飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

言葉の技術的側面に対する意識

2023年07月22日 16時08分26秒 | 国語科
国語の教科において指導すべき事柄は何か。
そう問われたら、なんと答えるだろう。
国語における指導内容は非常に曖昧になっている。
教材内容は教えても、教科内容を教えていないのだ。
「ごんぎつね」を学習した子どもたちが、何も教師が指導することをしないで「大造じいさんとがん」を自力読みができるだろうか。
国語における教科内容が繰り返し指導されていれば子どもたちは、身につけた読解技術によって同じ道筋をたどって自分なりの主題を読み解くことができる。
しかし、現在目にする国語の指導はそうなっていない場合がほとんどだ。
活動があって指導がない、活動あって学習なしという批判を受ける。

例えば、文章における修辞法は多様にあるが、少なくともその10個くらいはきちんと指導されていなければならない。
それも系統的に。
どの学級においても比喩の指導はする。
比喩には、直喩法と隠喩法があり、このカテゴリーに入るものとして擬人法、擬声語、擬態語がある。
また、オノマトペという範疇では、擬態語、擬声語、擬音語になる。
これらは、すべて喩えの技法になる。

体言止め、倒置法、反復法(リフレイン)は基本的に強調の技法となる。
作者が何かを誇張したり、強調したりしたいときには意図的にこの技法を用いることになる。
この技法が使われている部分には、作者の主張があり、読者にとくに伝えたいことが隠されている。
そこをよく読み、読み取ることによって読解が進む。
また、表現活動においては、自分で作文を書くときにも、この技法を使えば、自分の気持や感動を効果的に読者に伝えることができるということにもなる。

基本的だか、とても大事なこともある。
教室内で使用される教師の指導言語だ。
句読点の指導は、だれでもしている。
当たり前のことだが、まるを句点、点を読点というこの2つを合わせて句読点と言っている。
この句点と読点という言葉をきちんと学級内に定着させているだろうか。
意識せずに、単なるまるとか点とか言っていないだろうか。
これでは、正しい学習言語は定着しない。
他にも、疑問符(クエスチョンマーク)、感嘆符(エクスクラメーションマーク)、リーダー、ダッシュ等、文を構成する基礎的な記号を指導しているだろうか。
疑問符を「はてな」、感嘆符を「ビックリマーク」、リーダーを「点々」、ダッシュを「ぼう」というような表現で済ませていないだろうか。

指導される基礎的な内容として他にも、登場人物の描写は3つに分けて考える。
それは、行動描写、心情描写、会話文である。
このことを知っているだけでも、頭の中を整理しながら読み進めることができる。
また、文章のどこに注目するのかという観点でも、注目すべきは、副詞、接尾語、文末である。
なぜなら、ここに登場人物の心情が象徴的に表現されているからだ。

これらのことを1年生から6年生まで、繰り返し教師が意識をして指導する。
そうすることによって子どもたちは言語技術を身につけ、自力読みができるようになるのである。

saitani

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