京都)矢野 美与子 

                                             

句は、可笑しさがあるほうが好きです。
あの「古池や.......」だって、かなり可笑しいですよね。

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ペンキ塗りたし

2012-10-29 | 林住期

お隣さんが、とうとう外壁を塗り替えた。
下請けではないそうで、今どき珍しいすごく丁寧な仕事ぶりで、くすんでいた白壁が純白になった。......複雑。

殆ど同時に竣工し同じ10年目に塗り替え、13年経った2回目の今度もご主人はまだ現役で、お隣さんは塗り替えた。
さほど汚れてないつもりだったが、較べて見ればわが猫額亭は、わが境遇は...........、み・じ・め。

森生だってもう2年前もから、ペンキ屋のセールスおっさんの攻撃に晒されている。
憎めない人なので親しくなり、大震災直前には、「見積もりをとろうかな」と思うところまでうかうかと追い詰められた。

おっさんはまたやってきて盛んに勧めるけれど、「下請けじゃない職人はいい仕事してるよ」なんて遣り過ごす。



でも本当はね、大地震が近いなんて言われてるし、家の中にいたら外壁なんか見えないし........。
何よりも、塗り替え後2~3年で、「いざ、さらば」、かもしれないじゃないか。

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峠でじじ会

2012-10-28 | 風に吹かれて

顔振峠にある富士見茶屋でじじ会を開催した。

われら三爺は生越から黒山三滝を通り林道伝いに車で来たが、驚くべし、吾野から急坂を登って来るじじばばが多い。
空気が澄み、冠雪した富士山が奥多摩連山の向こうに頭をのぞかせ、屋外席で啜る手打ち蕎麦は美味だった。

食後、坂戸の宗匠が「見晴台に登ろうよ」と提案。
平九郎茶屋前の山道に足を踏み入れたらさあ大変。のっけから急登だ。心臓が破裂する寸前に頂上に着いた。

紅葉にはまだ大分間があり、見渡しても見渡しても青い山ばかり。
運転担当の匠さんが「関八州見晴らし台へ行ったことがない」というので、車で向かった。


途中立ち寄ったベラ・ヴィスタ。趣味のいい店である。
ここも景色が良く、林道から外れた目立たない場所なのに、先客として若い爺が数人いた。

関八州見晴らし台直下で車を停めてまた登った。吾野駅から高山不動経由で登るよりずっとラクだけれど急登は急登。僅かな距離とはいえ高低差は大きく、心臓を口から吐き出す思いだった。

頂上から関八州が見晴らせるはずだったが、生憎天候が急変し時雨模様に。関五州くらいしか見晴らせなかった。
標高800m近くにもなると薄着では寒く、早々に退散。


「ついでに堂平山へも行こう」ということで、いくつもの峠を経由し堂平山頂上天文台跡まで足を伸ばした。
大分晴れてきたが、関東平野は薄ぼんやりと広がるだけだった。

退職してしばらくの間、この辺の山には何度も自分の足で登ったし、車で走ったこともある。
それが今では運転は恐ろしく、足腰はすっかり萎えてしまった。

会費は手打ちそば600円とアイスクリーム400円で合計1000円也。今回もガソリンは運転手の匠さん持ち。
流行りの女子会に較べると大分ささやかだけれど、楽しい一日だった。


じじ会のために腰痛の匠さんが運転てくれた行程は、越生厚生年金休暇村を出発。
黒山三滝、顔振・傘杉・立松・飯盛峠・刈場坂・大野・高篠・白石峠、堂平山、都幾村、越生帰着だった。

坂道は以前より急勾配になり、峠から峠までの林道は伸びたようである。
匠さんの腰痛は尻痛を併発した由。お疲れさま。

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冬支度

2012-10-26 | 林住期

扇風機を4台、片付けた。
1台は錆が出始めた時代物だが、迷った末、来年も思庵で使うことにした。

この秋はもう使うまいと思っていたのに、今日は暖かく、作業をすると体が火照ってきた。
そうなると、ちょっと横になったり新聞を読んだりして、作業が捗らず、予定していた簾はそのままにした。

