写真は、勿来の関周辺の新設和風建築。
ごく最近建てられたことは明白な建物なんですが、
ごく和風な作り方をしているのですね。
で、この写真撮影位置は周囲を巡らせている築地塀らしき塀の
正面、なんだけれど、やや右手側寄りから入る門のあたりからの眺望。
この建物が主屋であって、それに至るまでが右手側に回廊がある。
なので、意図としては、主屋をこの角度から見ることを
あらかじめ想定している角度がこの写真と言うこと。
日本の建築って、金閣に行くとわかるけれど、
大体がこのような写真撮影角度が多くの人たちに好まれてきたようです。
たぶん、この建築を設計した人も
そのような日本的な建築の「韻」を踏んでいるのでしょうね。
こういう角度から、このような寄せ棟を変形させた、
入母屋屋根のプロポーションを眺め、
その屋根の端部の反り返りぶり、いわゆるビーナスラインを
美的な審査対象にしてきたのではないか。
かえって昨日今日、建てられた建物だけにそのことが見えてくる。
やっぱり屋根ですよね。
こういう風景の中で、わかりやすいのは屋根のかたち。
さきにこういうかたちがあって、それから初めていろいろな構成要素に
目が行くのだと思われます。
で、ふつうは瓦だとかの素材感・質感に目が行って、
もっと、豪華さを出すには、ということから隅角部の瓦を特殊にデザインする。
あるいは、茅葺きの質感を愛でる、など。
北海道はこういう屋根デザインの建物が少ない。
日本海沿岸に点在する漁業の成功者たちの遺した建築くらいで、
一般的にはいきなり洋風建築の切妻屋根からスタートしている気がします。
雪のことを考えていけば、より単純な形態が求められた、
いわば、地域風土がやむなく求めたかたちだったのかも知れません。
いずれにせよ、北海道から東北以南地区に行って、
こうした屋根デザインには、敏感にならざるを得ないものがあります。
また、一方で現代東京の無国籍風デザインというものもある。
主に、都市的な経済要因が主たる決定因子として選択され続けている
あのような無国籍風デザインが、今後どうなっていくのか?
いろいろ面白く見えてきます。
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