京都の街の散策で一番楽しいのはやはり、町家の風情。
今回の旅行でも、いろいろな建物を見学できました。
実際に使いながら、持続可能になるように考えて使い続けています。
地球温暖化防止のための象徴的な取り決めの場所が京都であった、
というのは、この運動を主導するヨーロッパ人たちの知恵を感じます。
かれらは、サスティナブルな建築文化として
日本の古建築、大寺社建築をインスピレーションにしている、
ということを語ることが多いのですが、
その延命の仕方のひとつのモデルとして、京都の文化を想定していることを感じさせます。
長く存続させていく工夫と知恵が、京都の文化のなかには
沈殿して、しかも生き生きと元気を持っているとも思われるのです。
写真はメインストリートの烏丸通りからほんの少し、30mほどに建っていたもの。
美しい瓦屋根、正面の木格子のデザイン、
アースカラーがそのまま、美しく古びているさまが、洗練を感じさせる。
さりげなく置かれた大壺などがぴったりとマッチし、
様式のなかに生き続ける凛とした美の感覚がここちよい。
「奈良漬け」と書かれた専門店のようでしたが、
買い物をするというよりも、その内部の空気感を味わってみたくなって、
思わず土産品として購入してしまった次第。
内部は、太い構造材の柱・梁がダイナミックに縦横し、
2層分の吹き抜け空間になっていました。
表側から見る繊細なデザイン感覚とは違って、力強い建物です。
何回も権力争奪の戦争によって灰燼に帰した京都ですが、
そのたびに不死鳥のように甦り続けてきた街なのですね。
日本建築の象徴といわれる伊勢神宮が20年ごとに式年遷宮されて
新たな命を、次の世代に活かし続けていくように
木造の建築文化のある部分を表現している気がします。
戦後、木造が焼ける、ということで建築文化の少なくともデザインの部分を
結果として否定し続けてきたのが、日本の建築法規だと思いますが、
さて、未来に向かって、残るのは法規なのか、
それとも、先人たちが培ってきた木造建築文化なのか、
問題意識を持って、考えていかなければならないテーマだと思っています。
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