簾は長くなった日脚を遮り、目隠しにもなる。真冬は、防寒にもなるかもしれない。
簾を外すと窓硝子をきれいにしなくちゃな....。

結局簾の取り外しは、明日からの成り行きにした。

シンビジュウムの取り込みも先送りした。

よれよれのTシャツを何枚も、今年もまた仕舞った。草刈り草毟りの時に着るかも、と。

今年もつくずく考えた。
ガラクタばかりが残り、減るのは体力気力と預金ばかりだ、と。

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入間市近代化遺産巡り

2012-10-25 | 風に吹かれて

埼玉県入間市(ニンゲンではなくイルマ)が、「旧石川組製糸迎賓館」と「旧黒須銀行本店」を見せてくれた。

西武池袋線入間市駅から坂を下りて凡そ10分。
突然サナトリウムのような、タイル貼りの西洋館が現れる。「迎賓館」にしては安っぽい。
周囲の路地を回り、国道16号線側が正面である。玄関の屋根が日本風な入母屋造りでチグハグな印象である。




靴を脱いで上がった広い玄関ホールは大混雑していた。正面にある大理石の暖炉はバカに小さく、不釣り合いだった。
しかし食堂、寝室、応接室、客室などは、室内に入ると印象は一変する。
それぞれの天井、床などには丁寧な木工芸が施され、壁紙が経年劣化しているが、格調高くしかも豪華である。



そして、天井に取り付けた照明器具は控え目で洒落た意匠だった。
但し、森生の腕前ではその良さを撮れません。とりあえず客室、応接室、2階ホール分だけにしておきますね。
入間市が作成した絵葉書には、照明器具を集めて載せた1枚があるので、そちらをお求め下さい。



食堂で小一時間も待たされて、ようやく2階に上がった。
二箇所の踊り場を設け、直角に曲がる階段の構造は美しい。
説明によると、贅沢な木の使い方をしているそうだが、森生にその辺の事情は猫に小判だった。



2階は、ホール、大広間、東和室、西和室など。広いだけで驚くような造りではなかった。
貴賓室が非公開だったのは残念だった。痛みが激しいそうで、早く修繕して下さいね。
便所と浴室、厨房ほか、隣接する和風な外観を持つ別館も、次の機会には是非見たいものだ。



元「迎賓館」には現在、庭園が無い。裏庭はただの空地になっていて、新建材の文化住宅群が丸見えである。
常緑の高木を植えて林にすれば雰囲気が大分改善されると思う。苗木でもいいから適切な配置で植えたらどうだろう。
正面の植込みには雑草が伸びている。こんなに立派な遺産だ、入間市民の皆さん、応援しましょうね。


この後、霞川(だったかな?)を渡り、高い尖塔がある教会を経て、旧黒須銀行へ行きました。
下の記事「教会から道徳銀行へ」に続きます。

次の一般公開は11月10日になります。

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教会から道徳銀行へ

2012-10-25 | 風に吹かれて

石川組製糸会社が建てた迎賓館前は、大型トラックが疾走する国道16号線である。
信号のない横断歩道を気合を入れて渡り、尖塔がある「武蔵豊岡教会」に着く。

30年も前から、西武電車の車窓から見える、高く貧相な尖塔が気になっていた。
しかし、初めて訪れた教会は意外に立派。
細く尖った尖塔が教会の建物によく似合っていた。

教会は、熱心なクリスチャンだった石川組製糸経営者一族の献金で建てられた。

霞川に架かる大和橋を渡り、閑静な住宅街を進む。
国道407号に架かる歩道橋の下に、旧黒須銀行本店があった。

銀行の本店にしては、何の飾りも無い地味な木造2階瓦葺の建物である。

それもそのはず、ここ黒須町の普通の人々が資金を出し合い設立。
誠心誠意マジメ堅実に経営された銀行である。
顧問を務めた明治の大実業家渋沢栄一は「さながら道徳銀行である」と賞賛した。
そして、渋沢が揮毫した▲

贅沢な建物なんぞを後世に遺すわけがない。
近頃のメガバンクの頭取、拝みに来なさい。

そういうわけで、銀行の内部も大したことはない。
西武鉄道の前身武蔵野鉄道保線作業員の印半纏と、池袋線開通記念観光ポスターが珍しかった。


地味な黒須銀行本店よりも、隣にある繁田醤油工場の木造建築群の方が面白そうだ。
市役所の肝煎りで、醤油作りを見学できるようにして欲しい。お土産付きでね。


 

入間市は相反する色々な顔を持ち、面積は広い。
駅の南側には何度も行っているが、北側に降りたのはこの日が初めてだった。
何度か歩いてみたい。次は「入間万燈まつり」かな?

