橋爪大三郎×大澤真幸「げんきな日本論」講談社現代新書。
この本は飯能駅ビル内の本屋で、正月、山積みになっていた。よく売れてるのだろう、それなら、と思った。
それに橋爪による前書きの書き出しが気に入った。
日本は最近、元気がない。
経済のせいだ、と思っているひとが多い。
そういう問題ではない、と思う。
自分たちがどこから来て、どこへ行くのか、それがわからないから。いま何をすればいいのかわからないから。
そう、歴史の方向感覚を失っているからだ。
と書いてある。
森生が元気がないのは、経済のせい、寒さのせい、歳のせいなので、橋爪の思うところと違うけれど、取っ付き易い文章だ。
まぁ、高名な学者の意見もたまには読んでみようと思ったのである。
この本の内容は、橋爪大三郎が書いた前書きによると、
本書は日本の歴史をテーマとするが、ふつうの歴史本とはまるで違う。
日本列島で起こったあれこれに18の疑問を用意し、好敵手大澤真幸と論じあった。
二人にとってこの対談は誰も考えたことのないようなことを、たくさん語ることができたからである。
うむ、ここまではいいだろう。
更に18の疑問とやらのうち森生が特に興味をもったものを目次から各部2問を抜粋する。
第一部 はじまりの日本
3.なぜ日本では、大きな古墳が造られたのか
4.なぜ日本には、天皇がいるのか
第二部 なかほどの日本
10.なぜ日本には、武士なるものが存在するのか
12.なぜ日本人は、一揆なるものを結ぶのか
第三部 たけなわの日本
14.なぜ秀吉は、朝鮮に攻め込んだか
18.なぜ攘夷のはずが、開国になるのか
以上のほか12の設問も、なかなか面白いので、森生は暇潰しに最適とばかりに、この本を購入した。
そして期待に胸膨らませ読み始めましたよ。
ところがだ。この本、全く良くないね、ガッカリだ。
ふたりの対談は頗る高尚にして難解。難しい話を一層難しくしている。
ガクをひけらかし、イヤミったらしいことこの上なしだ。だいたい、普通「げんき」は漢字で書くけど、何故平仮名なんだろうか。
レジティマシー、サンクション、メタレベル、クラン、アンビリニアル、エートス、パースペクティブ、アドホック
ジャック・ラカン、カール・シュミット、ロビン・ダンバー、エルンスト・カントーロヴィッチ、ヘーゲル、マックス・ウェーバー
等々カタカナと外国人有名学者らしき人名が続出している。
結局、設問に対する回答は、何度も読み直さなかった森生にはウヤムヤ。結局、どこから来てどこへ行くのか分からなかった。
こういう話題は司馬遼太郎の方が、ずっといい。
そういえば以前、橋本の中国解説本を読んだことがある。あの時もサッパリだった。
と、ここまで書いて、どうも自分がイヤになった。
そもそも森生は、他人の悪口や欠点には目を瞑ってやり過ごす穏やかな老人です。
他人を批判する記事は、書いていても愉しくないし、読んで下さる方も不愉快だろう。
そこで口直しに、普段から愛読している清水ミチコさんのブログを読んだ。
あれれ、今日はワルクチですな。
焼香の味わい
家族旅行で泊まった旅館の料理が酷かった、という内容ですが、決してイヤミになっていない。
むしろホノボノと笑える記事になっている。清水ミチコさんを見習わなくては、と反省する森生だった。
170126