朝日新聞朝刊一面に、「村上春樹さんが日中韓文化交流への影響を憂う随筆を寄稿した」という記事があった。
ふむふむ、よほど内容が濃い随筆か、と思い3頁にある「魂の行き来する道筋」と題された全文を読んだ。
な~んだ、ばかばかしい、大した内容じゃありませんな。こんなものが一面トップ記事とはね。
一応「まとも」と思われている文化人や報道関係者の言い分と同じで、村上も要するに「冷静に冷静に」である。
だが譬えや修辞は巧く、世界的に人気がある村上らしい記述もある。
この二十年の東アジア地域における最も喜ばしい達成の一つは、そこに固有の「文化圏」が形成されたことだ。
と表現は大仰だが、分かり易く「海賊版が減り、印税が正当に支払われるようになった」とも書いている。
自分が書いた本を中韓の人々が読んでくれるようになった。
しかし今回の尖閣・竹島騒動が、折角達成された「文化圏」をも破壊してしまうことを恐れている。
実際、トヨタ車や日系スーパーが焼き討ちされただけではなく、書店からは日本人が書いた本が撤去されている。
村上春樹の本の売り上げも「文化圏」で、きっと大きく減少したに違いない。
村上春樹は、アメリカ政府と同じように「尖閣・竹島は日本領土である」とは書かずに中立的な姿勢である。
それどころか「ヒットラーのように騒ぎを煽る政治家や論客の意見に惑わされるな」とまで書いている。
毛沢東・江沢民・胡錦濤を差し置いて、ヒットラーを日本で持ち出すとはなぁ.......。
村上春樹の言っていることは多分、正論なのだろうと思う。
しかし日本人は無闇にいきり立つ中国政府と人民とは異なり冷静過ぎるほどであり、野田・藤村・玄葉の毅然毅然とは言いながら、おろおろとした態度発言を見聞きする度に、情けなくなるくらいだ。
だいたい日本国内で反中反韓デモがあったのか。
どこかで中韓関係の書籍を撤去したか。焼き討ち、略奪はあったのか。
少なくとも朝日新聞やNHKにそういう報道はない。
アメリカに住んでいる村上は知らないのかもしれないが、文化交流まで断ち切ったのは中国側なのだ。
冷静にならなければならないのは、中国共産党独裁政権と奴隷のように愚かな人民なのだ。
村上春樹くらいに顔の広い作家なら、同じ趣旨の文章を人民日報にも投稿したらいい。
同じ一面記事に、北京の書店から撤去されていた日本関連書籍が漫画以外はまた売場に戻り始め、村上春樹の「1Q84」を平積みにした、というあまり目立たない記事がある。
朝日は「その理由は不明」としているが、何事にも周到に差配して脅迫してくる中国政府のことだ。怒りはじめ、右傾しかけた日本人が反中で結集しないように、朝日ばかりか村上春樹にまで手を回したのかもしれない。
朝日新聞の「冷静キャンペーン」に接するたびに、そう思う。
紛争や戦争を決して望まないけれど、何かヘンだ、と思う。どうせ森生は「IQ」が低いからね。
領土問題が「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない危険な状況を出現させる。
それは安酒の酔いに似ている。後に残るのは頭痛だけだ。
流石に上手いことを言うね。
この言葉、カッカしてるあちら側にもゼヒ教えてやって下さいね、村上春樹さん。
今朝29日の朝日新聞土曜版は村上春樹の小説ランキングがある。
なるほど、朝日と村上春樹はそういう関係だったのかぁ。
120929