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搾り出す

2012-10-24 | あらら!

老後のために、一層の倹約をしなければならない。
若い頃からの歯周病を抑えるために、高価な歯磨きを常用しているので、最後の最後まで使い切りたい。

今まで左手に歯ブラシを持ち、右手指先でチューブの周りを強く押し、残った歯磨きを絞り出していた。
しかしこのやり方では、最後に残った歯磨きは穴から顔を覗かせるだけで、歯ブラシに付けようとするとチューブの奥に引っ込んでしまい、最後の最後までは使いきれなかった。楊枝で掻き出しても、同じだった。

しかし遂に発見した。無駄なく最後まで搾り出す方法を。
何のことはない、歯ブラシは手に持たず置いておく。空いた両手の指先でチューブの首根っこを強く押し、中身が現れてもそのまま指先の力を緩めず、歯ブラシに載せればいいのだった。ねっ、コロンブスの卵でしょ。

この方法で歯磨きを使うと、捨てようと決心してから更に10回分も使えるのだった。
老後がほんの少し安心できるのだった。

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督促状

2012-10-23 | 重箱の隅

督促状が来た。父のところへはしょっちゅう来ていたので、督促状には驚かない。
ただ、あの頃はハガキだったのに、最近はご丁寧にも封書で寄越す。

督促状は、「後期高嶺者医療保険料を期限までに納付してないので早く払え」、という言い草だった。

何を言うか、無礼者。
国民健康保険税も介護保険料も、凄い金額を蚊の涙の厚生年金から天引きしてるはずじゃないか(違うかな?)。
しかも図に乗った市の税務課は、いつの間にか住民税まで年金から天引きを始めていた(これは確認した)。

そういえばここ数年、年金振込通知書が頻繁に届く。通知書が届く度に支給額が減額されている。
介護保険料額決定通知書も届いていて年金から特別徴収するとしているが、市職員が粗品持参で集金に来い。
年初からの通知書や納付書を集め、支払目的と金額を付け合せている内にアタマがくらくらしてきた。

名前が変わったり対象期間がずれたりしていて、日本年金機構が差出人になっている「年金振込通知書」を、スッキリ理解納得できる人はそうそういまい。役所はそこが付け目なのだろう。
市の保険年金課に行けば丁寧に教えてくれるはずだ。しかし帰って来たらまた分からなくなるに違いないので、一人でイライラしていた一日でした。

ご同輩には「税金や年金のこと? ウチじゃ全~部女房に任せてるよ、アハハ」っていうシアワセモノがいる。
そういうアホはさっさと三途の川を渡って、あっち側に行ってくれ。
森生が負担する金額は生活費の1割を軽く超えるが、金額はご同輩より少ないようだ。

国民健康保険「税」が、後期高齢者医療保険「料」になった(と読んだ)。
だが支払額が増えたのか減ったのかが分からない。
要するに何が何だか分からないのである。

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孟宗竹を伐る

2012-10-22 | お節介

快晴である。家に閉じ篭ってなんかいられない。
風邪の諸症状は、昨日からのルル合計9錠で押さえ込み、少しだるさはあったものの森林公園へ行った。
作業は孟宗竹の伐採作業だった。

密生した竹林内の作業は意外に快適だった。
2階家を超える高さの太い竹でも、幹の中は空っぽだから楽に切り倒せて、愉快爽快である。
伐採したところには日差しが射し込み、シアワセな気分に浸れる。

切り倒し枝葉を取り除いた孟宗竹は、後日、園内で行なわれる小学生の環境学習材料に供されるそうだ。
薮蚊が出る暑さが戻ってきたけれど、竹林内は日陰で空気は乾燥していて、吹き出る汗もすぐ乾いた。
ご機嫌な伐採作業は午前中に終了した。

