飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

心震わす ピカソの30秒

2024年01月13日 12時32分23秒 | 自転車
「心震わす」ピカソの30秒という逸話がある。
これは創作のお話だが、ある意味大切な教訓を語っている。
このようなエピソードだ。

ある日、ピカソが市場を歩いていると一枚の紙をもった見知らぬ女性が話しかけてきた。
彼女は「私はあなたの大ファンなんです。
    この紙に一つ絵を描いてくれませんか?」
と言った。
ピカソは微笑みたった30秒ほどで、小さいながらも美しい絵を描き上げた。
婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。
「この絵の価格は100万ドルです。」
婦人は驚き、高すぎると言った。
たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。
するとピカソは微笑みながらこう答えた。
「30秒で描いたこの絵には、30年磨き続けた技術と感性が宿っているんだよ。
 30秒で読める文章は、30秒では書けない。
 5分で聴ける曲は5分でつくれない。
 3分で食べられるもの 3分で作れない。
 一瞬で見れる絵画は一瞬では描けないことを忘れてはならない。
 一流の人が楽々とこなした仕事は彼らの日々の努力と経験の上に成り立っているということを忘れてはならないのだ。」

ある作品や技術、着眼点、見識には多くの時間とコストと努力がその裏にあることを忘れてならない。
その想像力のない人間は、不遜な態度をとり、失礼な言動を平気でするようになる。
そして、相手の意図に思いを巡らすことなく、「何も教えてくれない」「態度がおうへい」なんてことを言い出す。
考えが足りないのは自分にもかかわらず。

ある野球選手は、若手が「カーブの投げ方を教えてください」とお願いすると「金をもってこい」と言ったそうだ。
言い方は乱暴だが、その選手がカーブを習得するまでには、多くの時間と労力がかかっているのだ。
それを無視して教えてくださいというのはあまりに非常識とも言える。

教育界は、子どものためになることは共有財産として広めていくという不文律がある。
だから、多くの研究会で優れた方法や先進的な技術が公開される。
それは医学の世界と一緒だ。
優れた術式を確立した医師は、その技術によって多くの患者を救おうとする。
そのために全世界を飛び回り、その技術を公開し伝えようとする。
しかし、その裏には寝食を忘れ、多くのことを犠牲にしてきた過程がある事を忘れてはならない。
その気持ちをあれば、自然と謙虚になり、人に教えを請うとはどういうことで、どういう態度でなければならないかが自然と理解できる。
だから、成長できる教師は、誰から教えられなくても謙虚で素直になるのである。

saitani



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