林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

下谷七福神

2007-01-24 | 風に吹かれて

  

悲惨な七福神巡りとなった。
博物館を出た時、すでに正午だった。
森男は歯茎の調子が年末以来良くない。
鶯谷駅の傍に、まあまあの蕎麦屋があるから昼食はそこで、という偏屈さんの提案に従い、行ってみたら休業日。
大してお客の来ない店のようだから、休みは博物館に合わせろよ。

結局、昼飯抜きで下谷七福神巡りを敢行した。
寿老人(元三島神社)、福禄寿(入谷鬼子母神)、三面大黒天(英信寺)、毘沙門天(法昌寺)、朝日弁才天(弁天院)、恵比寿神(飛不動尊正宝院)、布袋尊(寿永寺)の1社6寺である。
結論からいうと、ダメだった。酷いものだった。

寿老人はラブホテル街の真ん中にいらっしゃる(はず)。社殿の真下(文字とおり真下)はウラブレた飲食店街になって、2階部分に社殿が乗っている。誰もおらず、寿老人像は拝めなかった。
感心したことがある。
各ラブホテルの入り口は工夫を凝らして、実にヨロシク出来ている。室内はもっと趣向を凝らしているだろう。入って見たかった。
それに、ラブホテル街は、意外に清潔なのだ。黒の上下でもみ上の長いオニイさんが殆ど無い煙草の吸殻を、歩きながら拾っている。団地住民は見習うべきである。

恐れ入谷の鬼子母神。台東区「下谷」にある「入谷」の鬼子母神の「鬼」の字にツノが無いのは発見だった。イワクはあるが、割愛。

三面大黒天。お顔が三つあり、黒くてイカニモ効き目ありそう。
ごく小さいお寺で、庇も低く、樋口一葉さんが現れそうな渋いお寺だった。正規の服装の植木職人さんが仕事中だったのも、良い感じだった。

毘沙門天。コンクリート作りが目立つ殺風景なお寺。
けばけばしく小さな毘沙門様は、浅草寺前の伝法院通りの古物商から昨日買ってきたようだ。

朝日弁財天。小公園の奥に情けないお堂がある。生意気に、弁天池があるが、コンクリ底の池の中には1円玉も見当たらなかった。木彫りの弁天様は小さ過ぎてよく見えない。

恵比寿様。「飛び不動」という別名があって、航空業界の贔屓のためか、割合整備されている。しかしジャンボじゃなくて、竹トンボだな。

布袋尊。最悪。お寺のくせに、拝観行為に対して拒絶「的」である。
背丈を遥かに越える周囲のコンクリ壁の上は鉄矢来。正面の鉄扉は閉じて脇の小さなくぐり戸から入る。奥のほうでは警報が鳴って、監視されている模様。
本堂も鉄扉が固く閉じてあり、石段下にメタボリック布袋尊が汚い腹を出してうじゃじゃけていた。脇の小さな賽銭箱には「警報付き」のカードがガッチリ貼り付けてある。
誰がお賽銭なぞ出すものか、だ。

ついでに「小野照崎神社」に寄った。この辺にしては広く、巨木もある。
戦災を免れた社殿は立派だが、境内は荒廃の極み。小野篁も泣いているだろう。
富士塚があるので登ってみたかったが、荒れ放題だ。神奈川県から来たという富士塚巡り中の高齢の二人のご婦人も是非、と言う。
バラック作りの社務所は電気をつけたまま、1時を過ぎても誰もいない。
門前で節分会準備中の職人親子に聞いたら、7月1日のお山開き以外は登れない由。
職人親子は髪の黒白以外はあまりにもソックリで、可笑しかった。チャキチャキの江戸弁が心地良かった。

下谷、竜泉、三ノ輪あたりは戦前からの味のある木造家屋がまだ残っている。
しかし、全体は安っぽくて、低層のビル群と木造モルタルの家屋が密集。飲食店が無く、あまり住みたくない不便な町であった。
昼飯を食う場所が見当たらず、不機嫌不幸な七福神巡りとなってしまった。
この後は、地下鉄三ノ輪駅から門前仲町へ。

◎七福神は、賑やかで楽しそうな「日本橋七福神」に来て頂きました。


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