午後は、業者が伐採して乱雑に積み上げたままの孟宗竹を解きほぐし、整理整頓することにした。
これは伐採直後なら簡単な作業だが、竹が完全に枯れてしまうと固くなり刃が立たず、枝は絡まり、作業は捗らない。
それでも竹林内は大分整頓でき、環境学習で小学生が立ち入ってもさほど危険な状態ではなくなった。

どこでも業者の作業は効率優先のため乱暴で、雑木林や竹林の荒廃に管理者も入園者も気付いていない。
不都合なものは見えない見ないという国民性がここにも表れて、森林管理は劣化しているようだ。
国営森林公園内くらいは、国として管理のお手本を示して欲しいものだ。

作業に参加した人は僅かに6人だった。活動はますます低調になり、川越祭りと重なったとはいえ、少な過ぎる。
お互い草臥れたのか、同期入会者は一人も来なくなり、若いじじばばは3K作業に耐えられないようだ。
雑木林班は発足して十年。運営方法を考え直す時期が来た。

    公園は開門前から久し振りに行列ができた。終日、園内は家族連れで賑やかだった。
    混雑するお祭りより、森林公園の方がずっと健康的だと思うよ。

 

現場に往復したワゴン車から見たボーダーガーデンとコリウスガーデン。それはそれは見事だった。
天気がいい日に、今度は作業でなく遊びに行きたい。

何しろ広大な公園なので、行く前に「最新花情報」を見て、効率よく歩きましょ。

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金木犀のかほり

2012-10-21 | 林住期

鼻がむずむずする。
水っ洟も滴るイイおじぃになった。ボクは鬱陶しいなぁ.......。

黄金色した金木犀ほど清々しいものはない。
しかし、熊ん蜂を驚かせるほど鼻を近づけないと、金木犀の甘い香りがしないのは風邪の所為だ。
 

      暑い暑いとこぼしていたのはつい最近のこと。秋はもう来ないのかとまで思ってた。
      それが今朝は、陽だまりが、暖かな日射しが恋しいんだもんね。

 

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木枯らしが運ぶもの

2012-10-20 | 林住期

雲ひとつ無く、一日中文句のつけようがない見事な快晴だった。
木枯らし1号を思わせる北風がまともに吹きつける下り坂。空腹。急ぎ足でも汗は出なかった。

病院最上階にある三ツ星れすとらんで昼食。今日の職員定食はチキンライスだった。
満腹にはならないが満足。

帰り道は「空がとっても青いから遠回りして帰ろ」と思っていたのに、坂の途中で息が切れ鼻歌どころじゃない。
道端でしばらく休んでいると、山仕事友だちがジープで通りかかった。

やぁやぁ歩きなの? ちょっと草臥れちゃってね。お互いダメになったよねぇ。自治会の草刈りボランティアは行くの?

友だちも行かないそうだった。近頃、団体行動が苦手になってきた由。

分かる分かる、森生もおんなじだ。
それに参加申込書の提出なんか、まっぴらごめんだよ。そもそも先々のことはあんまり約束したくないからね。

四方山話の後は、回り道はせず猫額亭にとぼとぼと帰ってきた。



木枯らしは、上越の山々から風邪を運んできたらしい。
汗の代わりに鼻水が出る。

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季節の日本語

2012-10-19 | 知ったかぶり

朝日新聞が読者から集めた「美しい季節の日本語」(10月6日朝刊土曜版)を、一番人気から順に並べると、

    夕凪

    新緑

    木枯らし

    花冷え

    夕立

    朧月夜

    春一番

    夜長

    麦秋

    春霞

以下、氷雨、花曇り、薫風、鰯雲、遠雷、野分き、雪明り、淡雪、小春、立秋、となっている。

 

ふむふむ、なるほど。「美しい」という点では概ね賛成します。
だが「好き嫌い」でいうといささか異論がある。

新聞記事にも書いてあるとおり、「夕凪」が一番とは如何なものか。確かに字面や響きはいい。でも逗子鎌倉海岸でアルバイトをしたことがあるので「夕凪」の不快さは体が覚えている。体験ではむしろ「朝凪」のほうが心地よかった。

