わが買物難民団地は、関東平野の西端の丘陵地帯を大手不動産会社が造成した。
造成工事は尾根筋を削り、その土で沢筋を埋め立て、一応平坦な宅地にしたが、それでも高低差は大きく老人は歩行に難渋する。
秋が深くなると、沢筋に建てたわが木造2階築30年・猫額亭の夕ぐれは特に早い。
夕方、曇り空が晴れてきたので、高台に登り空を見上げた。
丘に張り付いたカサブタのような屋根の連なりの先、秩父の山並みに、きょうの日が沈むところだった。
秋の夕ぐれは春とは異なりうら寂しいだけで、好きじゃありませんね。
大体、西の方だけが明るく、西方浄土から「早くこっちへおいで」と呼ばれているようで、いやーな感じがする。
日中に較べ気温が急降下するのも、体力の衰えを自覚させられ、いと悲し。
それは定家さんも寂蓮さんも、そして西行さんも同じだったらしく、心境をこう詠んでおられますな。
定 見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ
寂 さびしさはその色としもなかりけり 槙立つ山の秋の夕暮れ
西 心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ
う~~む、うら寂しさ、あはれさ、哀しさが3倍になって押し寄せて来たわぃ。
そこで、はばかりながらじじぃも大手杭打ち業者に習ひ、名歌3夕をこぴぺし、1首に仕立て直しました。
森 さびしさは金も力なかりけり 腹立つ苫屋秋の夕ぐれ
151030