第37回全国育樹祭に行ってきた。(植樹祭じゃありませんよ)
申込む時は、全国の森林に携わる人々が触れ合う愉しい集いを想像し、ホイホイ申し込んで「しまった!」だった。
育樹祭が近付くにつれ、徹底的な厳戒態勢が布かれていることが、徐々に露わになったのである。
当日は朝4時に起床(!)。大型バスが待っている隣の団地に駆けつけた。
バスに乗る前に、案内状と運転免許証を提示し、A5版大の首から提げる「IDカード」を受け取りやっとバスに乗れた。
数週間前には生年月日を世話役さんに申告させられていたのである。
バスに乗る際に、手提げ紙袋を手渡された。お土産(!)やら雨合羽、飴玉、懐炉、その他諸々が入っていた。
車中では、会場での禁止事項をルル説明され、ルンルン気分に水。
・交付したIDカードを必ず首からぶら下げておくこと。
・IDカードのポケットに、写真を表にした運転免許証と宛名が読めるように折った案内状を入れておくこと。
・リュックサックやハンドバッグ、傘などは持ち込み禁止。余分なものはバスに残しておくこと。
・小銭やカメラ、腕時計など金属製品は、紙袋に入っていた禁止事項明記済み透明ビニール袋に入れること。
・行動は全て乗車バス単位の団体行動とし、単独で行動してはならぬ。
・会場に入った後、式典が終わる迄の4時間余りと、帰りのバスに乗る2時迄の6時間は会場から出てはならぬ。
・式典中に尿意を催しても決して立ち上がらず、手を挙げて、警備員の誘導に従い仮設便所に向かうこと。
会場の「くまがやドーム」には大型バスが70台以上も集結したらしい。到着順序まで指定していたようだ。
降車場に着いてから、ドーム敷地入口の第一関門に到達するまで、何と30分もかかった。
ここで1回目の荷物検査。
ドーム入口の第二関門では金属探知機で身体を調べ、カメラは足元を撮影し爆弾でないことを確認させられた。
更に、入院患者が足首に着けるような、紙製の「リストバンド」を渡され、手首に装着するよう指示された。
ここで、じじばばはすっかり囚人気分だわさ。
巨大ドーム会場には説明書によると、全国から5700人も集まったそうだ。だが全く混雑していない。
広い特設舞台は遥か遠く、200人は並んだ特別招待者は芥子粒のようだった。
2~300人はいた吹奏楽団と合唱団も特別誂えの白い制服が目立ったが、表情は遠くて全く見えなかった。
2階席や背後に特設した報道席には大型カメラがバズーカ砲のように林立し、ものものしい雰囲気を醸し出した。
参加者は、式典を盛り上げる役目の小学生2~300人以外は全員が50代後半以上で、青壮年は皆無である。
地方の参加者は全員が黒紺背広にネクタイ姿。われわれ近隣市町村からの参加者とは心掛けが違うようだった。
式典開始前、その後始まる長丁場に備えて、参加者は仮設便所に殺到。
徹底した警戒態勢を布いたはずなのに、ここの警備は全く無し。だがそこはじじぃだ。寿司詰めの行列は粛々延々。
一人当たり利用時間はチョロチョロと長く、後ろから丸見え。水洗の水はとうに底をついていた。
定刻に皇太子殿下がご入場。座ったままで支給された紙の日の丸を打ち振り、バサバサ音がドームに満ちた。
吹奏楽団の伴奏で国歌斉唱。ここだけは硬い長椅子からの起立を指示されて、ほっ。
当然、直接にはご尊顔は見えず、舞台正面の巨大動画画面を経由して、やっと殿下を拝むことができた。
見えなかったけれど、殿下は広大な舞台正面に、1時間、ぽつんとお一人だったようだ。
ああいう配置は珍しい。埼玉県知事・熊谷市長・議員・農水大臣等が周りを固め、身を挺してお守りすべきだった。
あれでは万々が一、不心得モノが狙撃した場合どうなるか、畏れ多くも想像するだに恐ろしかった。
なお、ここでお断りしておきますが。
若い現場係員(県庁職員らしい)はこれらの厳重な警備体制を恐縮していたようで、応対は親切丁寧だった。
そりゃそうさ。ここに来た人は、夫々の縁故で参加し、テロリストとは全く無縁の善良な市民のはずだもの。
しかし、育樹祭を企画した埼玉県の奥の院にいる優秀な官僚には、それが分かっていないようだ。
そこがわれらじじばばには遺憾であった。
この記事、明後日の「耐え難きを耐え」に続きます。
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