「朧月夜」が入るなら「桜吹雪」や「花筏」が何故落ちたのか。
「新緑」は悪くはないが底が浅く、青葉若葉を渡る爽やかな風「青嵐(せいらん)」をお忘れじゃぁござんせんか。

「遠雷」、「夕立」、加えれば「雲の峰」.......。う~ん、酷暑だったこの夏は、今はまだ思い出したくもないな。

「立秋」は毎年実感が無く、暦の上だけの記号になってしまった。一方、実際は寒くても「立春」はまだ生きている。
「鰯雲」を「鯖雲」とも言う人がおられるが、食うならともかく、読み書きには「鰯」の方が好きだ。

「小春」には「日和」を付けて「小春日和」にして欲しかった。山口百恵さんのママが、コホンと咳をした頃だ。
「木枯らし」は寒々としていかにも淋しく切なく、響きのほかは御免蒙りたいのに、「時雨」なら許せるのは何故だろう。

丁度いまなら「冬構え」がぴったりだ。
厳しい冬でも「冬篭り」、「細雪」、「雪明り」にはほのぼのとした暖かさを感じる。

 

頭を叩けば、美しい日本語はまだ出てくるようだ。 
普段はあまり使わなくなった美しい「季節の言葉」を、思い出してみた秋の夕暮れでありました。

                        ・・ 心無き身にもあはれは知られけり 芒立つ野に秋の夕暮れ ・・
                                                             ........ 森生
 

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星座

2012-10-18 | 歌の翼に

空気が澄んできて、星がはっきり見える季節になった。

35年前に76歳で亡くなった父は星座が好きだった。
希望する日時の夜空を円盤を回しながら覗く星座盤を、書斎に居ながら机の上の星空を眺めていた。

小学生の頃、父から星座を教わったが、関心がなかったうえに仁丹の苦い口臭がして、いやいや聞いていた。
だから今でも北斗七星と金星(宵の明星)くらいしか見分けがつかず、少し後悔している。

映画「あなたへ」で田中裕子が歌った「星めぐりの歌」の評判がいいようだ。
その所為かyoutubeにこの歌の動画がいくつも出るようになった。


        宮沢賢治の歌詞にも星座の名前が入っている。
        中でも好きなアンドロメダやオリオンなど、星座にいろいろな「星巡りの歌」を貼り付けました。

        人生は短いのです。秋の夜長はブログよりも星座巡りをお楽しみ下さいね。

                            

                 アンドロメダ  さそり   オリオン  子熊   こいぬ 

 何方さまか、田中裕子の歌を youtube に投稿して下さいね。
星座盤はヨドバシカメラで販売中です。

茶碗は静嘉堂文庫所蔵、国宝「耀変天目」です。

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草刈り

2012-10-17 | お節介

今年初めて、土手の草刈りをした。
毎年、8月に1回目の草刈りをしていたが今年の猛暑は凄まじく、ほったらかしにしていた。

伸び放題に伸びた雑草を蔓草が覆い、椿に這い上がり、まだ背丈くらいの椿は重さで傾いている。
足元に注意を払いながら草薮に踏み込む。蜘蛛の巣に顔を突っ込み、体中に猪子槌のタネをくっ付け、朝から夕方まで働いても全体の三分の一も刈れなかった。

夕方、キリがいいところまで済ませようと大童で作業をしている時、道路から見下ろす視線に気付いた。
このごろ夕方になると、必ず小型犬のお供をして歩くおじさんである。

タイヘンですね、きれいになりますな、地元の方ですか、ご苦労さん、お宅の土地ですか、ほぅ何でまた。
毎年、同じような質問をされる。

いい運動になるから一緒にやりましょう、こんなに涼しくなっても汗かきますよ。
と誘ってみる。

いやいや私にはとてもとても、市有地なら市にやらせれば。
今日もまた同じような「お断り」だった。

つまらぬことに時間を潰された。キリがいいとこまで終わらないうちに、夕暮れになってしまった。
あと二日か三日はかかるぞ。

あのおじさん、犬の散歩以外に、毎日何をしてるんだろうか。
それでも一日一回ご町内を歩き、他人に声を掛け、煙草を吸わないのはエライ。

団塊おじさんは会社を辞めると、することがないようだ。

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