性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

意地の都市住宅

2006年11月06日 06時53分27秒 | Weblog

っていう住宅紹介シリーズがあった。
ドーナツ化する都市の趨勢に反発して、
「意地でも住んでいてやる」みたいな住宅を見ていくものでした。
でも最近はマンションが都心では一般的になってきて
そういう意味で言えば、「意地の都心戸建て住宅」ってところでしょうかね。
ご紹介する住宅も、札幌の中央区の一角にある家。
周辺はどんどんマンション化していって、ほとんど戸建てはなくなっていくなかで、
鉄骨造4階建てという住宅を建てたものです。
主な居住スペースを4階に配置することで、劣化する眺望条件などから
自分自身を守ろうとする意志が明確なフォルム。
やぐら構造に近い構造になっていて、
1~3階の4隅に太い鉄骨が入っているのです。
内部にはエレベーターが仕掛けられ、まぁ、ミニマンション的なもの。
しかし、こういう建て方をすることで、小さい敷地スペースでも
駐車スペースが見た感じでは3台程度確保されていて、
現代の車社会での利便性は十分です。

設計者に聞くと、この建物の建築中、周囲に建てられるマンション購入を
検討していた人たちの訪問が集中し、
完成後に開いた現場見学会では、実に300人もの人が訪れたのだそうです。
しかも、こうした奇抜な外観にもかかわらず、興味を持った人たちの多くが
けっこうな年配のみなさんだったということ。
老後の交通的な利便性からマンションを選択したいけれど、
マンションでは駐車場は1台しか確保できない、というのが大きなポイント。
それがこうしたプランならば、都心立地の狭小地でも
暮らし続けることが出来る、という夢が広がるんですね。
市街地の隙間にはこういう狭小敷地って、けっこう残っているもので、
この家を見に来た人たちが、この家のコンセプトを受け継いだ
その2,その3という家を続々、建築中なんだとか。

なんか、外観からして、
安易なマンション暮らしという「長いもの」には巻かれないぞ、
という団塊の世代らしい意気込みが伝わってくるようで、
都市のなかの点景としてもたいへんおもしろい景観を作っていきそうです。
ゆたかな暮らしへの想像力がふくらむ住まいですね。
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